「99%の連帯」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑪

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その11(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

 

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫

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 鳩山政権が2009年にできてつぶされた。その背景はなにかというと、米官業政電という仕組みを壊そうとした。これが最大の背景です。官僚の支配、天下り根絶。アメリカの支配。辺野古には基地つくらない。そして企業献金の全面禁止。こういうことをまっこうから仕掛けたためにつぶされた。

 これをわたしは「小鳩の春」よ呼んでいます。小沢さんと鳩山さんでつくった日本の春だった。プラハの春のようにいとも簡単につぶされたが、目的のためには手段を選ばない。人物破壊工作。本当に危険な人物は壊す。鳩山さんも小沢さんもそれで壊された。

『20人の識者がみた「小沢一郎事件」の真実』(日本文芸社)をごらんいただきたい。警察・検察・裁判所の問題、これも大きい。 

 最後に選挙。2012年12月の選挙で自民党、与党は68%の票をとった。議席を確保した。ただ全有権者のなかで自公に入れた人は4人にひとり。自公でない人に入れた人は28%。こちらのほうが多い。しかし、議席は7対3。どうしてこうなるかというと小選挙区制だからです。1位の人しか当選しない。2位じゃだめ。

 野党のほうが候補者複数だすと票が割れるので、かならず自公が勝つ。自民党単独だったら17・4%です。(全有権者の)6人に1人しか自民党に入れていない。

 そこでどう考えたらいいかというと、この28がまとまれば互角の勝負になる。これが最大のポイントです。

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「TPPーー日本破壊の最終兵器」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑩

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その10(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

 

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫

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 「日本経済復活の条件」。企業は内部留保270兆円を貯めこんでいる。平均給与は減っている。この給与も国税庁の調査では、正社員は480万円。非正規社員は170万円です。非正規社員のなかには、フルタイムで働いても年収が200万円に届かない、こういうワーキングプアという人が、もう1000万人を超すという状況になっている。

 一方、これは富岡幸雄先生の本『税金を払わない巨大企業』がありますが、大企業はほとんど税金を払っていない。さらにパナマとかいう国をつかって税金のがれをしているということです。

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 日本で深刻なのは、豊かになったとかいいながら、非常に貧困なる社会保障。特に問題なのがひとり親世帯の子どもの貧困率。58%とあるがOECD34ヶ国中、日本が最悪です。つまり日本の格差の大きさは世界有数。本当はあまりある財源を社会保障にあてる。子育てにあてる。しかしそういうものにはあてない。どういうものにあてるかというと、利権の公共事業、利権の天下り機関の予算にいくということになる。

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 山本太郎議員が国会質問でこのパネルをつかった。安倍政権がやっていることはアメリカの言いなりだ。第3次アーミテージ・ナイレポートに書かれていることをやっているだけじゃないか。政府の答弁は「たまたま一致しているだけだ」(笑)。すごい偶然だなと思う。

 集団的自衛権とかTPPとか。こういうものはぜんぶアメリカの指令のなかに入っている。アメリカはアメリカの価値観を日本に埋め込もうとしているが、同時に日本の経済の仕組みをアメリカのものに変える、そのためにいろいろやってきた。円ドル委員会、SII(日米構造協議)、そして年次改革要望書。これでらちがあかないので最終兵器がTPPです。これによって日本の仕組みを完全にアメリカ化しよう。こういうことがいま進んでいる。

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 このTPPですが、2012年の選挙のときに自民党がつかったポスター。「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。日本を耕す!!自民党」。これでTPP推進と考えたら、それはその人のほうを疑ってしまう。よく考えると、もともとこのポスター怪しいんです。だれも聞いていないのに「ウソつかない」ということが怪しい。刑事コロンボでも、犯人が聞いてもないのに「わたしは昨日ここに行った」とか「潔白だ」とかいうので怪しまれる。

 みなさんも、聞いてもないこと言い出したら怪しいと思うべき。でもウソついても「新たな判断」と言われて逃げられてしまったら困る(笑)。

 自民党が2012年12月に6項目の公約をだした。

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 自民党はまだ野党なのにまともなことを書いていて、

1 「聖域」守る。米、麦、肉、砂糖、乳製品。
2 数値目標受け入れない。
3 国民皆保険守る。
4 食の安心安全守る。
5 ISDS条項受け入れない。
6 政府調達・金融サービス等はわが国の特性を踏まえる。

この6つの公約。ぜんぶ破られている。6項目の1「聖域」は5品目。ところがNHKはいつも、6項目とはいっさいいわず、5品目を「5項目」といいはじめた。何も知らない人は「6項目」といっていたけど、「5項目」だったけなと。ほかの項目はぜんぶNHKの報道では消えている。

 ぜんぶやぶられている。

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 TPPの正体はなにかというと、

1 強欲資本の利益を増やす

2 大きな問題としてISDS条項。これで日本の主権がなくなる。

ISDS条項は、日本を訴えてきて、それを日本の外の裁定機関が採決する。結論をだすと日本はもう何も言えない。日本の国家主権を失う。日本の国民が日本のことを決められなくなる。だから自民党は、国の主権を損なうようなISDS条項は同意しない、と。ところが今回の合意にはISDS条項が入っている。すると、国の主権を損なわないようなISDS条項なのかなということなるが。たとえていえば、人の命を奪うような殺人はしない、人の命を奪わないような殺人だからする、そういっているようなもの。

 すなわち、国の主権を奪わないようなISDS条項はない。ウソとペテンと、「新たな判断」みたいな政治をやっている。そしてこのTPPがもたらす災禍というのは非常に重大です。

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 これは鉄道の写真です。日本が戦争に負けて、満州にソ連軍がやってきた。捕虜にされた日本兵は、じつは鉄道に乗せられた。日本兵は、この列車は日本に帰れる列車だと希望と夢を膨らませて列車にのった。その列車が向かったのがシベリアだった。抑留生活をする。

 これがTPPなんです。夢と希望にあふれるTPPだと思って乗り込むと地獄に引き込まれる。TPPの正式名称は、「とんでもないペテンのプログラム」で、「trans pacific partnership」 は仮の名称だとも言われている。政府の試算は、経済効果を13兆という。超常現象とかいわれている。農業への影響。政府の発表と東大の鈴木宣弘教授の試算は1桁ちがう(鈴木試算は1・5兆円減少)。

 これを通すために予算ばらまきをやる。

 関税撤廃。聖域守るというのはウソです。聖域は守られていない。7年後に再考します。日本の農業が破壊されてしまう。

 一番深刻なのは、日本の医療が破壊される。いつでもだれでもどこでも十分な医療が受けられる仕組みがどう変わるかというと、二本立てになる。国民皆保険は制度としては残す。ただし日本医療の成長なんていっているが、それを増やす。アメリカは日本で薬と医療機器を売ろうとしている。医療行為にも入ろうとしている。値段も上げる。医療の金額がかさんだときに政府は持ちこたえられないので、医療を公的保険でまかなう医療とそれ以外の医療の二本立てにする。

 すると、お金持ちは、公的保険でまかなえないものを民間の保険がまかなう。アメリカの保険会社が販売する保険、非常に高い保険に入った人だけが医療を受けられる。それに入れない人は公的保険の医療しか受けられない。

 医者のがわはどうなるか。もうかるほうに行ってしまう。すると病院は入り口が2つあって、木戸でガタガタの入り口と自動ドアの入り口みたいな。そんな感じになる。

 普通の人が十分な医療を受けられない社会に間違いなく移行する。

 これがTPPです。

 日本の社会保障が貧困なのは、家族の失業給付が非常に弱い。子育てに対する支援がほとんどない。日本の社会保障はほとんどが高齢者向けなんです。日本の公的医療保険を薄くするというもうひとつの狙いは、できるだけ延命しないようにしよう、それによって社会保障費を節約しよう、そういうのがある。

 食の安全も脅かされる。遺伝子組み換え食品というがあるが、日本にもどんどん入ってきている。動物実験でかなり有害性が確認されつつあるが、それを発表しようとすると学者が首をきられたり、解雇されるという意味ですが、そういうことも生じている。

 そしてTPPの核心はISDS条項。これをつかって日本の仕組みが変えられる場合、最初ははっきり見えない。じわじわと変えられる。いわばサソリの毒。あとからこわいことになる。

つづく

「法人大減税と消費税増税」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑨

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その9(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫

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 税の問題ですが、消費税の増税延期、これは当然のことですが、それでも「再延期はしない、そう断言します」と言っておきながら「新たな判断」とか言って再延期されたら困る。

 日本の税制、25年前、1990年ごろは、

・1990年 所得税・27兆円 法人税・19兆円 消費税・3兆円。
・2015年 所得税・16兆円 法人税・9兆円 消費税・17兆円。

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 所得税と法人税が半分になって消費税が6倍ですよ。この所得税と消費税とどこがちがうかというと、所得税の場合、夫婦子2人、子どもは大学生だと、320万円まで収入があっても税金ゼロです。所得の多い人は最高55%。消費税は所得がゼロの人も8%です。超金持ちも8%です。所得の少ない人は所得の全額を消費に宛てます。ですから全体に8%がかかります。大金持ちは所得の一部にしか消費にあてませんから、所得に対する比率はずっと小さい。

 究極の弱いものいじめ、逆進性の税制です。

 税制が変わっていないようにみえながら、すでにこういう変化がおきている。それでいながらさらにこれを増税する。法人に対しては減税する。ということが進んでいる。

 法人税についてですが、40%だった税率がどんどんさがって30%を切る。こういうことが2012年以降つづいている。ところが、政府税制調査会は2007年の報告によって、細かい説明ははぶくが、法人税減税はもう必要ない、そういう結論を出している。

 国際比較をしました。

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 日本、韓国、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ。以上の税と社会保険料の負担額の比較をした。日本はアメリカ、イギリスと似た水準。ただしヨーロッパでも社会保険料が低いところ、ヨーロッパは社会保障がいきとどいているので、社会保障の企業負担大きいです。この社会保険料負担まで含めると日本の法人の負担は高くない。なので法人税減税はいらない。こういう結論なんです。

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 ところが2012年からどんどん法人大減税。とくに大企業向けの減税。理由はなにかというと、消費税増税の賛成がいない。個人も反対、企業も反対。だったらとおらない。で、企業を味方にひきつける。あと大企業を味方にすると、日本のメディアのスポンサー収入を支えているのは大企業なんです。ですから、メディアは大企業の意向にさからう報道はできない。ということで大企業の減税がどんどん進んでいく。

 日本が増税するとき、財政危機とかきたてる新聞多い。でもまったく勉強不足です。みなさんよく聞かれるのは、日本政府の借金は1000兆円。

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 政府の借金、1167兆円。たしかに1000兆円ある。日本のGDP500兆円ありませんから、GDP比240%です。あのギリシャが180%。ギリシャよりひどい。そりゃ大変だ。増税もやむを得ない。そう思ってしまうが、財務省が絶対言わない数字がこれ。

 「期末資産1167兆円」

 つまり、資産と借金さしひくとほぼゼロなんです。

 アメリカの連邦政府は、アメリカが発表している数字では、2200兆円の債務超過。借金のほうが2200兆円多い。

 財務を考えるときに借金の額だけで判定するのはあり得ない。でもこれをみんな知ったらだれも増税に賛成しなくなるので秘密にしておく、こういうことです。

 日本の国債はどんだけ危険か。

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 じつは日本は世界のトップグループ。まったく心配なし。ギリシャは堂々第2位、ベネズエラ第1位。みなさん、絶対にだまされてはいけない。財務省が自分たちの利権を増やすために増税しようとしているだけの話。

 2015年9月19日、あの戦争法を定めたあと、安倍さんは「新三本の矢」なんてことを言っている。

1 GDPを600兆円にする。
2 出生率1・8にする。
3 介護離職ゼロにする。

 新三本の矢。でもGDP600兆、出生率1・8とか、介護離職ゼロは、矢じゃなくて目標でしょ。三本の矢じゃなkて三本の的じゃないの? そういう批判がでましたら、首相官邸のHP書きなおしされた。「的に向かって矢をはなつ」みたいな。それくらいドサクサにまぎれてだした政策ということです。
 
 GDP、これ増えれば増えたでいいかもしれないが、どうしてそう増えるのかまったく示されていない。いまの日本は中間層をぜんぶ壊している。消費が伸びない。なので残る手段はひとつ。人数増やすしかない。福山さんが結婚したら、子ども産んで国家に貢献してもらうとありがたいとか、そんな発言をしたとかつたえられているが、出生率を上げる。介護離職ゼロというのは介護で休むなと、はたらけ。全員はたらけ。これも1億総活躍というふうに言っている。じっさいには全員低賃金強制労働に動員される。1億総動員。ただしこれは生産年齢の人だけです。生産年齢の人だけはたらけ。生産年齢超えたらどうするか。政府の本音は、できるだけ早くこの世から退いてほしい。いうこと。

 その分社会保障の支出が節約できるから。これとTPPがむすびついてきます。

 成長戦略だが、弱肉強食を加速させる。その弱肉強食がいま日本の出生率低下をもたらしている。ですから日本経済をよくしようと思うなら、この底辺を引き上げる。中間層を育てる。これが必要。

つづく

「1%だけを太らせたアベコベノミクス」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑧

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その6(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫

 アベノミクスというものがなんだったのか。メディアが宣伝したのは「株価があがった」ということ。株価が上がった背景には、円安になったと。上下の動きをみていただければわかるが、円ドルレートの動きと日経平均株価の動きはそっくりなんです。

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 円ドルレートが78円から125円になりました、株価は8600円から20800円になりました。これで安倍政権は3年ももってしまった。ただその上り坂がおわったんです。上り坂は去年6月で終わって下り坂になった。125円から105円まできました。2万円の株価が1万5000円まできました。この下り坂の先には「まさか」という第三の坂があるといわれている。これを避けるために、安倍さんは10兆円の補正なんて話をいま持ちだしている。

 株価があがったのでメディアはこれをはやしたてて「アベノミクスは成功した」というような話になっている。が、アベノミクスとはなんだったのかというと、3本の矢なんていうが、

1本目が「金融緩和」
2本目が「財政出動」
3本目が「成長戦略」

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 1本目。金融緩和だが、インフレ率がちょっと上がったが、落ちた。1本目の金融緩和、インフレ誘導は失敗。
 
 2本目。2013年は積極財政で景気がよくなったが、2014年からあの大増税。緊縮政策に転換して、その結果日本経済はずっと低迷です。財政政策を「積極」といったのに「緊縮」に変えた。それで失敗した。これをアベコベノミクスという。失敗。

 3つめの成長戦略。これがアベノミクスの真髄なんです。社会を弱肉強食の社会にしよう。強いものはより強く、弱いものは消えてしまえ。これがたぶん日本を破滅に導いてしまう。

 薄っぺらなメッキがはがれると「アベノリスク」という醜い本体がでてくる。アベノミクスは人々の幸福を追及するのではなくて、ひとにぎりの大資本、1%の人の利益を追及するというものです。そして弱肉強食の社会を推進する。

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 そのために、医療の自由化、農業の自由化、解雇の自由化。そして法人には減税。これを経済特区で実験的にやっていく。1%の強者を支援して99%の民は切り捨てる。

 そして「トリクルダウン」なんて言っていました。 “「1%だけを太らせたアベコベノミクス」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑧” の続きを読む