裁かれる田中区長の区政私物化/自身の選挙のために税金で増田氏に月額35万円の「落選手当て」を払った疑い濃厚

 2016年7月の都知事選に自民党推薦で立候補した増田寛也元総務大臣・同岩手県知事を、落選した直後に杉並区の非常勤顧問に採用し、わずか月2度、拘束時間4時間程度の「仕事」に対して月額35万円もの報酬を払っている問題をめぐり、報酬支給は違法だして返還を求めた住民訴訟の判決が13日午後1時15分から東京地裁703号法廷である。

※ 事件番号は、東京地裁平成29年(行ウ)45号 民事2部

 審理であきらかになったのは以下の事実である。

 1 増田氏を採用するために新たな顧問職をつくった。その際、条例改定(議会で議決が必要)ではなく、すでにある非常勤職員の報酬条例にもとづいて、規則(区長の権限)改定で対応した。区議会には相談も報告もしなかった。報酬条例は、非常勤職員の報酬は原則日額で、日額の上限は3万円、月額の上限は35万円と定めている。

 2 新設する顧問職の月額35万円とするよう規則を定めた際、報酬額の算定根拠を説明した決済文書に、勤務態様は「週3日程度」として非常勤職員の報酬条例の規定(日額3万円、月額35万円)内であると明記されている。区長側は「週3日」は正式な決定ではない」と反論をしたものの、「週3日」以外の勤務日数を検討した痕跡はなかった。

 3 規則改定作業に入るより前の段階(都知事選直後)で、田中区長が増田氏に面会し、顧問就任を打診・承諾を得ていた。その際、具体的な勤務日数や報酬額の条件についてどのような合意があったのかは不明(回答せず)。月2回程度で35万円という話が内密になされていた可能性がある。

 4 2016年9月の勤務は2回、拘束時間は「会議」出席の4時間であった。その会議に関して作成された文書は、手書きメモをもとにつくられた5行程度の項目がかかれただけの「業務報告書」のみだった。メモは報告書作成後に廃棄された。「仕事」はごく簡単なものだった。

 以上の事実をもとに素直に判断すれば、違法との判断がなされてしかるべきだと思う。
 
 田中区長は自民党に全面協力をすることで自身の選挙(今年6月に予定)への支援を求めた可能性が高い。田中氏への最大の選挙支援とは、自民党独自の立候補者をださないことである。そして「自民党は出さないらしい」といううわさが巷間ささやかれている。増田氏への月額35万円はそのための貢物だったのではないか。区政の私物化、腐敗行政である。

 もっとも裁判官は、違法性が疑われてもなるだけ現状を追認したがることが多いので、適法という判決がでる可能性もある。その場合は、いったいどんな理屈で「税金万引き」(公の立場を利用してこそこそ税金を盗むこと)を黙認したのかを見たうえで、裁判官を批判することになるかもしれない。裁判は、裁判所自身を市民が監視し、励ます場でもある。