「大熊昌巳杉並区議会議長の政務活動費違法判決を受け入れよ」との陳情に対して「個人名」削除を求めた絶望の杉並区議会

 西日本豪雨の大被害からほどなくして関西地方を猛烈な台風が遅い甚大な被害が発生、そしてきのうは北海道で大地震が起きて大きな被害が出ています。被災者のみなさまには心よりお見舞い申し上げます。安倍首相は災害のことよりも自分の自民党総裁選で頭がいっぱいの様子にみえます。どういう政府を支えるかは、文字通り自分の命にかかわる問題であるとあらためて痛感しています。

 さて、去る8月28日、東京地方裁判所民事51部(清水千恵子裁判長)は、大熊昌巳杉並区議(自民党・現議長)の2014年度分政務活動費について、統一地方選直前に作成したチラシや、衆議院議員解散当日に国会議員らを招いて開いた「区政報告会」の経費などが違法な支出だとして13万円あまりの返還を命じる判決を言い渡した。これに対して被告杉並区長は、控訴するのか、あるいは判決を受け入れるのか、いまだ態度をはっきりとさせていない(本稿執筆現在)。控訴期限は9月11日である。また、大熊議員は裁判の状況とは関係なく自主的に返還をすることが可能だが、返還がなされた事実はない。

 そこで筆者は9月5日、区議会議長に対して、区長が控訴をやめるよう議会として要請してほしい、という内容の陳情を行った。題はいささか長い。

「大熊昌巳議長の2014年度政務活動費の返還を命じた東京地裁の判決を杉並区長が受け入れて控訴をしないことを区議会として求めることに関する陳情」
 
 区議会事務局で手続きを終えて帰宅してから数時間後、午後5時を回ったころ区議会事務局の職員から電話があった。

「陳情の件ですが」

「はい」

 職員は恐縮ぎみに要件を言った。

「手続きのときに申し上げればよかったのですが、じつは、(議員の)申し合わせ事項で、請願・陳情の件名に個人名は入れないことになっているのです」

「はあ…」

「ですので、陳情の件名にある大熊議長のお名前を削除していただけないかと」

 陳情の件名から「大熊昌巳」という議員名を削除してほしいというのだった。話を聞きながら筆者は違和感を覚えた。請願・陳情というのは、日本国憲法によってあらゆるもの(何人)に対して保障された権利であるはずだ。

憲法16条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

 請願・陳情の件名に個人名を入れてはいけないなどと議員の内輪で決めてしまうというのは、この請願権を侵害することにならないのだろうか。

 そこで筆者は職員にこう返した。

「憲法が保障する請願権を侵害するおそれがあると思うので、応じられません」

「議員名の削除には応じていただけないと」

「そうです」

「わかりました」

 こうした出来事も憲法破壊の一光景といえよう。はたして区議会が筆者の陳情をどう扱うのか。事務局は追って対応状況を報告するという。

 追記:まんがいち陳情者に無断で陳情の表題に手を加えるようなことがあれば重大な権利侵害である。場合によれば国家賠償請求訴訟をする事態もありえるだろう。