話し合いの結果自主的に現地引き揚げ→「妨害行為」にでっちあげた白石建設JV

 地質調査の不備をはじめ数々の疑問が指摘されている高円寺小中一貫校工事に抗議の声をあげていた住民8人に対して白石建設など4社でつくるJVが妨害禁止の仮処分申請を行っていた問題で、同地裁の古谷健二郎裁判長は24日、本人または第三者をして工事を妨害する行為を禁止する――などとする仮処分決定をだした。

 逮捕状と同じで、工事反対に対するこの種の仮処分はほとんどの場合がみとめられている。企業の金儲けの手助けをする証文自動販売機に日本の裁判所がなりさがってしまった。この社会の民主化はいまだとおい道のりなのである。そのことを裏付ける証拠がまたひとつ積み上げられたにすぎない。

 その仮処分申請のなかで興味深い部分を発見した。1月30日のできごとに関してこう書いている。

 「・・1月30日午前8時30分ころ、債権者の作業員9名、外注業者作業員10名が測量工事のため現地に赴いたが、債務者ら全員を含む約15名の『高円寺北1丁目被害者の会』のメンバーが西門の前にたちはだかり、作業員らの入場を妨害した。結果当日は敷地内に入場できず、作業に着手することができなかった」

 筆者はこの日、9時ごろに現地に赴いて取材した。すくなくとも「妨害」の言葉に値するような状況はいっさいなかった。約10人の業者の男性らと住民らは歩道上で約30分(筆者到着から引き揚げまで)の間、話をつづけた。ほとんどは住民側が経緯を説明し、業者がわが聞くという状況であった。「そこを開けてください」といった言葉はいっさいなかった。また西門にたちはだかるといった状況もなかった。

 業者はやがて自主的に引き揚げていった。筆者が歩きながら「工事は中止ですか」とたずねると、白石建設社員らしい男性がこう言った。

「住民の人たちのお話を、われわれ直接聞くのはきょうが初めてです。そういうことで、いろんな意見があるので、工事業者としてちょっと検討しましょうと」

 発言は筆者の録音機に記録されている。

 これが、「妨害によって工事に着手できなかった」状況だろうか。区と話しあっているところなので着工はまってほしいと住民が訴え、その話に耳を傾けた末に自主的に帰っていったのである。ここに関する限り、白石建設JVの言い分は嘘である。

 なお、この場面については、住民側の反論に一部事実誤認がある。住民と業者が話しあっている様子を筆者が撮影した際、業者が苦情をいい、住民が筆者を謝罪させた旨答弁書にある。しかし事実はちがう。取材だと告げて写真ををとっていたところ、業者のひとり(白石建設の青木氏)が突然、乱暴に筆者のカメラをわしづかみにした。その行為に対して筆者は、彼らが引き上げる道中で謝罪を求め、青木氏は口頭で謝った。写真をとられたことに不満がある様子だったが、「住民から異論がある公共工事の現場を取材している。なにか問題が?」と説明すると、「賛成の人もいる」などといったのみでそれ以上の苦情はなかった。 

 このあたりの様子も録音機に音声が収録されている。カメラをつかまれる物音とともに「わ、すごい・・」と筆者が驚いた声が録音されている。しかし謝罪を求められるようなやりとりもなければ、こちらが謝罪するような声もない。

 筆者を謝罪させたというのはあきらかに事実を誤っている。代理人弁護士と筆者は名刺を交わしているし、『税金万引きGメン』も献本している。ひとこと筆者に確認すれば避けられた間違いである。平気で嘘をつく企業を相手に戦ううえで、こうしたツメの甘さは決定的な弱点となる。

 ジャーナリストとしての信用にかかわる問題なので、住民側代理人弁護士に対して、なぜそのような誤った事実を答弁したのか事情説明を求めているところだ。

 (了)

 追記:上の記事を書いてから、ふと気がついたことがある。白石建設が筆者の撮影に過敏に反応したのは、はたして「肖像権」「プライバシー」が理由だったのだろうか。妨害などいっさいしていない状況を記録されるのが都合が悪かったのではないか。白石建設などは1ヶ月以上もまえの12月17日の住民説明会の時点から住民の隠し撮りをはじめ、妨害禁止の仮処分申し立ての準備をしていた。ひとつひとつの小さな事実に真相はある。