チョムスキーインタビュー「人類破滅への行進を望むトランプ氏」

デモクラシーナウ
の最新記事より、ノーム=チョムスキー・米国マサチューセッツ大教授のインタビューを引き続き翻訳して紹介します。聞き手はエイミー=グッドマンさん。(意味がとれなかった部分など一部省略しています。拙い訳ですがご容赦ねがいます。誤訳のご指摘、ご意見等お待ちしています)。

Chomsky on Trump’s Climate Denialism: He Wants Us to March Toward the Destruction of the Species
May 16, 2016

【チョムスキー氏インタビュー/地球温暖化を軽視するトランプ氏、人類破滅への行進を望む】

A(エイミー=グッドマン):共和党候補のトップをはしっているドナルト=トランプ氏が先月、地球温暖化を軽視する発言をしました。

トランプ:「オバマ大統領は我が国にとって最大の脅威は地球温暖化だと言った。勘弁してほしいよ。我が国にとって最大の脅威は核だ。イランが核兵器を持つことを許してはならない」

A: このトランプ氏ーーアメリカ大統領になる可能性のある人物ですがーーの発言についてどう考えますか。

N(ノース=チョムスキー):とてもこわい考え方です。ひとつは、かれがなにを考えているのかを知ることは簡単ではないということ。彼自身自分が考えていることを知っているのかすら疑わしい。彼は何をするかわからないタイプだ。あらゆる種類の発言が出てくる。しばしば数分のうちに発言を否定する発言が出てくる。ペテンの類だ。
 しかし、彼の姿勢にはいくつかのはっきりした傾向がある。

「地球温暖化などない。勘弁してほしい。そんなことは問題じゃない」

「がけっぷちまでできるだけ早く競争しよう」

 こうした言葉は抽象的な話ではない。

 これはすでに、共和党の立場に大きな影響を与えている。そして注意しなければならないのは、これはトランプではないということだ。共和党候補の100%が基本的に同じ立場をとっているのだ。彼らはいっている。

「経済協定(EPA)から自由になろう。規制から自由になろう。みんなジョークだ。リベラルないんちきだ」

などなど。こうした発言が影響をもってきている。

 昨年12月のパリの地球温暖化会議は温暖化防止のために制限をもうける条約を締結するはずだった。不十分ではあるが、それでもなんらかの意味はあった。しかしそれすらできなかった。理由はひとつ共和党の議員が条約締結を受け入れなかったためである。
 このことは世界に知れた。条約締結の希望がだいなしにされたからだ。かわりに自主的な合意がなされたが、あきらかに効力の弱いものとなった。
石炭規制に関するオバマ大統領の大変穏やかな提案に対して共和党は最高裁で反撃した。その際、世界にむけてまたこういうメッセージをだした。

 「なにをやろうが気にするな。世界最大でもっとも力のある国だ、気にせず前に進んですきなことをやれ」

 これが「崖っぷちまで競争しよう」の意味である。とおい先の話ではない。何百年という単位の話でもない。何十年の話なのだ。こうした出来事をみるのはただショックというほかない。

 そしていま、トランプ氏ははっきりと核兵器はとても深刻な脅威であると述べた。そして最悪の可能性として例(イラン)をあげた。
 イランは脅威ではない。世界はイランを脅威とはみていない。アメリカの脅迫観念にすぎない。

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チョムスキー氏「気象変動と核兵器の増大によって人類は経験したことのない最悪の脅威に直面している」

 デモクラシーナウ(http://www.democracynow.org/)
の最新記事より、ノーム=チョムスキー・米国マサチューセッツ大教授のインタビューを翻訳して引用したい(意味がとれなかった部分など一部省略しています。拙い訳ですがご容赦ねがいます。誤訳のご指摘、ご意見等お待ちしています)。

http://www.democracynow.org/2016/5/16/noam_chomsky_climate_change_nuclear_proliferation

「ノーム=チョムスキー氏:気象変動と核兵器の増大によって人類は経験したことのない最悪の脅威に直面している」

Noam Chomsky: Climate Change & Nuclear Proliferation Pose the Worst Threat Ever Faced by Humans
May 16, 2016

A エイミー=グッドマン(聞き手):ニューヨークタイムスによれば、ほとんど知られていないが、オバマ大統領はある道標をとおり過ぎた。オバマ大統領は歴代のどの大統領よりも長い間戦争をやったということだ。J=ブッシュ、ルーズベルト、リンカーンよりも長い。オバマ大統領は少なくとも7つの国で軍事行動をとった。イラク、アフガニスタン、リビヤ、シリア、パキスタン、イエメン、そしてソマリア。つい先月、オバマ大統領はシリアに250人の特殊作戦部隊を展開すると発表した。
 戦争が地球中に広がることによって、昨年家を追われた人は6000万人を記録した。
 難民危機は地球温暖化によっても悪化するだろうと専門家は警告している。
 一方で、多くの人がしずかにはじまった小型核兵器競争を懸念している。
 これらの複合的な危機の到来とともに、アメリカの有権者は大統領選挙をむかえる。世界でもっともすぐれた知識人のひとりであるノーム=チョムスキーマサチューセッツ教授に聞く。チョムスキー教授の近著は「だれが世界を支配する?」(「Who rules the world」)である。
チョムスキーさん、デモクラシーナウに再びようこそ。再会できて光栄です。

N チョムスキー: 再会できてうれしいです。

A:世界を支配しているのは誰なのでしょうか。

N:ある程度までは、わたしたち次第です。民衆が世界を支配することは可能です。しかし、それを得るためにたたかわなければなりません。そして、もしそれをやめたなら、権力ーー経済や政治権力によって支配されるでしょう。選択ということです。

A:世界で何がおきているのか。

N:基本的に第二次世界大戦からきている問題です。第二次世界大戦がおわったとき、アメリカ合州国は歴史上かつてない富と権力を手にした。文学的に言えば、世界の半分を手に入れた。半球と2つの大洋と大洋の両側を軍事支配するという比類なき立場をえた。
 軍事用語でいうならば圧倒的優位にあった。ほかの産業社会は破壊されるか重度に弱退化していた。戦争は実際のところアメリカ経済におおきな利益をもたらした。大恐慌をおわらせた。産業生産は実質的に4倍となった。借金は成長によって容易に支払いできた。
 アメリカ合州国は世界のシステムを決めることのできる立場にあった。
 その状況は急速に崩壊しているが、ここ数年の状況変化にかかわらず、アメリカはなおも圧倒的優位の立場にあり、おそらくは世界の富の4分の1を独占している。軍事面では、完全に一人勝ちである。数百、おそらくは1000の軍事基地と部隊を世界中に展開している唯一の国である。米軍のコストはほかの世界を合わせた額とほぼ同じくらいに巨大で、技術的にももっとも進んでいる。
 過去70年間ほどでみれば、アメリカは世界情勢のなかできわめて支配的な役割をするのを常としてきた。

A: 世界がいま直面している2大問題、核戦争と気象変動について。
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東京五輪買収疑惑/ガーディアン紙報道の翻訳

 2020年五輪の東京開催が賄賂によって買収された疑惑が英国ガーディアン紙のスクープによって持ち上がっている。日本の大メディアは、同紙報道のごく一部しか伝えていない。「電通」が深く関与していることと無関係ではあるまい。

 つたない訳で恐縮であるが翻訳して掲載したい。まちがい等あればご教授ねがいたい。 
(随時修正しています)
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https://www.theguardian.com/sport/2016/may/11/tokyo-olympics-payment-diack-2020-games

ガーディアン紙 

【2020年東京オリンピック招致めぐり疑惑浮上/秘密口座に130万ユーロ(約1・6億円)送金】

(追記)報道によれば、JOCの竹田恒和会長は13日、招致委は280万シンガポールドル(2・2億円)を2013年7月と10月に問題の秘密口座に送金したという。投票はただし正当な業務の対価であると説明しているという。

オーウェン=ギブソン
2016年5月11日(BST)

 2020年オリンピックの東京開催が決定した過程で、(汚職の)不名誉をもつ前世界陸上競技連盟(IAAF)会長・ラミン=ディアク(LamineDiack)氏の息子マサッタ=ディアク氏(Papa Massatta Diack)と関係のある口座に東京五輪招致団体が100万ユーロの単位のカネを支払っていたという事実をガーディアンはつかんだ。

 疑惑の支払いは130万ユーロ(100万ポンド、約1・6億円)。現在フランス警察が捜査中である。オリンピックの開催地争いと父ディアク氏の関係についてあきらかにするようIOCに対してさらに圧力が高まるのは必至だ。そして、2013年の五輪開催地の東京決定にも重大な疑問を呈することになった。

 2002年のソルトレイク冬季五輪の賄賂事件をきっかけに改革を行い、開催地選考過程の信頼性につとめてきたIOCだけに、票が買収されたのではないかという今回の疑惑による動揺は巨大なものになるだろう。

 父ディアク氏は1999年から2013年までIOCの委員だった。2014年に名誉委員となったが、ロシア選手のドーピング陽性を隠蔽した見返りに100万(ユーロ)以上の賄賂を受け取ったとして訴追され、昨年(2015年)11月、国際陸上競技連盟(IAAF)会長を辞任した。フランス検察当局が陸上競技運営体の腐敗について捜査している。父ディアク氏は、現在フランスからの出国を禁止されている。

kozu

 今年3月、ガーディアン紙は、フランス当局の捜査対象が、2016年と2020年のオリンピック開催地選考にまで広がっていることをつかんだ。

 現在わかっていることは、合計130万ユーロが東京五輪招致団体からシンガポールにあるブラック=タイディングス社(Black Tidings、訳者注:ペーパーカンパニーだと報じられている)の秘密口座に直接送金された。口座は父ディアク氏の息子であるパパ=マサッタ=ディアク氏(Papa Massata Diack)と関連がある。マサッタ=ディアク氏は「マーケティングコンサルタント」としてIAAF(国際陸上競技連盟)に雇用されている。
  
 父ディアク氏は1999年からIAAFの会長をしていたが、2013年に東京がライバル立候補地のマドリッドとイスタンブールをやぶった当時、影響力のあるIOCの委員だった。

 ブラック=タイディングス社は、10年以上にわたるIAAFの構造的腐敗の核心である。

 世界反薬物(アンチドーピング)機関(WADA)によって行われた独立調査の報告書が1月に発表された。

●WADA報告書1
https://wada-main-prod.s3.amazonaws.com/resources/files/wada_independent_commission_report_1_en.pdf
●WADA報告書2
https://wada-main-prod.s3.amazonaws.com/resources/files/wada_independent_commission_report_2_2016_en_rev.pdf

(訳者注)WADA報告書#2の34頁(PDFの40頁)脚注に東京五輪の関連について触れた部分がある。

 そこには、父ディアク氏と彼の「IAAFマーケティングコンサルタント」の息子たち――マサッタとカリル氏(Khalil)が、弁護士ハビブ=シセ氏(Habib Cisse)と協力して、違法で非正規の方法でIAAFを運営してきた様が書かれている。

 2017年世界陸上競技大会の開催地選考の際、そして2020年五輪開催地選考の際、立候補していたカタールに対して、マサッタ氏が500万ユーロを要求した疑惑を、ガーディアン紙はすでに報じた。マサッタ氏は、マーケティング部門のパートナー企業「電通」との合意により、後援をめぐる市場開拓について白紙委任状態にあった。

 またガーディアン紙はことし1月、2016年五輪にドーハ(カタール)が立候補した2008年当時、IOCの6人の有力委員に「小包」を同時に送るという手口に、マサッタ氏が明らかに関与している事実を暴露した。

 今回の事実暴露はIOCと五輪運動にとってもっともやっかいなものだろう。トーマス=バック委員長は、ほかの問題あるスポーツ団体――IAAFやFIFAに対して、IOCは選考過程に信頼性があるのだと繰り返し訴えてきたのだ。

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安倍首相がオバマ大統領に「原爆投下を謝ってほしい」と要求できないわけ

 オバマ大統領が月末に広島を訪問すると報じられている。そして原爆投下について謝罪しない方針だともつたえられている。ブルームバークの報道によれば、〈ベン・ローズ米大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)はミディアム・ドット・コムへの投稿で、「第2次大戦の終わりにおける原爆使用の決定についてオバマ大統領が振り返ることはない」とし、「そうではなく、日米共通の未来に焦点を合わせた前向きな展望を示す」と記した。〉とのことである。

 そして安倍晋三首相も謝罪を求める意思はなさそうだ。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の拉致問題でみせているような強い姿勢は、ここにはまったくみられない。また、南京大虐殺や「従軍慰安婦」問題をはじめとする大日本帝国政府の侵略戦争による被害を矮小化することに傾けている情熱も、こと原爆被害についてはまったくない。

 こうした状況を観察していると、やはり安倍政権、日本の伝統的な権力構造といったほうがよいかもしれない、が米国の傀儡であると確信せざるをえない。侵略戦争に突き進んだ大日本帝国政府・軍とその支援者たちは、アメリカを中心とする連合軍に完敗した。そしてアメリカに全面協力することと引き換えに延命をはかり、こんにちに至っている。大日本帝国政府が行った侵略戦争の罪を免責してもらうかわりにアメリカに対していっさいモノを言うことをやめてしまったということではないか。

 オバマ大統領は歴代大統領のなかでも突出して核開発に前のめりだといわれる。B61という小型核爆弾の改良にも取り組み、F15戦闘機からの投下実験まで行った。https://www.youtube.com/watch?v=FBm74WiCL1g
http://www.shibano-jijiken.com/sekai_o_miru_sekai_no_shinbun_520.html

 北朝鮮政府は、アメリカが核を使用する脅威を現実に感じているはずだ。一方の米国は、北の「核の脅威」を口実に核を使いたいのだろう。日本政府が仮に「独立」した主権国家であれば、オバマ大統領に「核開発をやめたらどうか」「核戦争を起こすつもりか」と忠告できるはずだ。そうしなければ、日本社会の安全がおびやかされるからである。

また「独立」した主権国家なら、なにより米軍基地が日本中を埋め尽くす状況などありえない。

 独立した立場で米国の核開発をいさめるいっぽうで、北朝鮮に対しても核開発の中止を求め、朝鮮戦争の終結にむけた交渉の仲介役を買って出る。むろん中国に対しても核開発の中止をよびかける。そうした働きかけをする大前提として、前史である日本の侵略について調査・謝罪・賠償を行わねばならない。

 そして当然のごとく、原爆被害や空襲被害についてもアメリカ政府に賠償を求めていくことになる。
 
 こういう行動が、大方の日本住民や他国の人たちがもっとも幸福になる方法、すなわち戦乱のない平和な暮らしを得る近道だろう。

 こうした仮説がまるで夢ものがたりのようにしか聞こえないとすれば、それ自体が日本が米国の属国であることのなによりの証拠にちがいない。まるで奴隷のごとく大日本帝国の侵略戦争に加担させられ、しぼりとられ、傷めつけられた末に、米国の下僕となった傀儡政権によって、引き続きアメリカの戦争に利用され、苦しめられつづけている。
 
 杉並区は「核兵器がなくなることを願」った平和都市宣言を行っている。しかし、いくら願っても日本に原爆を落としたアメリカ自身の現在進行形の核開発にモノが言えないのであれば、もはや撤回したも同然だ。大虐殺をされながら一言も文句のいえない情けない社会になってしまった。

 自分の犯罪に目をつむってもらったみかえりとして、自分の家族を皆殺しにされたことにはいっさい文句をいわず、ひたすらボスのいいなりになる。それがいまの日本の姿ではないか。憲法破壊しかり、アメリカの戦争への自衛隊投入しかり、TPPしかり。

 南京大虐殺や「従軍慰安婦」の否認と原爆や大空襲被害に対する沈黙は表裏一体の行動といえる。

 とても暗い状況ではあるが、現実を虚飾なく認識することからしか出口への道のりははじまらない。

〈お知らせ〉

5月11日(水)TPP協定を批准させない!水曜日行動

http://tpp.jimdo.com/2016/05/11/hijunsoshi/
17時30分~18時30分
衆議院第2議員会館・多目的会議室
「TPPを批准させない 5.11院内集会
-TPPを参議院選挙の一大争点にするために」

19時00分~20時00分
「国会議員会館前抗議行動」
衆議院第2議員会館前

12日夜、高円寺で「キューバ」雑談の会

 12日夜、杉並区高円寺の「なんとかBAR」http://www.shirouto.org/nantokabar/(JR高円寺駅北口から徒歩5分。北中通商店街=みずほ銀行のATMとたい焼き店の間の小道=を北西に約200メートル。ヤシロ食堂を右手にみて向かいの道を左折)

 にて、キューバ報告をかねた雑談会「キューバナイト!」を催します。前区議の奥山妙子さんの提案による企画です。

 先日、筆者は20数年ぶりにキューバを訪れました。キューバの専門家ではありませんが、いまの日本を覆う暗い空気がいったい何なのかを考えるにはよい機会だったよ〜という話を奥山さんにしたら、「その話聞きたい!」とできあがった企画です。

 勉強会ではありません。

「豊か」で「平和」で、しかしどこか暗い日本からやってきた一旅行者として見て聞いて考えたことをお伝えし、雑談に花を咲かせたいとねがっています。参加費なしで、料理(300円〜)をご注文ください。

 みなさなのご訪問お待ちしています。
 
  お問い合わせは奥山さん(ゼロ9ゼロー9イチ47ー8383)まで。

「議員死亡後の期末手当支給は違法」/住民監査請求を天下り監査委員ら棄却

 2015年2月に死亡した大泉時男杉並区議(自民)の遺族に対して、3月期の期末手当12万円あまりを支給したのは違法・無効であるとして返還を求めた住民監査請求の結果が4月27日付でだされた。申し立て人は筆者と前区議会議員の奥山妙子氏。監査を行った監査委員は元会計管理室長(2015年7月よりシルバー人材センター常務理事)の上原義和氏=代表監査委員・常勤=と岩崎英司氏(公認会計士・非常勤)の2名。結果は「棄却」であった。

 地方議員の期末手当とは、賞与(ごほうび)の意味をはらむ一般職員のそれとはまったく趣旨がことなる。ごほうびはもとより生活をささえる意味もまったくない。でたらめに手当を払っていた実態に批判があつまり、唯一支払い可能な手当として集約されたのが「期末手当」だった。地方議員報酬が純粋に職務の対価であるのと同様に、純粋に議員活動のためのものである。すなわち、死後、遺族のために払うということはありえない。
 
 しかし、大泉氏の例をみれば、死後遺族に払ったのであるから事実上の弔慰金というほかない、そういう支給を可能にした区の条例は違法であるーーと住民監査請求では主張した。

 これに対して監査委員は、

①死亡日までは議員としての職務を行っており期末手当の支給に問題はない、
②遺族への弔慰金でもない、

などと棄却理由を述べた。

 なるほど手当の後払いと考えればそういう理屈も成り立つのだろう。しかし、そうすれば、年3回(3月、6月、12月)の期末手当の支給額が著しく均衡を欠いていることの説明がつかない。月割で考えてみれば、在籍する時期によって手当の額がまったくちがってくる。

12月2日ー3月1日 議員報酬月額に1・45☓25/100
(1月あたり=0・12☓月額)
※一般議員(月額報酬59万5700円)で21万6000円(1月あたり71000円)

3月2日ー6月1日 同1・45☓155/100
(1月あたり0・74☓月額)
※一般議員で133万9000円(1月あたり44万6000円)

6月2日ー12月1日 同1・45☓163/100
(1月あたり0・39☓月額)
※一般議員で140万8000円(1月あたり23万4600円)

 結局、議員にもボーナスがほしいということでつくられた制度なのだ。しかし、建前上、議員にも特別職にもボーナスはあってはならない。ボーナスだけどボーナスじゃないというゴマカしの税金泥棒の手口である。

 地方自治法の規定によれば、住民監査請求の結果を知ってから30日以内に住民訴訟を起こすことができる。筆者と奥山前区議の申立人2人は、近く住民訴訟をおこし、地方議員の「期末手当」のはらむ矛盾について追及をおこなう意向である。

 

日本を覆う暗さの源をキューバで考える

 読者のみなさん、こんにちは。しばらく休筆していました。黄金週間明けより記事を更新したいと思います。ご愛読のほどよろしくお願いいたします。
 
 4月上旬から下旬にかけてカリブ海のキューバを訪問していました。ご存知の方も多いと思いますが、キューバは1492年にコロンブスらスペイン人の航海者らによって「発見」されて以来、苛烈な植民地支配を受けてきた国です。スペインから独立した後もアメリカの属国として搾取を受け続け、ようやく1959年の革命によってアメリカ支配からの独立を勝ち取ります。

 銀行や大企業を革命政権が接収し、住居・学問・医療の無償化を実現したことはよく知られているところです。

 アメリカとの国交断絶は半世紀以上も続き、その間、アメリカ政府やCIAによる政権転覆工作が何度となくなされてきました。そして先日、アメリカ・オバマ政権はキューバとの国交回復を行いました。

 過去の植民地支配のすさまじさは、キューバには先住民の痕跡がほとんどなくなっていること、言葉もスペイン語しかなくなってしまったこと、食文化も非常に浅いことなどをみただけでも想像を絶するものがあります。

 音楽にしても、キューバ音楽というのはヨーロッパ人とアフリカ奴隷、そして北米人の持ち込んだものがごちゃごちゃになって出来上がったものです。

 そうした植民地文化に、帝国主義・植民地支配の果実にあずかった側の民であるヨーロッパ人たちが魅せられるというのはとても興味深い現象です。サルサを習いにくるヨーロッパの民はあとをたちません。

 ともあれいまのキューバです。ひとことで言うのは難しいですが、激変のさなかにあります。そして多くのキューバ人はいまのキューバを「よいところだ」とは決して考えていません。毎日の暮らしにも多大な困難があります。

 しかし、なにか日本にはないものがあるんだな〜と、ボロボロになったスペイン人がつくった町(ハバナ旧市街)をながめながら感じました。明るさというか、自信というか、ふてぶてしさというか。日本にはないそんな空気があるのです。

 一例をあげれば、キューバ人は大国文化の真似はしても決して猿マネはしません。音楽にしても踊りにしても、必ずキューバ流に作りなおして自分たちのものにしてしまいます。イギリス語にしても、発音が下手だとかといったことはまったく意に介しません。

 日本社会とのちがいは何か。大国であろうと対等にものがいえる政府をもっているということとも関係がありそうです。グローバル大資本や大銀行の支配からの独立度も高いものがあります。すくなくともキューバの空を外国の軍用機が飛ぶことは絶対にありません。

 かたや日本は日本中に米軍基地が展開しています。安倍政権はアメリカの傀儡政権といっていいと思います。

 ワシントンの関心を買い、傀儡としての地位を築くことでみずからの権力を維持しようとしている。そうみえてなりません。

 しかし、それだけだろうかとも悩んでしまいます。アメリカの傀儡政権を持つ国は日本以外にもたくさんあります。しかし、日本の暗さは格別ではないか。

 そこでもう少し考えみて思いいたったのが、国民の認識のありかたでした。外国の軍隊が日本中にうろうろしているというのは、常識的に考えれば、主権国家としては異常な事態であり、軍事占領下にあるとのかわりません。ところがそうした「常識的な認識」をする日本国民は、沖縄をのぞいてごく少数です。

 アメリカ軍に占領されているのに、そうは思わない、この基本認識の誤り。これこそが、日本を暗く重い社会にしている大きな原因ではないだろうか。

 そんなことを考えた次第です。