田中区議”家業”の保育園/ゼロ歳児競争率は9・7倍ー13倍

 応募者が殺到するゼロ歳児クラスに経営者たる自分の子どもが2年連続で「合格」したのはおかしいのではないかーー幼児を抱える親の間から疑問が指摘されている田中ゆうたろう杉並区議(美しい杉並会派、自民党所属)と家業の明愛保育園(社会福祉法人明愛会、田中悦子理事長)をめぐり、あらたな事実がわかった。

 杉並区保育課は当初、2014年4月の募集資料を示し、26人の募集に対して2人が内定したとの説明を行ったが、定員が3人なのになぜ2人なのか事情をあらためて確認したところ、同園が開園した前年13年12月1日にも募集をしており、その際に3人が合格、うち1人が年度を超えて残留したためであることを明らかにした。

 保育課によれば、開園時(2014年12月)の競争率は次のとおり。申し込みが29人で内定3人。9・7倍である。指数は、41点1人、40点20人、38点3人、36点1人、34点1人、32点1人、21点1人。

 41点の1人は最高点で内定、40点20人のうち2人が合格した。

 この3人のうち1人が、4月の新年度も引き続きゼロ歳児クラスに残ったという事情であった。残留によって4月入園のゼロ歳児枠は2人となり、26人の申し込みが殺到した。指数の最高は40点で、23人を占め、そこから2人が選ばれた。競争率は13倍。

 保育課の説明では、年度途中の募集は、退園者が出た場合に随時行っているという。しかし、統計資料としてまとめているのは4月募集のみで、それ以外は集計していないという。

 翌2016年4月の募集状況について杉並区保育課は「統計ができていない」として明らかにしていないが、10倍前後の高いものだったとみられる。

 明愛学園は、区などからの補助金1・6億円を得て開設されたが、うち4700万円は、同じく家業の明愛幼稚園(学校法人山本学園)から用地を賃借し、その賃借料の先払いとして払われた。その用地は山本学園がもともと所有しているものではなく、国有地を随意契約で新規購入するという複雑で奇妙なやり方がとられていることが判明している。

 この”激戦 ”状況のなかで、田中議員の愛児は2年続けてゼロ歳児枠に合格。もっと切実な状況の家庭があるのではないかと選考の公正さに疑問の声が出ている。

 田中氏の場合、父親の収入だけで推定千数百万円(議員報酬1000万円+政務活動費192万円+明愛保育園役員報酬=金額不明)、家業の保育園で保母をしているといわれる母親の収入がこれに加わる。自宅があり、時間の融通もサラリーマンよりはあるだろう。さまざまな事情があるにせよ、もっと収入が低い、勤務の拘束度が高い、仕事を辞めざるを得ないなど、より深刻な問題を抱える家庭が不合格になった可能性は高い。

 2013年9月の「同一指数の場合の優先順位」基準改変によって、生活保護世帯以外は収入の多寡を考慮されることはなくなった。田中氏の愛児が狭き門をくぐって合格できたのはこの規定改変による収入規定撤廃が影響したとみられる。

 選考基準に欠陥はないか、再検討が急がれる。