情報公開で「全開示」しながら勝手に一部白塗りーー問題を杉並区が「反省」

 公文書を「全部開示」する決定をしておきながら、閲覧・謄写する段になると「偽造防止」とかいう意味不明の理由で決済印の一部を消す。根拠規定を尋ねても明確な答えはない。そんな奇妙というほかない情報公開制度の運用が杉並区では長年まかりとおってきたが、とうとう改善にこぎつけた。
 
 増田寛也氏を顧問に雇う際の規則改定手続きに関する文書を筆者は情報公開請求し、先週末に「全部開示」決定の通知を受け取った。その開示された文書を、きょう(10月2日)、区役所で閲覧・謄写した。興味があったのは、文書の中身ではなく印影の処理の仕方だった。

 じつは、同じ文書を過去にも情報公開請求によって入手していたが、「全部開示」決定にもかかわらず印影を白くぬりつぶした不完全なものだった。

 はたして、今回はどうか。杉並区が用意した文書は、いっさい白塗りのない、印影がはっきりうつったものだった。全部開示した文書を白塗りする悪習は、こんごあらためられるはずだ。

 情報公開条例は「非開示理由」をさだめていて、それに該当する場合は非開示にできる。その結果に不服がある場合は、審査請求や裁判で争うことができる。

 しかし、「全部開示」にした文書を、なんだかんだと理屈をつけて白塗りしてしまえば、不服があっても異議の唱えようがない。言い換えれば、首長らがすき勝手に公文書の情報を非開示にできることになる。
 
 見過ごせない重大な問題だと思った筆者は、約1年前に、印影の白塗りは事実上の「一部非開示」決定だとして、非開示を取り消すようもとめる不服審査を申し立てた。結果の連絡はまだない。

 今回あらためて同じ文書を情報公開請求したのは、「全部開示」文書の白塗りがなおも続くようなら裁判で決着をはかろうと考えたからだ。訴状は準備しており、すぐに出せる状態だった。

 しかし、冒頭のべたとおり、杉並区は白塗りをやめ、「全部開示」の決定どおりすべて文書を開示したので裁判の必要性はなくなった。

 手間はかかったが、違法性がうたがわれる行政の慣例がひとつ改善された。このあたりは、杉並区は東京都よりは風通しがいいともいえる。おそらく都であれば、窓口で文句をいったくらいで改善することはないだろう。比較的役所の規模が小さいからかもしれない。