「北朝鮮侵略作戦」の危機

 米国が中東につづいて朝鮮半島にも軍事介入しようとしていることがはっきりとしてきました。米国にひたすら追従する日本政府と、もっぱらそれを支える主流マスコミのニュースは、かなり一方的な見方に偏っていると考えられます。立場のちがう場所からのニュースと比べながら極力正確な情報を得ることが重要かと思います。

 キューバ国営通信プレンサ=ラティ-ナ(PL)の記事を翻訳して紹介します。

http://www.granma.cu/mundo/2017-04-09/rusia-condena-envio-de-buques-de-eeuu-a-peninsula-coreana-09-04-2017-22-04-03

 「米国の朝鮮半島への空母派遣をロシア非難」

 モスクワ発 PL(キューバ国営通信)2017年4月9日

 米原子力空母カールビンソンを中心とする艦隊が朝鮮半島に進出したことで、この地域の緊張が高まるだろう。そしてピョンヤン政府が過激な反応をみせるだろう。ロシア上院議員が語った。

 朝鮮民主主義人民共和国近海への軍艦の派遣は、この地域における交渉を停滞させる。ロシア上院国防委員長のビクトル=オゼロフ上院議員はPLにそう語った。

 軍事筋によれば、北朝鮮の核の脅威に対する対策を行うべきだとする米国家安全保障会議(NSC)の意見にしたがってホワイトハウスが決定、シンガポールを出航した。
 
 シリア政府が自国民に対して化学兵器攻撃を空から行ったとして、米国は7日、シリア・アルシャイラ空軍基地をミサイル攻撃したが、ピョンヤン政府は主権国家に対する侵略であると非難している。

 この軍事行動に先立ち、ピョンヤン政府は、侵略の危険から国を守るために核武装するのは正当であるむね表明していた。

 ロシアは米国や中国、日本とともに朝鮮半島の和平を模索してきた。しかし現在は凍結されていると専門家は明らかにした。

 「ロシアトゥデイ」テレビは、北朝鮮のハッカーが9月に米国防省の情報源にアクセスし、米韓共同で侵略する計画「5027戦争」の存在をつきとめたと報じた。

 ドナルドトランプ大統領は、就任以来、朝鮮半島の問題に対してあらたな姿勢で脅威をあたえてきた。いま、米国政府はピョンヤン政府の問題に対して「あらゆる手段」を考えていることが明らかになった。
 
 朝鮮民主主義人民共和国の軍は、現在70万人の武装兵士、4200輌の戦車、潜水艦70隻、戦闘機944機を保有。ミサイル技術の実験をここ数ヶ月行っている。

「国際法違反の侵略を支持する国もまた国際法違反」

 カウンターパンチの記事を翻訳して紹介します(一部省略・意訳した部分があります)。

http://www.counterpunch.org/2017/04/07/why-the-united-states-use-of-force-against-syria-violates-international-law/
April 7, 2017
Why the United States’ Use of Force Against Syria Violates International Law
by Curtis FJ Doebbler

「米国のシリア攻撃はなぜ国際法違反なのか」

クルティス=ドブラー(ジュネーブ在住の国際法学者)

 主権国家シリアに対する米国の軍事力行使は明白な国際法違反だ。国連加盟国に対する侵略行為で、国連憲章違反にあたる。したがって、シリアには自衛の行動をとる権利があり、軍事行動も正当化される。米国に対してシリアが行動を起こす際、ほかの国連加盟国がシリアを支援するために集団的自衛権を行使することも正当化される。
 
 米軍のシリア攻撃は以上のような結果をもたらしている。これが国際法上の基本的な認識である。米国の国内法がどうであれ、国際法違反が正当化されることはない。

 シリア時間4月7日午前3時42分、地中海に停泊する軍艦から、米国はシリア・アルシャラ空軍基地に向けてトマホーク巡航ミサイル59発を発射した。各トマホークに搭載されたのは1000ポンドの通常爆薬だった。

 米国のCNNテレビは空爆の模様とともにミサイルの発射状況を報じた。
トランプ大統領はシリア攻撃を認め、さらなる攻撃を準備していると自慢げに述べた。

「米国の死活的な利益」にかかわる攻撃であるとして、「あらゆる文明国がわれわれに参加し、シリアの血なまぐさい殺人劇を終わらせよう」と述べた。また、あらゆる形のテロリズムを終わらせるのだとも述べた。

「困難にみまわれた世界を救うべくわれわれは神に請い、傷ついたものたちのためにわれわれは祈る。アメリカは正義の側に立ち、そして平和と協調が勝利するのだ」

 皮肉なことに、米国が攻撃したシリア軍の基地とは、アメリカがテロ組織だと認定する非政府集団(ヌスラ戦線)に対する攻撃拠点だった。

 ワシントン時間の午前6時45分ごろ、ティラーソン国務長官は、米国がシリアを攻撃したことを認めた。化学兵器攻撃に対する報復だと言った。 国連大使のニッキ=ヘイリーも、国連に加盟する主権国・シリアに対する軍事攻撃は同国内で化学兵器攻撃がなされたためであり正当化されると述べた。同大使は「さらなる攻撃を準備している」と国連安保理で述べた。さらに、化学兵器攻撃はロシアとイランの共謀によるものだとも語った。

 攻撃によって、シリアの軍事施設やインフラなど物質的な被害と死傷者がでたと報じられた。シリアの報道によれば市民8人が死亡した。うち4人は子どもだった。シリア兵士5人も死亡した。

 シリアは同国の主権に対して攻撃をかけている非政府勢力と紛争中だった。シリア政府と非政府勢力の双方が、軍事紛争において国際法違反の指摘を受けていた。

 紛争にはイランやロシアといった国がシリア政府の要請によって参加している。

 いっぽう非政府勢力に対しては米国と欧州の同盟国、サウジアラビアなどが兵士の供給を含めた支援を行ってきた。武力紛争に対する米国のこのような介入、国連加盟の主権国に対抗する軍事支援は、内政干渉を禁止した国際法に違反する。

 同様の内政干渉は、ニカラグア政府に対抗する米国の軍事的行動(反政府ゲリラ「コントラ」支援)をめぐって国際法廷で強く非難された。こうした行為は違法であると国際法廷は断定した。

 米国とその同盟国は、シリアに対する4月7日の攻撃より前に、違法な行動をとっていたことになる。

 シリアも米国も国連加盟国である。国連憲章を遵守する義務がある。国連憲章103条は、「国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときは、この憲章に基く義務が優先する」と規定している。

 国連憲章2条4項は、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と定めている。

 武力行使が唯一正当化されるのは、自衛の場合、または国連安保理が認めた場合である。自衛のための武力行使が正当化されるのは一国が武力攻撃を受けたときである。

 こうした解釈は、軍事力行使を避け、国家の平和的な共存をはかるという国連憲章の目的と趣旨に沿っている。 

 シリアに脅かされたり攻撃されたとの訴えは米国からなされていない。また国連安保理が軍事攻撃を承認したわけでもない。

 禁止されている化学兵器攻撃をシリア政府がイドリブ(シリア・カーンシェイコン村付近)で使ったために反撃したのだと米国政府は公表した。だがシリアは化学兵器の使用を否定している。

 化学兵器の攻撃がなされた地域は、米国や国連はテロ組織と認定する非政府勢力「ヌスラ戦線」の支配下にある。

 シリアが化学兵器を保有しているとの米国政府の指摘については、OPCW(化学兵器禁止機構)の真相究明チームが査察を行ってきた。

 OPCWの査察団によれば調査は続行中だが、いまのところ化学兵器とシリア政府のつながりは確認されていない。

 シリア政府と密に連携してきたロシア政府は、シリア政府が化学兵器を使用したとは考えられないと述べた。
 
 シリア政府が攻撃したヌスラ戦線の拠点から化学兵器がみつかった、化学兵器の被害情報は非政府勢力(ヌスラ戦線)支配下からきているようにみえるとロシア政府は述べた。

 もしこれが事実であれば、化学兵器を持った非政府勢力とそれを支援した米国政府に、今回の化学兵器攻撃の責任があることになる。

ロシアの情報機関――従来から米国や西側のものよりも信頼度が高かった――によれば、59発の巡航ミサイルのうち目標の空軍基地に着弾したのは半分以下だった。

 これは、犠牲者の大半が市民だったというシリア政府の主張を裏付ける。

 法的にみて、シリア政府が化学兵器を使用したという理由で軍事攻撃を検討したり、それを正当化するのは不適切である。化学兵器使用が事実だとしても、米国の軍事力行使は国際法違反であり、国際的に誤った行動をとったとして責任を問う声が生じる。

 一国が他国に報復する行為は国際法で禁止されている。軍事攻撃を受けた際の自衛以外は行ってはならない。米国に対してなんら攻撃はなされていない。米国の軍事力行使にいっさい正当性はない。

 米国の違法な軍事力行使を支持した国々もまた国際法違反をおかしていることになる。

 トルコ、オーストラリア、連合王国、ドイツ、サウジアラビア、イスラエルである。(訳者注・日本も支持)
 一方米国の軍事力行使を違法だとして非難したのは、ボリビア、ベネズエラ、中国、イラン、ロシアである。

 おそらくもっとも重要なのは、米国政府があきらかに違法な軍事力行使をシリアに対して行ったことで、シリアには自衛手段として米国に反撃する正当性が生まれた点である。もしシリア政府から要請されれば、他国も集団的自衛権としてシリアの米国攻撃を支援できる。

 皮肉なことに、米国のシリア国民に対する侵略は、米国民や米国軍事施設に対する攻撃を正当化する状況を生んでしまった。

 こうした軍事力行使の激化と暴力の連鎖の回避こそ、国連憲章がめざすことだった。

 米国のシリア攻撃が国連憲章違反だとしてロシア政府は国連安保理の召集を求めた。国連憲章の趣旨にそったものである。

 2001年に米国はアフガニスタンを攻撃し、国を破壊して今日にいたっている。2003年にはイラクを攻撃し、やはりめちゃくちゃに壊した。そして2011年はNATOを率いて主権国家であるリビアとの戦闘に入り、アフリカでもっとも豊かな国――教育と医療が無償である――を破綻国家にし、富を外国人たちに略奪させた。
 
 外国の違法な軍事力行使や干渉をきっかけとしてはじまったこれらの紛争で、死亡した人の数は300万人ともいわれる。

 どの指導者であれ、過去何十年にもわたって、米軍ほどの非人間的な行為を行ったものはいない。

 国際社会というものが国際法にもとづいて営まれるのか、それとも人間のきまぐれで支配されるのか、シリアはおそらく最後のチャンスになるであろう。