「業務委託」をかたった無法労働/ポスティング自死事件で判決

 ポスティングのアルバイトに応募した19歳の青年が、バイト開始から4日目に自死した事件をめぐる損害賠償請求訴訟の判決が、17日、東京地裁であり、被告のケイアンドパートナーズに計35000円の賠償を命じる判決がくだされた。
 
 青年は「委託業務契約」という契約書に同意させられており、「不正」があった場合は賠償金を請求されることがあるとの条項もあった。1枚2円、交通費食費自己負担という悪条件でチラシ配りをやり、数日後、実績をじっさいよりも多く報告した。それが「チェックマン」によってとがめられた。その際厳しい叱責がなされた疑いがあり、それが自死につながったのではないかと原告は訴えていた。

 鈴木裁判長は、パワハラは証明できないとして、自死に関する被告会社の責任を否定した。安全配慮義務違反はないとした。賠償の必要はない。しかし日当7500円などの未払い賃金があるのでそれは払えという判決だった。遺族からみれば残念な結果である。出世と保身が一番の、つまらない、ありふれた裁判官の姿がうかぶ。

 しかしそれでも、重要なヒントが得られたように思う。被告と青年との書面上の契約内容によれば、日当を払う予定はなかった。筆者の取材にもケイ社は「日当はありません」と答えていた。だが「日当が払われなければならない」という原告の訴えに被告はあっさりと同意し、判決はそれに従って日当分の支払いを命じた。くわえて、安全配慮義務が被告会社にあることを前提として判決は書かれている。

 つまりこれは、委託契約の形をとりながらも実態は労働契約であることを裁判所が認めたことを意味する。労働契約なら、労働契約書がなければならないし、就業規則を備えるなど使用人には労働者を守るためのさまざまな義務がかせられる。被告会社はそれをいっさいやっていなかった。

 労働契約なのに「委託業務契約」だと偽っていたことがはっきりと浮き彫りになった。この点の違法性が判決ではまったく問われていない。これには納得がいかない。
 
 偽装「委託業務契約」はほかにもあると筆者は想像している。お気づきの事例があれば情報をお寄せいただきたい。

 
 

 
 

「粘性土層出現は「予定外」?/高円寺一貫校「疑惑のボーリング」新文書発覚

注)見出しと本文中「粘土」と表記していた部分がありましたが、正確には「粘性土層」でした。訂正します。

 高円寺一貫校問題で不審な事実がまたひとつわかった。

 文科省技官OBが取締役で天下っている{株)教育施設研究所が杉並区の発注を受けて実施設計と同時行ったボーリング調査の仕様書(発注内容を記載した文書)にボーリングの深度や検査内容など具体的なことがいっさい書かれていない件について、「作業内容がわかるものはないのか」と情報公開請求を行ったところ、16日、協議書と題する1枚の文書が開示された。教育施設研究所と区教育委員会との協議を記したもので、そこにはこう書かれている。

「予期しない粘性土層が出現した」

 現場の地層は地下16メートル付近から東京礫層という硬い層になるが20メートルあたりからいったん比較的軟らかい粘性土層になり、さらに下の25メートルより深くなると上総層という安定した硬い層となる。協議書の上の記載は、区も教育施設研究所も「16メートル以深は安定した硬い地層である」と予想していたものの、じっさいに調査してみると予想がはずれて軟らかい層がみつかったことを意味する。
 
 しかし、この粘土層を探ったのは1本だけで、さらにほかのボーリングによって調べることはしていない。

 これらの事実から筆者はこう予測する。

1 基本設計を受注した教育施設研究所は、すでに存在した3本のボーリング結果(いずれも深度20メートルで東京礫層までさぐったもの)を参考に、16メートル付近からはじまる東京礫層から下は安定した硬い地盤が続いている予測をたて、杭の深度を16メートルであると断定した。

2 しかし設計(建築確認の要件を満たすため)するにはボーリングの数が足らないため、実施設計を受注した教育施設研究所みずから3本の予定でボーリングをやった。1本目で25メートル付近まで探ったところ、東京礫層の下に予想しなかった粘土層がみつかった。

3 本来なら粘土層のひろがりをもっと調べる必要があったが、各種予定がかわるのをきらってそれ以上「粘性土層」の調査をすることを区はやめた。

4 粘土問題をごまかしてつじつまをあわせるために調査報告書に「高層」とすべきところを「中低層」と誤った記載をするなどの工作を行った。

 いまからでも遅くはない。「粘性土層」の状況を確認するために追加ボーリングをすべきである。