「日本の原発は地震に耐えられない」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑦

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その6(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫

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 地震の問題。

 熊本県の益城町で大きな地震があった。これはいわゆる中央構造線と呼ばれる日本列島を縦断する最大の活断層。この一部が動いたとみられている。問題は、愛媛県の伊方原発と鹿児島県の川内原発がこの中央構造線上に位置しているのではないかという強い疑いがあるということです。

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 益城町ではM7・4の地震によって1580ガルの揺れを観測した。これくらいの揺れはいつでも起きるということだが、じつは、日本の原発はそれだけの耐震性能を備えていない。

 世界の原発立地を示した図。赤い点が原発。黒い点が大きな地震の発生地点。世界の原発の常識は地震のないところに立地する。これが常識。ところが日本だけは例外で、地震の巣の上に原発54基をつくってきた。狂気の沙汰ということだと思う。

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 どういう危険があるかというと、福井地裁の樋口英明裁判長、日本の裁判所はだいたい悪の塊なんですが、例外的にすぐれた裁判官がいる。伊達判決の伊達裁判長もそうだし、樋口裁判長もそう。2014年5月、2015年5月に関西電力大飯原発、高浜原発の運転差止の仮処分決定をした。画期的判決を書いた。

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 そこにどういうことを書いているかというと、2008年に宮城岩手内陸地震があって、4022ガルという揺れが観測された。関西電力大飯原発の耐震性能は、関電の説明では1260ガル。1260ガルの耐震性能では危ない。福島の事故の教訓を生かしていない。だからダメですよ。これが樋口さんの判断です。だれしもがそう思うと私は思う。

 非常に常識的な判決をだしたのだが、こういう判決をだすと左遷させられてしまう。地方裁判所の裁判長から家庭裁判所の判事に左遷させられる。そういうことも起きている。

 福島の事故があって日本の原発の耐震性能がひきあげられた。従来の基準が白色、オレンジが現在の基準。

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 現在の基準は、ほとんどが500〜800ガル。川内原発が620です。伊方原発570です。益城町の地震は1260ガル。原発の下に活断層があるかどうかはおきてみないとわからないんです。かなりの部分は地震があってから活断層があったことがわかる。だから1260ガルも起きる、4000ガルも起きる。すくなくとも4000ガルの耐震性能は必要だが、その10分の1の基準でいま動かしている。

 例外的に柏崎刈羽の1−4号機は2300という基準が設定されている。これはなぜかというと、2007年の新潟県中越沖地震で3号機タービン建屋内で2000ガルが観測されてしまったから。ここだけ例外的に2300ガル。あとの観測されていないところはこういう基準で動かしている。

 これでは国民の自由、生命、幸福を追及する権利は根底からくつがえされてしまう。

つづく

「憲法が根底から変えられる危険」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑥

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その6(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫
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 もうひとつ。いまこの安倍政権が憲法改定に動こうとしている。自民党の憲法草案。憲法を根底からつくり変えるものとして3つあげたい。

1 人権の制限
2 国家の優越ーー民主主義を否定する
3 戦争を遂行する

 日本国憲法の3大原則は、人権の尊重、平和主義、国民主権ーーこの3つなんですね。だから自民党の憲法改定草案というのは、この3つの原則を作り変えるという側面が強い。

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 まず人権を制限するという点でみると、現行憲法の97条にこういう条文がある。

第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

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 最高法規という章のなかに設けられた条文ですが、自民党案ではこの条文まるごと削除です。こんな邪魔な条文はいらない。

 それから現行憲法21条は、集会・結社および表現の自由です。

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 ですが、自民党案では、

 公益および公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、これを認められない。

 つまり、集会結社の自由、表現の自由に制限をもうける。こういう大転換です。

 戦前の大日本帝国憲法で、人権は制限つきのものだった。法律の範囲内において、この言論の自由なども認める。法律の範囲内といって法律で定める。これはいい、これはだめ。それで定めたのが悪名高き治安維持法です。治安維持法が改定されてそのなかに死刑が盛り込まれた。小林多喜二という方がどういう拷問をうけて殺されたかということは、いろんな資料で明らかである。

こういう暗黒の時代があったが、自民党はこういう集会結社の自由、表現の自由を制限するという考えだから、大日本帝国憲法の時代に戻る、そう言わざるを得ない。

 それから国家と個人。いまの憲法は「個人のための国家」である。安倍さんの考え方は逆で、「国家のための個人」。

 現行憲法13条、個人として尊重する。

 第十三条  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

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それが(自民党案は)「人として尊重」。個人という言葉をつかいたくない。

 そして第99条には憲法擁護義務。現行憲法は公務員に憲法擁護義務をかしている。

 第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 ところが自民党案は、国民はこの憲法を尊重しなければならない、とある。つまり権力をしばる憲法から国民をしばる憲法に変える。大日本帝国憲法と考え方は同じ。

 自民党の憲法改定草案で問題になるのは、もうひとつ、99条と98条。緊急事態条項というのが付け加えられる。

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緊急事態宣言は閣議できめられる。武力攻撃をうけたとき、地震とかの大規模な自然災害が起きた時に、緊急事態を宣言して人権を制限することが必要じゃないかという話だが、ここに、「内乱等による社会秩序の混乱」というのも書かれているから、基本的には政府の腹ひとつで緊急事態を宣言できる。そうすると、法律と同等の効力をもった政令を決められる。さらに選挙もやらなくていい。

 これがつくられてしまうと、安倍さんは、2020年のオリンピックどころか、100年くらい、200歳くらいまで総理大臣ができることになってしまうんじゃないか。
 
 これが1933年にナチスドイツが「全権委任法」というのをつくって独裁を進めていった。帽子かぶってでてくるおじさん(麻生太郎)が「ナチスの手口に学んだらどうか」と言っていたが、まさしくナチスの手口を学ぶというのが全権委任法。

 この参院選で改憲勢力が3分の2をとると、最初にやるのはおそらくこれです、98、99条。これをやってしまうと、非常に危険なことが生じる。ですから絶対に3分の2を取らせてはいけない。

つづく

「砂川最高裁判決ーー日本司法の汚点」参院選を控えてーー植草一秀氏講演より⑤

 主権者による主権者の政治を取り戻すためのゆるやかな連帯運動「オールジャパン平和と共生」https://www.alljapan25.com/の提唱者の一人である経済学者・
植草一秀氏のさいたま市での講演(6月2日、主催・九条の会さいたま)より、要旨その5(写真は一部主催者作成資料より転載させていただきました)

その①その②その③その④その⑤その⑥その⑦その⑧その⑨その⑩その⑪その⑫

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 さて憲法を破壊している安倍政権の暴走について。

 安倍さんは、選挙で勝った政権は憲法解釈変えられると、とんでもない発言をしている。磯崎洋輔首相補佐官は、自民党憲法改定草案つくった中心人物といわれているが、学生時代の憲法講義では「立憲主義というのは聞いたことがない」。そういうことを言っている。立憲主義というのは、権力の暴走をふせぐために憲法を定めている、権力をしばる基本法として憲法を持つ、その憲法は安易に変えられないようにハードルを高くする、こういうものだが、「知らないよ」と。こういう人が自民党の憲法改定案を考えてきた。

 集団的自衛権。他国が攻撃を受けているときに防衛行動をとる、これが集団的自衛権。

【集団的自衛権】
・ある国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利。
・その本質は、直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処するところにある。
(ウィキペディア)

 国連憲章第51条に「個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない」とある。

【国連憲章第51条】 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和および安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない。

 独立国は自衛権を持つ。その自衛権は個別的自衛権、集団的自衛権の両方ある。こういう定めがあって、日本もこの集団的自衛権持っているんだと、こういうことが言われている。

 安倍政権は2014年7月1日に、憲法解釈変更の閣議決定をし、昨年2015年9月19日にいわゆる戦争法制を強行成立させた。その根拠とされたのが「砂川事件判決」。
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