日野市監査委員による情報公開事務の違法をただす国賠訴訟、12月結審

 みなさん、こんにちは。きょうは情報公開制度をめぐる訴訟の報告をしたいと思います。

 2019年8月、筆者は日野市監査委員に対して「日野市立病院相談役に関する住民監査請求(日野29号)について、監査委員が保有するいっさいの文書」という内容の情報公開請求を行いました。これに対して日野市監査委員は、「要件審査表」だけを開示し、残りはすべて非開示とする処分を出しました。そのことにも疑問があるのですが、もっと大きな問題は、具体的にどのような文書を特定し、非開示にしたのかを明らかにしなかった点です。口頭で異議を唱えましたが、具体的な文書名を示す必要はないのだと強弁しました。

 これは情報公開制度の根幹にかかわる重大な問題だと考えた筆者は、昨年12月、非開示にした文書名の開示を求める裁判を起こしました(東京地裁 令和2年行ウ624号 情報公開非決定処分取消請求事件)。

 その第4回口頭弁論がきょう、東京地裁703号法廷(民事2部)でありました。裁判長は結審する予定だったのですが、被告日野市側は、反論したいことがあると述べ、もう一回口頭弁論を開くことになりました。時間稼ぎではないかというのが私の感想です。

 次回口頭弁論(結審予定)は12月8日14時30分703号法廷で開かれます。

 

大内裕和中京大教授は「奨学金」の「繰り上げ一括請求」を理解しているのか?

 「盗用ではないか」と私が厳しく批判している大内裕和中京大教授は、奨学金問題対策全国会議共同代表といういかめしい肩書を使って積極的に「奨学金」問題に関する発言を公にしている。他人の著作物や調査結果からの盗用の類が問題であることはもちろんだが、大内氏の発言内容そのものにも疑問を覚える点がある。一例を紹介したい。

 『法学セミナー』2019年4月号に掲載された「奨学金問題を考える」と題する大内氏の記事に、「機関保証」制度に関連するこんな記述がある。

 

〈保証機関は公益財団法人日本国際教育支援機構である。返済ができない場合は、この協会が利用者に代わって日本学生支援機構に返済してくれる。これを代位弁済という。代位弁済してもらった金額は日本国際教育支援協会に返済する義務が生じる。
 それに加えて、延滞金は年5%から10%で日本学生支援機構の倍となる。また、分割払いから一括弁済へと変えられる。毎月の分割払いでも支払えない人が、一括請求を求められても払えるという可能性はほとんどないだろう。〉

(42頁最終行〜43頁9行目」

 保証機関による代位弁済は、日本学生支援機構が教育支援協会に請求し、認められた場合に行われる。したがって、「代位弁済してもらった」のが利用者であるかのような記述にまずひっかかる。払ってもらったのは債権者の日本学生支援機構であって利用者ではない。そして、次にひっかかるのが「分割払いから一括弁済へと変えられる」という記述だ。まるで代位弁済によって「一括弁済へと変えられる」ように読める。これは不正確と言わざるを得ない。

 筆者の理解はこうだ。

 1 日本学生支援機構が、施行令5条5項を口実にして繰り上げ一括請求をする。期限は1ヵ月後。
 2 債務者は払うことができない。
 3 日本学生支援機構は、一括請求した全額にあらたに発生した延滞金を加えた金額を、保証機関である日本国際教育支援協会に対して弁済請求する。
 4 支援協会が弁済を認めて代位弁済を実行、日本が区政支援機構の債権は完済される。
 5 支援協会は利用者に対し、求償権に基づいて全額+延滞金などの一括返済を求める。その後分割払いの和解をすることもある。

  機関保証が代位弁済することによって一括弁済を求められるわけではない。施行令5条5項をつかった日本学生支援機構の繰り上げ一括請求がすべてのはじまりなのだ。大内氏の記事は、この重要な点を完全に見過ごしている。あるいは見誤っている。

 大内氏率いる奨学金問題対策全国会議は、昨年夏、筆者の再入会申し出を、一括請求について強い意見を主張することが予想され、活動に支障が生じるなどといった、とても理解しがたい理由によって拒絶した。筆者はこの会が設立された当初のメンバーで、絶えず「一括請求問題」の重要性と研究の必要性を訴えてきた。しかし、大内氏をはじめ幹部メンバーの誰一人としてまじめに向き合おうとしなかった。大内氏は私の問題提起から6年を経てもなお、一括請求がどういうものか理解できていないことがわかった。自由な議論や批判を避けることが進歩の妨げにつながるという好例である。
 

大内裕和中京大教授、「盗用ネタ」初披露は大阪弁護士会主催の講演か

 大内裕和中京大学教授の盗用問題であらたな事実が判明した。

 雑誌『選択』2012年4月号に掲載された筆者(三宅)執筆の記事「奨学金『取り立て』ビジネスの残酷」の一部が、2013年10月刊行の単行本『日本の奨学金はこれでいいのか!』(あけび書房、三宅らとの共著)の1章(大内氏執筆)にほぼそのまま無断で流用され、以後多数の雑誌にも同様の流用がくり返されていることは、これまでお伝えしたとおりである。

 今回わかったのは、「あけび書房」本の刊行直前の2013年10月12日、大阪弁護士会主催の講演で、大内氏はすでに『選択』記事を流用した話をしていたという事実である。



 大内氏が作成した講演の要約文書には、「奨学金制度の現状と課題」と題してこんな記載がある。

2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところに行く。この金の行き先は銀行と債権回収専門会社
 2010年度期末で民間銀行からの貸付残高はだいたい1兆円で、年間の利払いは約23億円です。サービサーは同年度、約5万5000件を日立キャピタル債権回収など2社に委託し、16億7000万円を回収していて、そのうち1億400万円が手数料として這われている

(以下略)


 
 私が書いた『選択』の記事はこうだ。

◆元記事 『選択』(2012年4月号)三宅記事

 一〇年度の利息収入は二百三十二億円、延滞金収入は三十七億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。この金の行き先のひとつが銀行であり、債権管理回収業者(サービサー)だ。一〇年度期末で民間銀行からの貸付残高はざっと一兆円。年間の利払いは二十三億円。また、サービサーについては、同年度で約五万五千件を日立キャピタル債権回収など二社に委託し、十六億七千万円を回収、そのうち一億四百万円が手数料として払われている。

(101頁3段目13行目〜4段目4行目)

 大内氏は、自身が2017年に出版した図書『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書)のなかで、私が『日本の奨学金はこれでいいのか!』の2章で書いた記述を流用した。これに今年夏気づいた私は、大内氏に説明を求めた。すると大内氏は、盗用・剽窃ではないと回答した。その根拠として、あけび書房本の自身の記述や大阪弁護士会主催の講演での要約をあげ、内容・表現ともにすでに公表ずみであるなどと釈明した。

 今回の問題は、大内氏の釈明にある「根拠」を精査するなかで判明した。

私が大内教授問題を追及する理由

 大内裕和中京大教授の著述をめぐる問題をいくつも投稿してきた。あるいは、「個人的な話で興味がない」と不満に思われる方がいるかもしれない。たしかに、ジャーナリストを職業にしている以上、もっとほかに書くべきことがあるのかもしれない。

 だが一方で思う。

 自分の権利が守れないものに他人の権利を守ることなどできるはずがない。

 今回発覚した大内氏の盗用は、私の仕事や人格に対するひどい侮辱であり、権利侵害である。この問題に向き合うことなく、ほかの仕事に充実した気分でとりくむことはとてもできそうにない。

 ジャーナリスト業の経営を考えれば、大内問題ばかりにこだわっているのは得策ではない。それでも私は、自分の良心にしたがって、大内氏から納得のいく説明と謝罪を得るまで追及するだろう。しなければならないと思う。それが、これまで支えていただいた読者に対して、私が職業人としてとるべき誠実な姿勢だと信じるからである。