日銀の敗北をごまかすNHKの情報操作

 舛添都知事辞任騒ぎのかげで、憲法破壊寸前という日本住民にとって重大な影響をもたらしかねない参議院選挙のニュースが霞んでしまっている。舛添がせこい(ケチ)という一大キャンペーンが展開される一方で、仮病が限りなく濃厚に疑われる甘利明氏の収賄疑惑はまったく報じない。

 テレビ・大新聞・大通信社という主流メディアは、そのなかに例外的報道があったとしても、基本的に、日本住民から思考能力を奪いとり、権力に従順な生物にしてしまう洗脳装置なのだと私は思う。

 テレビの視聴はゲームと同じで、その基本的性格はひまつぶしでしかない。私は10年来テレビのない暮らしを送っているが、不自由を感じたことはない。

 さて、私が購読しているメルマガに、経済学者・植草一秀のものがある。その最新号に興味深い指摘がなされている。

==
 
日本には言霊信仰がある。
発せられた言葉自身が、力を持つということになる。
安倍首相は消費税再増税再延期の口実として
「リーマンショック」
という言葉を使ったのだろうが、安倍首相がこの言葉を使ったために、その状況が呼び込まれてしまうという現実が広がる気配を示しているのだ。

IMFの2016年-2017年実質GDP成長率見通しは、

    2016年  2017年
日本   0.5%  -0.1%
米国   2.4%   2.5%
ユーロ圏 1.5%   1.6%

であり、日本だけが不況の様相を示している。
つまり、欧米はリーマンショック時とは異なる経済状況にあるが、日本だけは、リーマンショック時と類似した状況にあると言ってよい状況にある。

===
 さきのサミットで安倍首相は、世界経済がリーマンショック前の状況に似ていると発言し、失笑を買ったのだが、じつは日本だけがリーマンショック前の状況に似てきていると植草氏は指摘する。

 株価下落ー円高ー景気失速はリーマンショック前の状況と似ており、安倍首相が「リーマンショック」を口にしたことで、その状況を招きかねないともいう。 

 さらに、円高=ドル安の進行を止めるべく日銀がやってきた量的金融緩和やマイナス金利政策の効果もなく、株価下落と円高を招いた。そして6月16日の金融政策決定会合で日銀は追加策を示せなかった。つまり白旗を上げたのであり、「幹部は総辞職するべきだろう」と植草氏はいう。

 この状況をNHKはどう伝えたか。植草氏の分析は鋭い。 
 
 === 

 週明けの東京市場は、週末の株価から約300円も下落して取引を始め
円高が進行し、株価下落が進行しており、この円高=株安が今後の日本経済にどのような影響を与えるのか、あるいは、なぜ円高=株安が進行しているのかが、視聴者の知りたい関心事項である。

ところが、NHKはなんと、
「日本国債が買われている」
とニュースで報じたのである。

これは、株価急落を伝えることは、安倍政権にマイナスの影響を与えるから遮断する。
この状況下でも、
「安全な資産として日本国債が買われている」
と伝えれば、安倍政権にポジティブなニュースになる、と判断してのことだろう。NHKも堕ちるところまで堕ちている。
文字通りの「大本営」なのだ。

===

 円高ー株安は安倍政権の選挙敗北につながる。アベノミクス失敗の結果なのだが、NHKは安倍政権に利するよう極力そういうことを伝えない。視聴者がみな、植草氏レベルの考える力があったとすれば、NHK会長は、舛添都知事と同様に、とうに辞職しているにちがいない。

 植草氏のブログはおすすめである。企業マネー、権力欲に汚染されていない経済専門家の貴重な指摘に触れることができる。

 テレビを見るのももちろん自由であるが、テレビなし生活を体験してみる価値はある。