「国際法違反の侵略を支持する国もまた国際法違反」

 カウンターパンチの記事を翻訳して紹介します(一部省略・意訳した部分があります)。

http://www.counterpunch.org/2017/04/07/why-the-united-states-use-of-force-against-syria-violates-international-law/
April 7, 2017
Why the United States’ Use of Force Against Syria Violates International Law
by Curtis FJ Doebbler

「米国のシリア攻撃はなぜ国際法違反なのか」

クルティス=ドブラー(ジュネーブ在住の国際法学者)

 主権国家シリアに対する米国の軍事力行使は明白な国際法違反だ。国連加盟国に対する侵略行為で、国連憲章違反にあたる。したがって、シリアには自衛の行動をとる権利があり、軍事行動も正当化される。米国に対してシリアが行動を起こす際、ほかの国連加盟国がシリアを支援するために集団的自衛権を行使することも正当化される。
 
 米軍のシリア攻撃は以上のような結果をもたらしている。これが国際法上の基本的な認識である。米国の国内法がどうであれ、国際法違反が正当化されることはない。

 シリア時間4月7日午前3時42分、地中海に停泊する軍艦から、米国はシリア・アルシャラ空軍基地に向けてトマホーク巡航ミサイル59発を発射した。各トマホークに搭載されたのは1000ポンドの通常爆薬だった。

 米国のCNNテレビは空爆の模様とともにミサイルの発射状況を報じた。
トランプ大統領はシリア攻撃を認め、さらなる攻撃を準備していると自慢げに述べた。

「米国の死活的な利益」にかかわる攻撃であるとして、「あらゆる文明国がわれわれに参加し、シリアの血なまぐさい殺人劇を終わらせよう」と述べた。また、あらゆる形のテロリズムを終わらせるのだとも述べた。

「困難にみまわれた世界を救うべくわれわれは神に請い、傷ついたものたちのためにわれわれは祈る。アメリカは正義の側に立ち、そして平和と協調が勝利するのだ」

 皮肉なことに、米国が攻撃したシリア軍の基地とは、アメリカがテロ組織だと認定する非政府集団(ヌスラ戦線)に対する攻撃拠点だった。

 ワシントン時間の午前6時45分ごろ、ティラーソン国務長官は、米国がシリアを攻撃したことを認めた。化学兵器攻撃に対する報復だと言った。 国連大使のニッキ=ヘイリーも、国連に加盟する主権国・シリアに対する軍事攻撃は同国内で化学兵器攻撃がなされたためであり正当化されると述べた。同大使は「さらなる攻撃を準備している」と国連安保理で述べた。さらに、化学兵器攻撃はロシアとイランの共謀によるものだとも語った。

 攻撃によって、シリアの軍事施設やインフラなど物質的な被害と死傷者がでたと報じられた。シリアの報道によれば市民8人が死亡した。うち4人は子どもだった。シリア兵士5人も死亡した。

 シリアは同国の主権に対して攻撃をかけている非政府勢力と紛争中だった。シリア政府と非政府勢力の双方が、軍事紛争において国際法違反の指摘を受けていた。

 紛争にはイランやロシアといった国がシリア政府の要請によって参加している。

 いっぽう非政府勢力に対しては米国と欧州の同盟国、サウジアラビアなどが兵士の供給を含めた支援を行ってきた。武力紛争に対する米国のこのような介入、国連加盟の主権国に対抗する軍事支援は、内政干渉を禁止した国際法に違反する。

 同様の内政干渉は、ニカラグア政府に対抗する米国の軍事的行動(反政府ゲリラ「コントラ」支援)をめぐって国際法廷で強く非難された。こうした行為は違法であると国際法廷は断定した。

 米国とその同盟国は、シリアに対する4月7日の攻撃より前に、違法な行動をとっていたことになる。

 シリアも米国も国連加盟国である。国連憲章を遵守する義務がある。国連憲章103条は、「国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する」と規定している。

 国連憲章2条4項は、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と定めている。

 武力行使が唯一正当化されるのは、自衛の場合、または国連安保理が認めた場合である。自衛のための武力行使が正当化されるのは一国が武力攻撃を受けたときである。

 こうした解釈は、軍事力行使を避け、国家の平和的な共存をはかるという国連憲章の目的と趣旨に沿っている。 

 シリアに脅かされたり攻撃されたとの訴えは米国からなされていない。また国連安保理が軍事攻撃を承認したわけでもない。

 禁止されている化学兵器攻撃をシリア政府がイドリブ(シリア・カーンシェイコン村付近)で使ったために反撃したのだと米国政府は公表した。だがシリアは化学兵器の使用を否定している。

 化学兵器の攻撃がなされた地域は、米国や国連はテロ組織と認定する非政府勢力「ヌスラ戦線」の支配下にある。

 シリアが化学兵器を保有しているとの米国政府の指摘については、OPCW(化学兵器禁止機構)の真相究明チームが査察を行ってきた。

 OPCWの査察団によれば調査は続行中だが、いまのところ化学兵器とシリア政府のつながりは確認されていない。

 シリア政府と密に連携してきたロシア政府は、シリア政府が化学兵器を使用したとは考えられないと述べた。
 
 シリア政府が攻撃したヌスラ戦線の拠点から化学兵器がみつかった、化学兵器の被害情報は非政府勢力(ヌスラ戦線)支配下からきているようにみえるとロシア政府は述べた。

 もしこれが事実であれば、化学兵器を持った非政府勢力とそれを支援した米国政府に、今回の化学兵器攻撃の責任があることになる。

ロシアの情報機関――従来から米国や西側のものよりも信頼度が高かった――によれば、59発の巡航ミサイルのうち目標の空軍基地に着弾したのは半分以下だった。

 これは、犠牲者の大半が市民だったというシリア政府の主張を裏付ける。

 法的にみて、シリア政府が化学兵器を使用したという理由で軍事攻撃を検討したり、それを正当化するのは不適切である。化学兵器使用が事実だとしても、米国の軍事力行使は国際法違反であり、国際的に誤った行動をとったとして責任を問う声が生じる。

 一国が他国に報復する行為は国際法で禁止されている。軍事攻撃を受けた際の自衛以外は行ってはならない。米国に対してなんら攻撃はなされていない。米国の軍事力行使にいっさい正当性はない。

 米国の違法な軍事力行使を支持した国々もまた国際法違反をおかしていることになる。

 トルコ、オーストラリア、連合王国、ドイツ、サウジアラビア、イスラエルである。(訳者注・日本も支持)
 一方米国の軍事力行使を違法だとして非難したのは、ボリビア、ベネズエラ、中国、イラン、ロシアである。

 おそらくもっとも重要なのは、米国政府があきらかに違法な軍事力行使をシリアに対して行ったことで、シリアには自衛手段として米国に反撃する正当性が生まれた点である。もしシリア政府から要請されれば、他国も集団的自衛権としてシリアの米国攻撃を支援できる。

 皮肉なことに、米国のシリア国民に対する侵略は、米国民や米国軍事施設に対する攻撃を正当化する状況を生んでしまった。

 こうした軍事力行使の激化と暴力の連鎖の回避こそ、国連憲章がめざすことだった。

 米国のシリア攻撃が国連憲章違反だとしてロシア政府は国連安保理の召集を求めた。国連憲章の趣旨にそったものである。

 2001年に米国はアフガニスタンを攻撃し、国を破壊して今日にいたっている。2003年にはイラクを攻撃し、やはりめちゃくちゃに壊した。そして2011年はNATOを率いて主権国家であるリビアとの戦闘に入り、アフリカでもっとも豊かな国――教育と医療が無償である――を破綻国家にし、富を外国人たちに略奪させた。
 
 外国の違法な軍事力行使や干渉をきっかけとしてはじまったこれらの紛争で、死亡した人の数は300万人ともいわれる。

 どの指導者であれ、過去何十年にもわたって、米軍ほどの非人間的な行為を行ったものはいない。

 国際社会というものが国際法にもとづいて営まれるのか、それとも人間のきまぐれで支配されるのか、シリアはおそらく最後のチャンスになるであろう。

シリア爆撃は国際法違反の侵略行為

 米軍がシリアを巡航ミサイルで爆撃しました。国際法が禁ずる侵略行為です。安倍政権はこれを支持するむね表明しましたが、国際法うんぬんを語る資格がないことになります。

 シリア政府が化学兵器を使用したという話がまことしやかに流れいますが、真相は不明です。たしかなことは、米国の軍産複合体が商売のためにつねにもとめているのは、「敵」の存在と、戦争にもちこむための群集の熱狂と怒りです。

 カウンターパンチの記事を翻訳して紹介します。(一部省略)

http://www.counterpunch.org/2017/04/07/airstrikes-without-justice/
April 7, 2017
Airstrikes Without Justice
by John Wight

「正義なき空爆」
ジョン=ワイト

 米国のシリア攻撃が(紛争解決にむけた)重大な進展である-と述べることは、真相を語っていないという意味で罪である。

 国連決議や国際法にもとづく根拠がいっさいないまま、米国トランプ政権は中東の主権国に対して侵略行為を行った。この事実は、米国の外交はわれらが支配するのだとネオコンがワシントンで宣言したことを意味する。

 米国の侵略行為によって、米国とモスクワの緊張が緩和する見通しが暗くなった。東欧ではNATO軍がロシア領の近くで演習をしているが、中東だけでなく東欧でも米国とロシアの緊張は著しくたかまった。
 
 サリン攻撃だと非難されているシリア・イドゥリブからのおぞましい映像をきっかけに、ダマスカスの体制転換を求める騒ぎがはじまり、西側でその声が大きくなった。西側の政治家やメディアは、化学兵器を使用したのはシリア政府であると断定した。

 しかしイドゥリブでじっさい何がおきたのか誰もしらない。事実をたしかめるため、また事実にもとづいた正義のために、独立した調査がどうしてなされないのか。

 わたしたちのほとんどはだまされやすい。米国のシリア攻撃は正義の行為なのだと信じてしまうかもしれない。

 だが、最近おきたモスルの米軍攻撃では子どもを含む市民が殺害された。またイエメンでは(米国の同盟国である)サウジアラビア軍の残虐な空爆によって子どもたちにすさまじい苦難がもたらされている。

 これらについては、正義はどうなるのか。

 米軍のシリア攻撃は「正義」などではない。59発のトマホークミサイルが地中海の軍艦から発射されたとのことだが、これはシリアの体制転覆を狙って米国が以前から行ってきたことの延長にすぎない。

 イドゥリブの(化学兵器による)攻撃についてたしかなのは以下の事実である。

 シリア政府系の軍が優勢になっており、シリア政府は外交上もめざましい進展を勝ち取っていた。この時期にシリア政府が化学兵器を使用すれば、今回よりはるかにちいさな出来事であっても、とてつもなく大きな自損行為になる状況にあった。政権が崩壊するような事態をもたらすことがわかっていた。

 米国が支援するOPCW(化学兵器禁止機構)は2014年、シリアの化学兵器は完全に破壊されたことを確認した。

 攻撃に先立ってイドゥリブから発信されたおぞましい映像や証言は反政府系のニュースソースから発信された。西側のジャーナリストやクルーはほとんどイドゥリブや反政府勢力の支配区に入っていない。すぐに誘拐されたり殺害されるためだ。--

 今回の一方的な軍事行動は、トランプは容易に紛争にひきずりこまれるのだということが証明された。大統領就任から数日後、彼は、シリアの体制を変えることは考えていない、テロ根絶に焦点をあてるのだと明言していた。外交戦略の焦点はテロ組織の敗北にあると言っていた。

 だが彼は空爆を行った。その結果はテロの勢力を増長させるだけである。

 米軍のシリア攻撃によってロシアはたいへん難しい立場になった。2015年末にシリア政府の要請に応じる形で紛争に介入して以来、モスクワ政府はつねに和平交渉の機会を模索しつづけた。反政府勢力とISISやヌスラのジハード主義(サラフィー=ジハード主義=過激派)者たちとの穏健な関係構築も模索した。

 これらの外交努力が突然ぶちこわされた。ワシントンは体制転換を求めているのだと反政府勢力は確信し、勢いづけられ、それを実現するまで行動するだろう。

 この地域におけるワシントンの同盟国―イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコ-は、ダマスカスに対するさらなる軍事攻撃を求めるだろう。

 1月に大統領に着任していらい、トランプはワシントンのメディアや政治家、情報機関によってとてつもない逆風を受けてきた。しかし今回の行動では一定の理解を得ることができた。一息ついた。

 トランプ政権発足まもない2月、マイケル・フリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が辞任した。つづいてスティーブ=バモンがNSC長官を辞任した。(政権発足直後の)短くも激しい権力争いの結果、ネオコンがホワイトハウスの支配権を握った証拠である。

 14年間にわたる破滅的なイラク侵略戦争の結果は、ISISとジハード過激派の地獄のふたをあけただけだった。リビアの体制を転覆させて6年後、同国は国家の形をなさなくなり、聖書の記述を思わせるような大量の難民を生んでいる。そしてアメリカは今また、中東の主権国家のひとつを軍事侵略している。

 その国の国民を助けるのだといいながら国家を破壊する。これはあらゆる帝国がやってきたことである。しかし歴史は証明する。あらゆる帝国は、その内部に自己破壊の種を持っているのである。トランプはいま、アメリカの指導者として、アメリカ自身を助けるのではなく、崩壊への道のりを早める役割をしているのである。

「ローマは謙虚にはじまって成長した。しかしいまは自分自身の偉大さに打ちのめされている」

明愛保育園補助金疑惑であらたな事実発覚

 田中ゆうたろう杉並区議(美しい杉並)の家業である保育園と幼稚園事業をめぐり、公共目的を条件に随意契約で購入した国有地を身内別法人に賃貸し、その賃借料の前払い分として4800万円もの補助金が区や都から支払われた問題で、あらたな事実が関東財務局東京事務所に対する情報公開請求によって発覚した。

 国有地を随意契約によって購入したのは幼稚園を運営する学校法人山本学園である。その際、「認定こども園」を設立するという計画が関東財務局に提出されていた。つまり、山本学園がこども園を設立、運営するという条件で国有地は売却され、売却後、計画が中止されていたのだ。

 契約によれば、計画どおりに土地を利用しなければならないとある。しかし、奇妙なことに、その肝心の「こども園計画」が中止されたにもかかわらず、契約違反という問題は起きていない。財務局は「決議内容」を変更する手続きを行い、あらたに設立された身内法人・社会福祉法人明愛会に山本学園が土地を賃貸し、明愛会が保育園を運営することで、土地利用は「公共目的」だとの強引な解釈をする。

 随意契約による国有地売却は公共目的などに限られている。金をとって土地を貸すことが公共目的と言えるのか、大いに疑問がある。

 国有地を「公共目的」の特例で売却する際、当初の保育園計画などが売却後に中止になったにもかかわらず、別法人に賃貸する内容に変更することでよしとした例はほかにもあるのか、担当の第三統括の職員に尋ねたところ、「少なくとも私は知らない」と答えた。

 きわめて異例であることはまちがいない。

  なお、田中区議は、現会派「美しい杉並」をつくった2013年当時、「なお、私の所属政党はこれまで通り自由民主党であることを、念のため申し添えておきます」と自身のブログに記載しており、その後も自民党を離党したとの表明はなかったが、2017年03月31日付のブログ記事で自民党員ではないと述べている。この記事は「週刊金曜日」3月24日号で「明愛保育園補助金」をめぐる疑問を指摘した記事に苦言を呈する内容である。これに対しては追って反論したい。