西荻窪商店街補助金問題で住民訴訟を提起

 西荻窪商店会連合会が事実上主催して開いたイベント事業に対する区の補助金をめぐり、領収書偽造などの不正が発覚した問題で、補助金全額の返還をもとめる住民訴訟をきょう東京地裁に起こしました。補助金は3400万円、区が都に支払った違約加算金が約500万円で、返還させるべき金額は計3900万円です。区は、この一部(補助金約2400万円と都に区が支払った違約加算金約500万円の計約2900万円)については返還請求する考えのようですが、残る1000万円については返還させる気がありません。

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東京地裁民事38部 令和1年(行ウ)593号
訴   状
 東京地方裁判所御中
2019年11月25日
             原 告 三 宅 勝 久  東京都杉並区阿佐谷南
             被告 杉並区長 田中良  東京都杉並区阿佐谷南1-15-1
補助金返還請求事件

請求の趣旨
1 被告は、西荻窪商店会連合会および杉並区職員田中良に対して、連帯して3901万5723円を支払うよう請求せよ。
2 被告が、西荻窪商店会連合会および杉並区職員田中良に対して、連帯して3901万5723円を支払うよう請求することを怠る事実が違法であることを確認する。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決を求める。

請求の理由
1 訴えの概要
 2014~18年度の5ヵ年度にわたり、杉並区が西荻窪商店会連合会(以下商店会という)に対して支出したイベント事業の補助金について、受給者の商店会に不正があったため、補助金の全額と民法704条所定の遅延損害金、および区が都に支払った違約加算金を、被告は商店会に対してして求償する義務を負う。また、回収しなかった金員については杉並区職員田中良に賠償させる義務を被告は負う。

2 事実経過
(1) 補助金支給状況
 杉並区は、東京都商店街チャレンジ戦略支援事業(2017年度までは「東京都新・元気を出せ!商店街事業」)ならびに杉並区商店街チャレンジ戦略支援事業(2017年度までは「杉並区新・元気を出せ!商店街事業」)制度が定めるイベント事業の補助金として、2014~18年度の5ヵ年度にわたり、「ハロー西荻」事業費および「西荻おわら風の舞」事業費名目で、商店会に補助金計3404万円を支給した(以下本件補助金という)。甲1、54頁
 なお、支給された補助金3404万円のうち1925万6000円は都から区に対して支給された「間接補助金」である(甲1、50~51頁)
 商店会に区が支給した補助金の状況は以下のとおりである。 

(商店会に対する区の補助金支給状況)
 「ハロー西荻」事業
【2014年度】
・支給額:540万3000円(うち区負担216万1000円、都負担324万2000円)
・支給日:2014年10月9日
【2015年度】
・支給額:520万1000円(うち区負担207万7000円、都負担312万4000円)
・支給日:2015年9月18日
【2016年度】
・支給額:430万4000円(うち区負担172万2000円、都負担258万2000円)
・支給日:2016年8月26日
【2017年度】
・支給額:451万6000円(うち区負担181万1000円、都負担270万5000円)
・支給日:2017年9月29日
【2018年度】
・支給額:517万9000円(うち区負担207万1000円、都負担310万8000円)
・支給日:2018年11月26日

「西荻おわら風の舞」事業
【2014年度】
 ・支給額:185万7000円(うち区負担74万2000円、都負担111万5000円)
 ・支給日:2014年11月28日
【2015年度】
 ・支給額:179万3000円(うち区負担71万7000円、都負担107万6000円)
 ・支給日:2015年12月1日
【2016年度】
 ・支給額:191万5000円(うち区負担77万円、都負担114万5000円)
 ・支給日:2016年12月19日
【2017年度】
 ・支給額:193万1000円(うち区負担77万2000円、都負担115万9000円)
 ・支給日:2017年11月1日
【2018年度】
 ・支給額:194万1000円(うち区負担194万1000円、都負担なし。都が114万1000円を負担する予定だったが中止し、区の負担とする)
 ・支給日:2019年3月1日

 合計 3404万円(区負担1478万4000円、都負担1925万6000円)
 
 一方、都から杉並区に対する補助金支給日は以下のとおりである。

(都から杉並区に対する補助金の支給日)
 「ハロー西荻」事業
 【2014年度】2015年3月4日(324万2000円)
 【2015年度】2015年12月18日(312万4000円)
 【2016年度】2016年10月3日(258万2000円)
 【2017年度】2018年3月1日(270万5000円)
 【2018年度】2019年2月25日(310万8000円)

「西荻おわら風の舞」事業
 【2014年度】2015年3月30日(111万5000円)
 【2015年度】2016年3月3日(107万6000円)
 【2016年度】2017年3月15日(114万5000円)
 【2017年度】2018年3月1日(115万9000円)
 【2018年度】(114万1000円の受給を都に申請する予定を中止)
(甲1、55頁)

(2)区による都への補助金返還状況
 東京都は2019年7月10日、商店会の補助金申請内容に、領収書の偽造や、協賛金を事業費に計上しないといった不正行為があったとして、都要綱に基づき、都から区に支出した2014年度から18年度の補助金全額の返還と、違約加算金10・95%を支払うよう区に命じた。これに対して区は、都の命令に異議申し立てをせず、8月6日、補助金全額の1925万6000円と違約加算金497万5723円を都に支払った。(甲1、61~62頁)

(3)区による商店会への求償ならびに損害賠償請求の状況
 区は東京都に対しては、都が負担した補助金の全額を返還し、違約加算金も支払ったが、最終的な補助金の受給者である商店会に対して求償を行っていない。
 領収書の偽造や協賛金の未計上などの不正内容に照らせば、区が商店会に支給した補助金の全額が不当利得であり、都に支払った違約加算金を合算した3901万5723円を求償するのが適当である。これは、都が支出した補助金の全額返還を都が区に命じ、区が異議申し立てをせずに応じている事実から明らかである。
 都が区への補助金を全額取り消したのは、東京都商店街チャレンジ戦略支援事業費補助金交付要綱17条および18条の適用による。すなわち、「偽りその他不正の手段により補助金の交付を受けた」と認定したものである。一方、杉並区商店街チャレンジ戦略支援事業補助金交付要綱にも、13条と14条に都要綱と同じ規定がある。都の要綱にしたがって全額取り消しの判断がなされているのであるから、区の要綱に基づいても同じ判断をするのは当然のことである。
 仮に区が補助金等の全額を商店会に求償できない場合、または求償しても回収できない場合は、その不足分は区職員が賠償すべきである。理由は以下のとおりである。
 たとえば、同様の不正が、すでに2013年度の時点で都によって指摘されていた(甲1、58頁「(3)平成26年度のハロー西荻に係る補助金の返還について」)。それにもかかわらず、翌2014年度からも毎年不正が繰り返された。さらに、2018年度の「おわら風の舞」事業の場合をみると、区は東京都の補助金114万1000円が得られるとの予断に立って、これを立て替える形で商店会に支給しながら、疑義を抱いた都が支給を取りやめると、区の補助金に切り替えてつじつまをあわせている(甲1、56頁・1~7行目)。本来なら区の負担では支給できない補助金が、区の落ち度によって支給されたのである。
 こうしてみると区職員の重過失は明らかであり、補助金支給当時区長の職にあった田中良は区がこうむった損害を賠償する責任を負う。

(4)監査請求前置
 原告は2019年9月5日、本件補助金の全額についての求償と賠償を求める住民監査請求を杉並区監査委員に申し立て、棄却決定を受け、10月29日に通知された。この決定は不服なので本訴訟を提起する。なお、監査結果には「請求を一部認容」すると記載されているが、具体的な返還費目や金額には言及がなく、実質的には全部棄却の決定である。

証拠方法
甲1 杉並区職員措置請求書
甲2 監査結果通知