大熊昌巳・自民杉並区議の政活費43万余円返還求める裁判はじまる/次回は来年1月17日

 通信費や「区政報告」、集会にかかった費用の9割〜8割を杉並区の公金である政務活動費(月額上限16万円・同年間192万円)で払ったのは違法であるとして、杉並区長を相手取り、自民党杉並区議会議員の大熊昌己氏(事務所・杉並区久我山)から45万円あまりの返還を求めた住民訴訟が20日東京地裁民事419号法廷(民事51部)ではじまった。事件番号は、東京地裁平成28年(行ウ)第281号、裁判官は、岩井伸晃(裁判長)、桃崎剛、武見敬太郎の3人。

 原告は区民有志6名。筆者も入っている。

 政治的な活動に関する経費を政務活動費(政活費)で出すことはできないにもかかわらず、大熊議員はインターネットの接続料や「区政報告」類の印刷・発送費・人件費の9割を政務活動費に計上。また石原伸晃衆議院議員など国会議員が参加した集会の経費も「区政報告会」と称して8割を計上している。これに対して筆者ら原告はつぎのように訴えている。
 
〈ーー政治的な活動に関する経費がたぶんに含まれているのは明らかで、かつ明確に分離は困難である。この場合、社会通念上相当な割合の按分をするよう定められているが、その適正な按分率は50%である。それを超えた支出は違法である。〉(趣旨)

 被告杉並区長は、政務活動につかうパソコンは分けており「9割」の按分に問題はない、などとして全面的に争う答弁を行った。原告側は大熊議員の通信関連の契約状況や人件費を払っている人物との親族関係の有無などについて求釈明を申し立て、岩井裁判長はこれを認めた。

 次回弁論は来年1月17日午前11時、東京地裁419号法廷で開かれる。求釈明に対する被告の回答を待って原告側が反論を行う予定。

田中杉並区長は秘密主義?/区長が任命した保育園事業者選定委員の氏名を自分で非公開決定

 来春の開園にそなえ、杉並区有地を利用した私立保育園の事業者を「公募方式(プロポーザル)」選定した際、選定・審査を行う「選定委員会」の委員の氏名が不可解な理由によって一部非公開にされている。子ども家庭担当部(田部井伸子部長)の説明によれば、今年7月10日、杉並区プロポーザル条例にもとづいて、学識経験者3名、区職員2名(田部井伸子子ども家庭担当部長、渡辺秀則保育課長)の計5名からなる選考委員を区長の任命により発足させた。その際、学識経験者3名の氏名・肩書を非公開にするよう区長が決定したという。

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田部井伸子子ども家庭担当部長(左、7月25日夜、杉並第一小学校での説明会にて撮影)

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渡辺秀則保育課長(中、7月25日夜、杉並第一小学校での説明会にて撮影)

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 区長が任命した選考委員の氏名・肩書を、区長自身が非公開にするなどということが、いったいどのような根拠でなされたのか。疑問に思って尋ねたところ、当初職員は「プロポーザル条例に非公開にできる規定がある」などと説明した。職員の上司である中村充明・保育施設整備推進担当課長も同席のうえでの説明だった。だが条例を確認したところ、第6条4項に「委員会の会議は非公開とする」とあるものの、委員の氏名・肩書を非公開にできるとした規定はない。

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「この条例を理由に委員の氏名・肩書を非公開にすることはできないのではないか」と指摘すると職員は誤りを認めた。中村課長は部下が誤ったのだとして自分の誤りではないと説明した。しかし、なおも氏名・肩書を非公開にしていることにはかわりがないとして、こんどは情報公開条例に非公開事由があることをさし、それが「選考委員の氏名・肩書非公開」の根拠だと課長自身が説明した。

 杉並区情報公開条例6条には、公文書の開示請求を受けた際に非公開にできるものとして「区の内部又は区と国若しくは他の地方公共団体との間における審議、検討等の意思形成過程における情報であって、公開することにより公正又は適正な意思形成に著しい支障を生じるおそれのあるもの」とある。中村課長によれば、これが「選考委員の氏名・肩書」を非公開にした根拠だというのだ。

 情報公開条例は公文書の開示請求に関する手続きを定めた条例である。しかも行政は公文書を原則開示して説明責任を果たすべきであるという趣旨でつくられている。それを委員の名前をあかさない根拠になるはずがなく、支離滅裂というほかない。

「情報公開条例の非開示理由をさだめた条項が選考委員の氏名・肩書を公表しないことの根拠になるというのはおかしいのではないか」

 そう指摘したが、話はかみあわなかった。

「情報公開条例の不開示規定を根拠にして、委員の名前を明かさないという決定を区長の裁量で行った。そういう理解で本当にいいのか。区としての公式見解でいいのか」

 筆者は奥の席で中村課長に耳打ちをしてる田部井部長にカウンターまででてきもらい、直接そう確認した。田部井部長は「情報公開条例に準じるということですよ」と答えた。「氏名肩書を非公開にできる規定は特にないが、区長が裁量で行った、そういうことか」と確かめると「そうだ」と認めた。首長の裁量権を定めているのは地方自治法だが、そのどの条文で定められているのか確認をもとめたが田部井部長は即答できず、「会議がある」といって席を離れた。

 台風接近中で5時をすぎてもいたので、田部井部長が席をはなれた点はやむを得ない。

 明確な根拠もなく、田中区長や区幹部の手前勝手な考えだけで委員の肩書・氏名が非公開にされた可能性は限りなく高い。

 筆者は20日付で、外部委員の氏名・肩書がわかる文書の開示請求を行った。

〈資料〉
「待機児童解消緊急対策に伴う区有地活用保育所整備・運営事業者公募要領」