時給8万円の杉並区顧問報酬を問う―東京高裁に控訴 

 月2日、4時間の「仕事」に対して35万円の非常勤顧問報酬を支給したのは違法・無効だとして同額の返還を求めた住民訴訟で、1審東京地裁(林俊之裁判長)は「社会通念上著しく高額とはいえない」などといったいい加減な理由で訴えを棄却した。原告としてはとうていなっとくできないので東京高裁に控訴した(控訴は23日付)。

 50日以内に控訴理由書を提出し、その後期日が決まる予定だ。詳細がわかりしだいご報告したい。

 

 

「日本の極右はなぜオリンピック停戦を憎むのか」ジョセフ=エゼティエル(その1)

 カウンターパンチから名古屋工科大准教授エサテイエ=ジヨセフ氏の論文「日本の極右はなぜオリンピック停戦を憎むのか」を抄訳して紹介します。なお翻訳の責任は訳者にあります。
  
https://www.counterpunch.org/2018/02/23/why-japans-ultranationalists-hate-the-olympic-truce/
Joseph Essertier

2018/02/25 09:43
「日本の極右はなぜオリンピック停戦を憎むのか」ジョセフ=エゼティエル

「北朝鮮を過去から現在につづく脅威に仕立てることは、日本の安倍晋三総理大臣と彼を取り巻く極右の政府高官たちが国内をまとめるのに都合がよい。ここ最近におけるワシントンとピョンヤンの緊張状態によって世論の目は外敵に向けられ、安倍政治は日本にとってよいのだという安倍総理の描いた筋書きを支えるのに役立っている」

 この文章は、CNNの記事をもとにして登場人物を入れ替えたものだ。
 なぜ安倍と彼を取り巻く極右たちがオリンピック停戦を嫌悪し、最大の圧力=言い換えれば、虐殺的な制裁と朝鮮半島で再び大量殺人を起こすぞという脅し=を通じて南北が和平するのを邪魔しようとするのか、その5つの理由を以下に述べる。

1 親族の名誉

 安倍内閣の極右大臣たちーー2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えているがーー、彼らの祖先は日本が帝国時代だったときに大きな利益を享受している。祖先たちは朝鮮人や中国人、そのほかの人たちを拷問し、殺し、搾取した。この祖先の「名誉」を彼らは回復したがっている。現在の総理大臣である安倍晋三は岸信介の孫にあたる。岸はA級戦犯でからくも死刑から逃れた人物だ。東条英機の忠臣である。ふたりの関係は1931年にさかのぼる。満州を植民地支配し、資源と人を収奪した。自分自身と帝国の利益のために朝鮮人と中国人を強制労働させた。満州で岸が確立した奴隷制度は、軍による性取引に道を開き、日本・朝鮮・中国ほかの国の女性たちが人身取引された。

 現財務大臣の麻生太郎も岸信介と関係がある。裕仁天皇の甥(三笠宮寛仁)と自分の妹(信子)が結婚するという形で皇室とつながっている。戦争中、朝鮮人の強制労働による搾取で巨大な鉱山利潤が築かれたが、彼はその遺産の継承者である。麻生の法律上の兄弟で2020年東京五輪担当大臣の鈴木俊一もまた極右で歴史否定論者である。

 南北朝鮮の多くの人たちは、過去と現在の極右の人たち、つまり自分たちの祖先を拷問した者たちのことをとてもよく理解している。朝鮮に関する歴史家であるブルース=カミングスは、冗談まじりにこう述べている。

「ピョンヤンが共産主義の遺産に苦労する一方で、日本は民主主義の遺産に苦労している」

2 差別主義者による否定主義、歴史修正主義
 
 安倍内閣の多くの閣僚は日本会議の会員だ。安倍、麻生、鈴木、東京都知事で元防衛大臣の小池百合子、厚労大臣の加藤勝信、防衛大臣の小野寺五典、菅義偉官房長官。日本会議は草の根の運動に支えられ、潤沢な資金をもった団体だ。「東京裁判」史観をひっくりかえし、平和を追及する例のない憲法9条を削除するよう主張している。「戦争は国家の主権であり、国際紛争を解決する手段である」と公言している。1910年の日韓併合は合法的だったとも主張している。

 麻生太郎はトランプ大統領と同じで、あけすけで露骨な差別主義者だ。弱者への攻撃をそそのかす。彼は「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」とのべた。

 昨年は小池都知事が象徴暴力※をつかって朝鮮人攻撃を行った。1923年の関東大震災時の混乱時におきた朝鮮人虐殺を追悼する式典に追悼文を送ることを中止した。地震のあと、朝鮮人が井戸に毒を入れたなどといったデマが東京にひろがり、差別主義者の自警団らが何千人もの朝鮮人を殺害した。罪のない犠牲者を悼む式典は何十年も続いてきた。しかし朝鮮人の苦難を理解しようとするこの伝統を終わらせようと企てることで、彼女もまた、差別主義者らから力を得ている。一方差別主義者たちは北朝鮮からの嘘の「脅威」によって力を得ている。

※象徴的暴力(Symbolic violence=社会学の概念で、支配者が支配の正当性を被支配者に受けいれさせる手段という意味か。訳者注)

3 日本の軍事化をさらに進める

 日本は平和憲法をまだ持っているが、他国を脅かすだけの軍事装置を築きつつある。現段階での日本の軍事予算は韓国よりわずかに大きく、世界で8番目に「すぎない」。防衛支出の意味に限れば。安倍はさらに軍隊を強くし、軍国化をして、かつて1930年代の栄光を取り戻そうとしている。すくなくとも彼の心のなかでは。

 韓国と日本は絶えず米国とともに戦争ゲームを行ってきた(婉曲的に「合同軍事演習」と表現されている)。安倍はトランプと同様に、五輪が終わり次第、できるだけ早くこの戦争ゲームを再開しようとしている。「コープノース」(北岬)と呼ばれる戦争ゲームが、2月14日から3月2日まで、日本と米国、オーストラリアの参加によってグアムで行われている。「アイアンフィスト」(鉄の拳)戦争ゲームが米国と日本によって南カリフォルニア州で行われており、2月7日に終わった。世界最大級の戦争ゲームは米国と韓国による軍事演習「キーリゾルブ・フォウルアンドイーグル」(子馬と鷹)だ。昨年、これらの演習に韓国兵30万人と米兵1万5000人のほか、オサマ=ビンラディンを暗殺した特殊部隊「SEALチーム6」が参加した。B1―B超音速爆撃機とB-52核戦略爆撃機、航空母艦、原子力潜水艦が投入された。軍事演習は五輪停戦によって延期されたが、もしムン=ジェイン韓国大統領が中止するか、再延期をしない限り4月には再開するだろう。

 韓国は現在は主権国家であるから、ムン大統領は「凍結のための凍結」の合意を行う権利をもつ。彼の政府が攻撃的な軍事演習を棚上げにし、北朝鮮がそれに対して核兵器の開発を凍結するという合意である。

 日本が国際社会において存在感を示し得るひとつの方法は、核兵器を持つことだろう。北朝鮮が持っているのになぜ日本にないのか。キッシンジャー元米国国務長官が最近こう発言した。

「北朝鮮のような小さな国は極端な脅威ではない」

 しかし北朝鮮が核兵器を持ったいま、日本と韓国も核兵器を欲しがるようになってしまった。それこそが問題なのだと第1級の帝国主義者であるキッシンジャーですら考えているのだ。
 
 日本と韓国のこの攻撃的兵器(核)に対する欲求をトランプ米大統領は刺激している。フォックスニュース・クリス=ウオーラスのインタビューでこうはなしている。

「日本もおそらく可能だ。じっさい北朝鮮の脅威から自分で自分を守るほうがいい」
「核武装も含めてですか?」
「核も含めてか? そうだ。核兵器も含む」

 CNNのジェーク=タッパーが後にこのやりとりを再確認している。そして2016年3月26日のニューヨークタイムスは、トランプ大統領候補=当時=が、「中国と北朝鮮から守るのに米国の核の傘に頼るよりは、日本と韓国が自分で核兵器を開発することを認めたほうがよい」(記事本文)と報じた。

 世界の非核兵器国家のなかで、日本ほど核の能力を持っている国はない。東京政府は数ヶ月で核兵器を作れるだろうと多くの専門家は分析している。混乱(日本が核武装する事態の意味?)につづいて、おそらく韓国と台湾が核武装するだろう。台湾はひそかに日本から核の支援を受けている。小池都知事も2003年、日本が核武装することを容認する発言をした。

4 選挙に勝つ

安倍や麻生ら日本の極右の人たちには、朝鮮半島が和平になると、「脅威」によって維持してきた権力が失われる。だからたいへん都合の悪いことなのだろう。

 麻生自身、昨年11月に自民党が選挙で勝ったのは北朝鮮の脅威のおかげであると認めた。これは後に口がすべったとして撤回させられた。

 極右教育を行う私立小学校をめぐる汚職によって安倍政権はゆらいできた。しかし巨大で邪悪な体制による「脅威」のほうに関心がそらされ、有権者はより安全で親近感のある自民党を選んだ。

 この小学校のために国有地が7分の1の価格で売却されており、汚職は明白だった。しかし外国の「脅威」のおかげで彼は権力を維持することができた。(汚職で)罷免された南朝鮮のパク・クネ大統領のようにはならなかった。

 安倍は、「北朝鮮が日本を標的に、サリンを搭載したミサイルを向けている」と多くの人に信じさせることに成功した。サリンは1995年にカルト集団「オウム真理教」が地下鉄で使い、何十人もの死者を出した。以来日本人を怯えさせている。加えていま行われている「J-アラート」警報をつうじて、北朝鮮の実験ミサイルが日本に着弾するかもしれないとして北日本に住む数百万人に避難壕へ逃げるよう助言がなされている。私たち日本に住む者にはうるさいことだが、安倍のような極右にとってはこれとない安価な宣伝になっている。

5 「しー」 もうひとつの世界が実現できることを誰にも言うな。

 重要なことを最後にいいたい。北アジアが独自の発展をとげることは大いなる脅威であるとして、ワシントンだけでなく、ワシントンシステムに依存する東京も悩んでいる。

 米国が支配する世界システムの外側において、中国は大きな成長をとげた。北朝鮮も完全に米国システムの外で発展してきた。そしていま、ムン韓国大統領は、米国にできるだけ依存しない独自のあたらしい経済構想を進めようとしている。

 あたらしい構想は「新南方政策」「新北方政策」と呼ばれる。

 前者(新南方政策構想)は、南朝鮮が北朝鮮と良い関係をもっているインドネシアと貿易関係を深め、後者(新北方政策構想)ロシア、中国、そして北朝鮮ともより貿易を盛んにするというものである。

 たとえば、南朝鮮から北朝鮮を経由してロシアまでインフラを新設し、そのかわりに北朝鮮の核兵器開発を凍結するという計画がある。

 また、南朝鮮の経済を、近隣諸国である中国や日本、モンゴルと連携させていこうとする議論も進行中だ。

 2017年9月7日にロシアのウラジオストックで開催された東経済フォーラムでムン南朝鮮大統領は、プーチン・ロシア大統領の計画について、「9つの協力の橋である」と述べた。すなわちガス、鉄道、港湾、電気、北方海路、造船、仕事、農業、そして漁業である。

 かつての、あるいは現在の共産主義国家である中国、北朝鮮、ロシアと、ムン南朝鮮大統領の経済構想は、「門戸開放政策」−ーつまり、貪欲で独占的なアメリカの非生産階級ーー(オキュパイ=占拠運動=)において「1%」と表現された人たちーーの物質に対する幻想を厳しく制約し得る。

 ポール=アトウッドはこう説明している。「門戸開放政策」という言葉をこんにち使う政治家は多くないが、なお「アメリカの根底にある戦略が外交政策をおおげさなものにし続けている。全地球に適用し得るるこの政策とは、巨大な中国市場(現在は巨大な東アジア市場)に対するものである」

 アトウッドはこれを「アメリカの金融と企業が、あらゆる国と領土に自由に入って資源と安い労働力を手に入れることができる。ときに外交的にそれを行い、しばしば軍事力も使う」という概念として定義する。

 北アジアの国々が独自に経済発展をすることによってアメリカの労働者は困らない。それどころか、米国の企業が労働者と天然資源を搾取することを防止できる。東アジアは世界でももっとも豊かな可能性のある場所である。ロシア経済に利益をもたらす。ロシアは米国に匹敵する国だが、発言力はさらにましていくだろう。

 ワシントンのエリートの視点でみれば、われわれはいまだ朝鮮戦争に勝っていない。

 北朝鮮が独自の発展を遂げ、高性能の核兵器を所持した国であると見なすことができないでいる。

 これは悪い前例なのだと考えている。つまり、他国が北朝鮮にならって、堂々たる近代化と独立を遂げるというのが「脅威」なのだ。

 ガキ大将国家の「ドン」が近隣国に対して「絶対に許さない」といっているようなものだ。

 北朝鮮はすでに、米国が支配するグローバル(地球規模)システムの外側に、かつての「共産」国家であった中華人民共和国と旧ソ連の支援をうけ、発展をとげることに成功している。

(「共産主義者」という言葉はしばしば、独立した発展を目指す国としてつかわれる)

 そして北朝鮮は、70年間アメリカ企業に市場を開放せずに、独立してきた。

 これはワシントンの側にすれば棘でありつづけた。マフィアのドンのようなものである。米国のドンにとって重要なのは「信用」である。しかし北朝鮮の存在はまさにそれを傷つけている。

 なぜ安倍がマイク=ペンス副大統領と肩を組み、朝鮮半島の平和行進の上に「雨」を降らせるのを助けようとするのか。それを説明するのが、上にのべた5つの理由である。
(つづく)

★「日本の極右はなぜオリンピック停戦を憎むのか」(その2・最終回)

記事掲載のおしらせ

 記事掲載のお知らせです。

・マイニュースジャパン〈大東建託赤羽支店で大卒新入社員が自殺、過酷なノルマと連日の叱責でうつ病発症か〉
http://www.mynewsjapan.com/reports/2376

・『週刊金曜日』2月16日号 金曜アンテナ〈兵庫県警機動隊で連続自殺 法廷で真相解明へ〉

 ぜひごらんください。

埼玉県知事特別秘書「違法給与」疑惑濃厚に/給料水増しでヤミ手当支給か

 埼玉県知事特別秘書(伊地知伸久元志木市議)に対して一般職職員の給料表にはない高額な月額給料が払われている問題で、あらたな事実がわかった。条例上支給できない「管理職手当」と「勤勉手当」を、一般職給料表の月額給料に上乗せする形で払っていることを県が認めたのだ。

 伊地知秘書に払われている月額給料は64万8200円。一般職給料の最高額は55万8700円で、それよりも9万円も高い。知事特別秘書の給料額について条例は「一般職の職員の例により知事が定める額」と定めているが、一般職にはありえない金額である。

 違法に高額な給与(給料・手当)を払っているのではないかと、筆者は昨年10月、『週刊金曜日』の記事で問題を指摘した。

http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2017/10/11/antena-90/

 県は「違法ではない」と釈明していた。

 だが、筆者は最近まで知らなかったのだが、記事が発表された直後、埼玉県はホームページで釈明を行っていた(すでに削除)。その説明によれば64万8200円の内訳はこうだ。

 「行政職9級15号49万8000円+管理職手当分13万0300円、勤勉手当分1万9900円」


 条例では、知事特別秘書に払える手当は、期末手当と地域手当である。管理職手当も勤勉手当も条例上払うことはできない。だから払わないのではなく、「月額」に上乗せする形で払ってあげましょうということらしい。給与条例主義を完全に無視した組織的な「税金泥棒」というほかない。これが認められるのであれば、条例無視で好き放題に給料を吊り上げることが可能になる。

 違法ではないのか、ヤミ手当ではないのかとあらためて人事課をただしたが、「条例は”一般職の例により”とあるので違法ではない」とよくわからない説明を繰り返した。ならば「一般職でもこういう払い方ができるのか」とたずねると、「絶対にできません」と即座に否定した。なぜ特別秘書だけは「給料上乗せ」ができるのかについては説明はなかった。

 毎日新聞と東京新聞に情報を提供し、ぜひ報道してほしいと伝えたが、いまのところ記事にはなっていない模様だ。騒ぎにならないのをいいことに明白な税金泥棒がどうどうと続けられている。

2月28日18時から東京弁護士会主催のシンポジウム「東京都の情報公開はいま」

 催しのご案内です。2月28日午後6時~8時、弁護士会館(霞が関)3階301号室で、東京弁護士会主催のシンポジウム「東京都の情報公開はいま」が開かれます。私もパネリストとして参加します。知事特別秘書の給料額を非開示にしている問題などを報告する予定です。ご都合の許すかたはぜひ足をお運びください。

 https://www.toben.or.jp/know/iinkai/himitsuhozen/news/post_16.html

(東京弁護士会のホームページより転載)

シンポジウム 東京都の情報公開はいま?

「情報公開は都政改革の1丁目1番地だ」と訴えて来た小池百合子氏が東京都知事に就任して約1年半、昨年6月には公文書管理条例も成立しました。

情報公開条例の運用では、開示文書の写しをデータ化してCD-Rで受け取ることができるようになったり、以前は不開示だった築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガスとの交渉記録が公開されるなど、一定の前進がありました。
一方、情報公開が後退しているのでは?という動きもあります。

そこで、取材に情報公開条例を活用しているフリージャーナリスト、情報公開条例を使って住民訴訟に取り組んでいる弁護士、東京都の情報公開に関心のある都議会議員をパネリストにお迎えして、東京都の情報公開・公文書管理の現状と問題点を考えます。
日時

2018年2月28日(水)午後6時~午後8時
場所

弁護士会館3階301会議室
内容

パネルディスカッション
【パネリスト】
大城 聡(東京弁護士会会員)
千葉 恵子(第二東京弁護士会会員)
上田 令子(東京都都議会議員)
三宅 勝久(フリージャーナリスト)

【コーディネーター】
清水 勉(秘密保護法対策本部委員)
予約・申込み

不要。どなたでもご参加いただけます。
参加費

無料
主催

東京弁護士会

お問合せ先
人権課 TEL:03-3581-2205

時給8万円の増田顧問超高額報酬を「社会通念上著しく高額ではない」と容認した東京地裁の非常識判決

 月2日、4時間の「簡単なお仕事」で月額35万円の杉並区非常勤顧問報酬を、田中良区長のお友達である増田寛也氏払ったのは違法だとして、2016年9月分35万円の返還を求めた住民訴訟の判決が13日、東京地裁であり、林俊之裁判長は住民側敗訴を言い渡した。

 とても、まじめに検討した結果とは思えない手抜き判決、あるいは欠陥判決ではないかと筆者はあきれている。勤務態様は「週3日程度」、月額報酬を35万円とした算出根拠として、12日×3万円=36万円、と明記した公文書がありながら、この文書が作成された意図や35万円の根拠をいっさい検討せず、また勤務日数や仕事の具体的な内容も検討することなく「社会通念上著しく高額とはいえない」というあいまいな理由で原告の訴えを棄却した。杉並区民をとことん見下した傲慢な考えがありありとにじむ判決である。

 増田1審判決

 むろん原告として筆者はなっとくがいかない。控訴すべくもっか弁護士と相談しているところである。ひきつづきご支援をたまわりたい。

 以下、事件の概要と判決の問題点を列記しておく。

●事実経過
2016・7 都知事選に増田寛也氏が立候補(自公推薦)し、田中区長が応援するも落選。
2016.8 田中区長が増田氏に杉並区非常勤顧問就任を打診、承諾を得る。勤務態様、報酬など条件についてどのような合意があったのかは不明。
2016・8下旬 非常勤職員報酬条例の規則改定案(顧問職新設)作成。「勤務態様は週3日程度、報酬は月額制。額は35万円。月額35万円の算定根拠は、月12日、3万円×12=36万円。条例の月額上限は35万円」と記された文書とともに区長が決済する。規則改定にあたって区議会には報告も事前の相談もなし。
2016・9 増田氏勤務開始。9月は出勤2日、拘束時間計4時間あまり。職員が作成した会議の記録はごく簡単な箇条書きのメモだけ。

● 法理
自治法203条の2第2項本文および但し書きによれば、非常勤職員の報酬は原則日額(生活給の趣旨なし。純粋な勤務に対する反対給付)。条例で特別の定めをした場合は日額以外の支給方法も可能(議会に一定の裁量権付与。ただし乱用・逸脱の場合は違法・無効)

・判例:大津地裁判決(最高裁判例)・杉並区監査委員報酬返還訴訟(東京地裁)・杉並区選挙管理委員報酬返還訴訟(東京地裁・高裁)

● 争点
・非常勤職員報酬条例は、報酬額の決定を区長(規則)に白紙委任しており違法・無効である。
・ 条例の委任範囲を超えた違法・無効な規則である(自治法203条の2第2項ただしがきで定めた「条例で特別の定め」がなされていない)。
・ 勤務実態が乏しいのに35万円支給を可能とした条例は、自治法203条の2第2項ただしがきで議会に付与した裁量権を逸脱しており違法・無効である。
・ 規則・条例が違法・無効でなくても、不支給規定をつかわなったのは裁量権の乱用であり、支給は違法・無効である。

 被告杉並区長は否認。

●原告の主張
 ――週3日程度の出勤を前提にして月額35万円を算出している。月2日しか出勤しておらず、あきらかに過大な支給である。顧問職新設は、非常勤報酬条例の改正ではなく規則で行った。増田氏の経歴等を考慮しても日額相当3万円以上を支給できる理由はない。月額35万円は時給換算すると7-8万円になる。非常勤報酬条例はそれほどの高額な時給を認めていない。
 増田氏のじっさいの勤務態様も特段重責とはいえない(非常勤選管委員・同監査委員らと比較すると明らかに責任の度合いは軽い)。出勤日以外に仕事をした形跡もない。
 社会通念に照らしてもいちじるしく高額。都非常勤顧問は時給、増田氏が就いている北海道非常勤顧問は日当。

●被告反論(概要)
 -―増田は立派な経歴があり、区政に貢献するので月35万円はたかくない。仕事の実績は日数ではかれるものではない。「週3日程度」と記した文書があるが、正式決定ではない。便宜上記載しただけである。

● 判決の問題
・ 非常勤職員報酬条例の報酬額(上限日額3万円、月額35万円)の趣旨にかんする検討をいっさいしていない。
・ 「週3日程度の勤務」を前提に月額35万円を算出したと明記された公文書について、いっさい検討・考慮していない。
・ 報酬支給を妥当とする根拠としている「社会通念」の意味が不明。

    

裁かれる田中区長の区政私物化/自身の選挙のために税金で増田氏に月額35万円の「落選手当て」を払った疑い濃厚

 2016年7月の都知事選に自民党推薦で立候補した増田寛也元総務大臣・同岩手県知事を、落選した直後に杉並区の非常勤顧問に採用し、わずか月2度、拘束時間4時間程度の「仕事」に対して月額35万円もの報酬を払っている問題をめぐり、報酬支給は違法だして返還を求めた住民訴訟の判決が13日午後1時15分から東京地裁703号法廷である。

※ 事件番号は、東京地裁平成29年(行ウ)45号 民事2部

 審理であきらかになったのは以下の事実である。

 1 増田氏を採用するために新たな顧問職をつくった。その際、条例改定(議会で議決が必要)ではなく、すでにある非常勤職員の報酬条例にもとづいて、規則(区長の権限)改定で対応した。区議会には相談も報告もしなかった。報酬条例は、非常勤職員の報酬は原則日額で、日額の上限は3万円、月額の上限は35万円と定めている。

 2 新設する顧問職の月額35万円とするよう規則を定めた際、報酬額の算定根拠を説明した決済文書に、勤務態様は「週3日程度」として非常勤職員の報酬条例の規定(日額3万円、月額35万円)内であると明記されている。区長側は「週3日」は正式な決定ではない」と反論をしたものの、「週3日」以外の勤務日数を検討した痕跡はなかった。

 3 規則改定作業に入るより前の段階(都知事選直後)で、田中区長が増田氏に面会し、顧問就任を打診・承諾を得ていた。その際、具体的な勤務日数や報酬額の条件についてどのような合意があったのかは不明(回答せず)。月2回程度で35万円という話が内密になされていた可能性がある。

 4 2016年9月の勤務は2回、拘束時間は「会議」出席の4時間であった。その会議に関して作成された文書は、手書きメモをもとにつくられた5行程度の項目がかかれただけの「業務報告書」のみだった。メモは報告書作成後に廃棄された。「仕事」はごく簡単なものだった。

 以上の事実をもとに素直に判断すれば、違法との判断がなされてしかるべきだと思う。
 
 田中区長は自民党に全面協力をすることで自身の選挙(今年6月に予定)への支援を求めた可能性が高い。田中氏への最大の選挙支援とは、自民党独自の立候補者をださないことである。そして「自民党は出さないらしい」といううわさが巷間ささやかれている。増田氏への月額35万円はそのための貢物だったのではないか。区政の私物化、腐敗行政である。

 もっとも裁判官は、違法性が疑われてもなるだけ現状を追認したがることが多いので、適法という判決がでる可能性もある。その場合は、いったいどんな理屈で「税金万引き」(公の立場を利用してこそこそ税金を盗むこと)を黙認したのかを見たうえで、裁判官を批判することになるかもしれない。裁判は、裁判所自身を市民が監視し、励ます場でもある。