海自輸送艦「おおすみ」衝突事故の裁判

 2014年1月、海上自衛隊の輸送艦おおすみ(8900トン)が小型釣り船とびうお(5トン未満)と衝突、とびうおが転覆して船長ら2人が死亡した事件で、遺族や生存者が原告となって国を訴えた訴訟の口頭弁論が31日、広島地裁であった。筆者は傍聴のために広島を訪れている。

 この日の弁論では艦橋でのやりとりを録音した記録の分析が争点となり、衝突約1分前に「避けられん」という発言があったことを自衛隊側が認めた。1分前に衝突の危険を認識していた証拠と考えられる。自衛隊はこれまで、衝突の危険を察知したのは「30秒前」で、とびうお側が舵をきってぶつかってきたためだなどと主張してきたが、この主張がゆらぐ可能性がある。

 事件の概要は今週発売の「週刊金曜日」をごらんいただきたい。

 次回弁論は来年1月12日午後3時、広島地裁305号(より広い302号に変更する可能性あり)法廷。
 

冤罪の疑い濃厚な「倉敷民商事件」

 しばらく東京を離れて中四国地方に出かけていた。27日には広島高裁岡山支部(岡山市)で「倉敷民商事件」の刑事公判を傍聴した。法人税法違反(脱税の幇助)と税理士法違反(無資格で税理士業務を行った)として倉敷民主商工会(倉敷民商)の相談員が岡山地検によって逮捕・起訴された事件である。被告側は一貫して無罪を主張している。

 1審岡山地裁は有罪判決を出し、この日の公判は控訴審の1回目だった。

 調べれば調べるほどに冤罪の疑いが濃厚だといわざるを得ない。詳しくお伝えしたいところだが、税法の専門知識が必要で、かつ込み入っているので、わかりやすく記事にするのは容易ではない。筆者はもっか勉強しているところだ。

・ 民商会員の建築会社が脱税で摘発された。
・ その脱税を幇助した

――という内容だが、これまでの審理で浮かんできたのは、

1 問題の会社は、重加算税を課せられていない疑いが濃く、悪質な脱税だったのか? 
2 帳簿をつけていたのは会社関係者で、民商相談員は年に3度ほど訪問し、確定申告書を仕上げる手伝いをしただけではなかったか。それが脱税幇助、あるいは税理士法違反になるのか?
3 問題の会社の経営者は逮捕されていないのに、民商相談員は逮捕され、長期間(420日以上)拘留された。司法取引をしたのではないか。
 などの疑問である。 

 1審で裁判官が有罪のきめてとしたのは国税査察官K氏の報告書で、これを裁判官は鑑定書として証拠採用した。K氏は民商を告発した張本人であったことから、鑑定人としての資格があるのか大きな疑問があるうえに、その内容も伝聞情報をもとにした部分が多く、弁護側から信頼性を問う主張がなされていた。

 弁護側は、この報告書が鑑定書として無価値であるとした大学教授の意見書を証拠請求していたが、この日の法廷で裁判官は意見書を証拠採用し、即日結審した。一審判決が見みなおされる可能性は少なくないとの観測がなされている。判決は来年1月12日10時半、岡山地裁合同庁舎でもっとも大きい100号法廷で言い渡される。

 こういう専門性が高い事件は一般世論の理解が得られにくく、したがって悪意をもって冤罪を仕立てようとした場合は比較的簡単にちがいない。倉敷民商事件で幸運だと思うのは、全国の民商関係者に税金に関する高度の専門家が多数おり、強力な支援態勢ができあがった点である。傍聴人として感じるのは、裁判官や検事よりも弁護側のほうがはるかに高度な専門知識をもっているという事実である。

護衛艦おおすみ衝突事故の記事掲載のおしらせ

 今週発売の『週刊金曜日』に、海上自衛隊の護衛艦おおすみ衝突事故に関する記事を書きました。ごらんください。なお、記事中「全速力」とありますが、これは国土交通省の事故調査報告書に記載された「変速標準表」に従った記述です。もっとも速いものは1戦速(18ノット)となっています。防衛省の公表データによると最高速度は22ノットですが、通常の航海で使用する最大級の速度は「1戦速」までだとおもわれます。

 ★国土交通省の調査報告書
 
 

イチジクの葉としての小池百合子騒ぎ

 知人宅を訪問してひさしぶりにテレビをみた。以下感想。

 明石の火事、大騒ぎをして報じているが、けが人はいるのか、どうやって逃げたのか、火の気がある場所だったのか、消防車が何台出たのか、空気は乾燥していたのか、初期消火に失敗したのはなぜか・・・など内容のある話がほとんどない。燃えている映像をながして「燃えてます」と繰り返すだけ。日本のテレビ局の記者やキャスターというのはその程度の取材力でことたりるということだろう。

 小池百合子氏(都知事)が希望の党の代表をやめるかどうかという話題の取り上げかたも異常に大きく、違和感を覚える。それがどうしたの?と思わずつぶやいた。うわさでは安倍政権は臨時国会を開かないことをたくらんでいるらしい。森友・加計問題を忘却させるために、延々と国会をひらかないままどさくさ解散をやり、選挙がおわってもまだ開かない。これこそがトップニュースだろう。希望の党騒動は「安倍国会開かず」事件を隠すためのイチジクの葉のようにみえる。

 無国会国家へのクーデターがすすんでいる。

 

記事執筆のお知らせ 「香川・平井卓也自民党候補の親族企業に多額の政治資金が“還流” 過去5年で1億1000万円超」

 マイニュースジャパンに記事をかきましたのでご案内します。

【香川・平井卓也自民党候補の親族企業に多額の政治資金が“還流” 過去5年で1億1000万円超】

 香川県選出の前衆議院議員(自民党推薦、本稿発表時点では衆議院議員候補)である平井卓也氏の親族企業に、過去5年間で1億1000万円を超える政治資金が、「会場運営費」などさまざまな名目で支出されていることが、政治資金収支報告書の調査でわかった。1億1000万円のうち約3400万円は政党交付金――つまり税金だ。支出を受けた親族会社は、四国新聞社や同社の関連企業、そのグループ企業である西日本放送の関連企業など、7社。平井氏自身が過去に役員をしていたり、または現在も役員をしている会社が含まれており、それらの会社から報酬も受け取っている(つまり税金や政治資金が自身の報酬に化けている)。「政治資金の還流」として問題視せざるを得ないが、四国新聞は今回の衆院選で自民党に好意的な報道をしており、地元メディアを私物化して公正な選挙をゆがめている疑いが濃厚だ。

【Digest】
◇ 安倍政権絶賛する四国新聞の「選挙報道」
◇平井氏が代表をする自民党支部
◇ 平井親族企業への政治資金支出状況
◇ 政治資金流入の親族企業から報酬
◇平井氏が代表をする自民党支部
http://www.mynewsjapan.com/reports/2352

10月30日「シナリオ教室」講座のおしらせ

 講座のご案内です。
 10月30にち
 シナリオ・センター
(〒107-0061 東京都港区北青山3-15-14・電話03-3407-6936、
scenario@scenario.co.jp)
 た主催するシナリオライター講座で、フリージャーナリストの職業についてお話をすることになりました。

ドラマ 創作のヒント!フリージャーナリストに迫る


「Theミソ帳倶楽部~職業のひみつ フリージャーナリスト 編~」

 ご関心がある方は上記シナリオセンターまでお申しこみください。

主催者・シナリオセンターのホームページから申し込み要領を転載します。

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日時 2017/10/30(月 19:00~20:30
講師 ゲスト:三宅勝久 [フリージャーナリスト]
 ナビゲーター:横浜大輔 [若葉文庫 代表 元フライデー・元週刊現代 記者]
定員 80名(定員になり次第締切)
会場 シナリオ・センター 3階ホール
受講料 1,000円(シナリオ・センター会員・元会員) 1,500円(一般)
お申込 シナリオ・センター事務局・公式サイトのお申込みフォーム・お電話(03-3407-6936)
お支払 銀行振込、または事務局にて、事前にお支払ください。開講間近の場合は事務局で現金にてお支払ください。

※お支払い頂き、お申込完了となります。メールにお振込先をご連絡させて頂きます。ご予約のみの場合は、キャンセル待ちになる場合がありますので、ご了承ください。

増田顧問の「時給7万円」の報酬を返せ裁判、12月結審予定

 田中良杉並区長が自民党の支持を得たいがために「お友達」に税金で「落選手当て」を払ったという構図が濃厚に疑われる増田寛也顧問の報酬返還請求訴訟の口頭弁論が19日、東京地裁民事2部(林俊之裁判長)であった。原告側は区長と増田顧問ら区職員の尋問申請を行ったが、林裁判長は不要として却下した。12月7日午前10時45分703号法廷の次回弁論で結審する予定。

 一連の裁判のなかで明らかになったのは、「月額35万円」という報酬を決める際、月のうち何日くらいの勤務であるか、肝心の勤務態様がいっさい考慮されていなかったという事実だ。

 被告(杉並区長)の主張によれば、2016年7月に増田氏が都知事選に落選(自民推薦)した後、顧問就任を打診、内諾を得ている。その際、いったい、月のうち何日くらいの仕事をするということで話がついたのか、具体的な内容をあきらかにせよと繰り返して釈明を求めてきた。しかし、最後まで被告は説明しようとしなかった。

 きょうの弁論で原告(三宅)は被告代理人に対して、事前交渉の際の勤務日数について、「釈明したくないのか。それとも具体的な勤務日数の話がないまま打診・内諾したのか、どちらか」とただした。代理人は「日数は想定していない」と意味不明の回答をした。勤務日数は限りなくゼロであってもかまわない。金ははらう。そういった「密約」だった疑いは濃厚だ。

 この「密約」につづいて規則改正手続きがおこなわれ、報酬額は条例の上限額である月額35万円ときまる。

 月2日ならそういう仕事ぶりを前提に報酬額を算定すればよい。だが奇妙なことに、改正にともなう決済文書のなかには、「勤務態様:週3日程度」と明記されている。そんなに働かせる予定などさらさらないにもかかわらずである。月額35万円の算定根拠も月12日程度の勤務を前提としたとも書かれている。ちなみに、この記述について、裁判のなかで被告は、「週3日程度」は正式な決定ではないなどとよくわからない説明を行っている。

 月2日で35万円もの金を払うと違法性を問われるおそれがある。そのことを区職員はわかっていた。だから「週3日程度」と表むきの説明をしたのではないかと筆者は疑っている。

 理屈からみれば違法判決がでなければおかしい。もっとも司法がまともに機能していれば、であるが。