シリア爆撃は国際法違反の侵略行為

 米軍がシリアを巡航ミサイルで爆撃しました。国際法が禁ずる侵略行為です。安倍政権はこれを支持するむね表明しましたが、国際法うんぬんを語る資格がないことになります。

 シリア政府が化学兵器を使用したという話がまことしやかに流れいますが、真相は不明です。たしかなことは、米国の軍産複合体が商売のためにつねにもとめているのは、「敵」の存在と、戦争にもちこむための群集の熱狂と怒りです。

 カウンターパンチの記事を翻訳して紹介します。(一部省略)

http://www.counterpunch.org/2017/04/07/airstrikes-without-justice/
April 7, 2017
Airstrikes Without Justice
by John Wight

「正義なき空爆」
ジョン=ワイト

 米国のシリア攻撃が(紛争解決にむけた)重大な進展である-と述べることは、真相を語っていないという意味で罪である。

 国連決議や国際法にもとづく根拠がいっさいないまま、米国トランプ政権は中東の主権国に対して侵略行為を行った。この事実は、米国の外交はわれらが支配するのだとネオコンがワシントンで宣言したことを意味する。

 米国の侵略行為によって、米国とモスクワの緊張が緩和する見通しが暗くなった。東欧ではNATO軍がロシア領の近くで演習をしているが、中東だけでなく東欧でも米国とロシアの緊張は著しくたかまった。
 
 サリン攻撃だと非難されているシリア・イドゥリブからのおぞましい映像をきっかけに、ダマスカスの体制転換を求める騒ぎがはじまり、西側でその声が大きくなった。西側の政治家やメディアは、化学兵器を使用したのはシリア政府であると断定した。

 しかしイドゥリブでじっさい何がおきたのか誰もしらない。事実をたしかめるため、また事実にもとづいた正義のために、独立した調査がどうしてなされないのか。

 わたしたちのほとんどはだまされやすい。米国のシリア攻撃は正義の行為なのだと信じてしまうかもしれない。

 だが、最近おきたモスルの米軍攻撃では子どもを含む市民が殺害された。またイエメンでは(米国の同盟国である)サウジアラビア軍の残虐な空爆によって子どもたちにすさまじい苦難がもたらされている。

 これらについては、正義はどうなるのか。

 米軍のシリア攻撃は「正義」などではない。59発のトマホークミサイルが地中海の軍艦から発射されたとのことだが、これはシリアの体制転覆を狙って米国が以前から行ってきたことの延長にすぎない。

 イドゥリブの(化学兵器による)攻撃についてたしかなのは以下の事実である。

 シリア政府系の軍が優勢になっており、シリア政府は外交上もめざましい進展を勝ち取っていた。この時期にシリア政府が化学兵器を使用すれば、今回よりはるかにちいさな出来事であっても、とてつもなく大きな自損行為になる状況にあった。政権が崩壊するような事態をもたらすことがわかっていた。

 米国が支援するOPCW(化学兵器禁止機構)は2014年、シリアの化学兵器は完全に破壊されたことを確認した。

 攻撃に先立ってイドゥリブから発信されたおぞましい映像や証言は反政府系のニュースソースから発信された。西側のジャーナリストやクルーはほとんどイドゥリブや反政府勢力の支配区に入っていない。すぐに誘拐されたり殺害されるためだ。--

 今回の一方的な軍事行動は、トランプは容易に紛争にひきずりこまれるのだということが証明された。大統領就任から数日後、彼は、シリアの体制を変えることは考えていない、テロ根絶に焦点をあてるのだと明言していた。外交戦略の焦点はテロ組織の敗北にあると言っていた。

 だが彼は空爆を行った。その結果はテロの勢力を増長させるだけである。

 米軍のシリア攻撃によってロシアはたいへん難しい立場になった。2015年末にシリア政府の要請に応じる形で紛争に介入して以来、モスクワ政府はつねに和平交渉の機会を模索しつづけた。反政府勢力とISISやヌスラのジハード主義(サラフィー=ジハード主義=過激派)者たちとの穏健な関係構築も模索した。

 これらの外交努力が突然ぶちこわされた。ワシントンは体制転換を求めているのだと反政府勢力は確信し、勢いづけられ、それを実現するまで行動するだろう。

 この地域におけるワシントンの同盟国―イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコ-は、ダマスカスに対するさらなる軍事攻撃を求めるだろう。

 1月に大統領に着任していらい、トランプはワシントンのメディアや政治家、情報機関によってとてつもない逆風を受けてきた。しかし今回の行動では一定の理解を得ることができた。一息ついた。

 トランプ政権発足まもない2月、マイケル・フリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が辞任した。つづいてスティーブ=バモンがNSC長官を辞任した。(政権発足直後の)短くも激しい権力争いの結果、ネオコンがホワイトハウスの支配権を握った証拠である。

 14年間にわたる破滅的なイラク侵略戦争の結果は、ISISとジハード過激派の地獄のふたをあけただけだった。リビアの体制を転覆させて6年後、同国は国家の形をなさなくなり、聖書の記述を思わせるような大量の難民を生んでいる。そしてアメリカは今また、中東の主権国家のひとつを軍事侵略している。

 その国の国民を助けるのだといいながら国家を破壊する。これはあらゆる帝国がやってきたことである。しかし歴史は証明する。あらゆる帝国は、その内部に自己破壊の種を持っているのである。トランプはいま、アメリカの指導者として、アメリカ自身を助けるのではなく、崩壊への道のりを早める役割をしているのである。

「ローマは謙虚にはじまって成長した。しかしいまは自分自身の偉大さに打ちのめされている」