伊方新町長「万が一にも(原発)事故がないように」発言の嘘

 伊方町長選挙の開票結果を筆者は2日夜、四国電力本社のある香川県で聞いた。元自民党愛媛県議会議員の高門清彦氏が共産党の西井直人氏を大差で破って初当選したという。周知のことだが伊方町は四国電力伊方原子力発電所の立地自治体である。

 「万が一にでも(原発)事故がないように取り組む」などと嬉しそうな顔で語る高門候補の様子がNHKテレビで流れた。それを見てそらぞらしい気持ちにとらわれた。

 いかにしても人間のちからで深刻な原発事故を完全に防ぐことはできない。いったん重大事故が起きれば取り返しのつかない被害をもたらす。これが東京電力福島第一原発事故がもたらした教訓ではなかったか。

熊本地震をはじめとする地震活動の活発化でとおくない将来大きな地殻変動の発生が危惧されている中央構造線のごく近くに伊方原発はある。

 地震がなくとも原発が深刻な事故を起こしうることは、旧ソ連のチェルノブイリやアメリカ・スリーマイル島の事故、高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事故、関西電力美浜原発3号機の事故をみても明らかだ。

 伊方には40年を超すような古い原発もある。重大事故のリスクは高い。

 なのにこの元自民党県議会議員の候補は重大原発事故が「万が一」、すなわち1万分の1以下の確率で防げるものと考えている。福島の例のように「想定外」のことが伊方でも起き得るという発想はない。

 しかし同時に高門氏は「避難計画を考える」といった発言もした。避難とは事故を前提とした考えである。

 要するに「事故は起きない」といいながら、事故が起こりうることを想定しているわけで、高門氏の発言は無責任で軽いというほかない。

 重要なのは、原発稼働は四国の電力事情とはまったく関係がないという点である。四国電力の利益のためでしかない。電力会社は公益企業であるという理由から表向き政治献金を自粛しているとされる。しかしじっさいは、役員個人や関連会社を通じて自民党に献金をしている。

 筆者が確認したところでは、原発を持つ9電力が関連会社経由で自民党の資金団体に献金した額は過去36年で24億円、同様に役員名義の献金は2010ー2012年の3年間で1億4000万円に達する。

★311以降も続く電力9社の「ステルス式」献金 2012年までの3年で自民団体に1億4300万円貢ぐ

★暴力団への上納金と同じ!電力会社→自民党への“ステルス献金”、過去36年で24億円と判明 「自粛」すり抜け原発の儲けをキックバック

★原発産業9社から自民党に献金100億円、“安倍隊長”のもとで進む原発推進、消費増税、法人減税

 高門氏の所属する自民党は四国電力をはじめとする原発保有系電力会社からカネをもらい、それらの企業がもうかるような政策を実行しようとしている。その原発利権集団の一員である高門氏を町長にした伊方町の有権者は、自らの命や家族の命、身をよせる環境を破壊してでも四国電力を儲けさせる道を選んだことになる。割にあわないそんな選択をなぜしたのか、興味のあるところである。