オバマ大統領広島訪問の偽善

オバマ大統領の広島訪問に関して、カウンターパンチに掲載された記事を抄訳にてご紹介します。(誤訳等がある可能性があります。ご容赦ください)

http://www.counterpunch.org/2016/05/25/obama-in-hiroshima-a-case-study-in-hypocrisy/

Obama in Hiroshima: A Case Study in Hypocrisy

  オバマ広島訪問の偽善に関する考察

エリック=ドライツアー
by Eric Draitser

 オバマ大統領が歴史的な広島訪問をおこなう。広島は世界で最初に核兵器が使用された場所である。原爆投下はアメリカ合州国にとって、この上ない恥ずかしい行為のひとつである。この大統領の広島訪問について商業メディアは、日米関係強化のための重要な一歩であるとほめたたえた。だが訪問の真の目的は、中国の影響が大きくなっているアジア太平洋地域で、アメリカの覇権を再表明するためである。

 オバマの日本訪問は、アメリカの為政者やオバマ大統領自身の、とても偽善的で皮肉な姿勢を浮き彫りにした。

 20万人以上(大半は民間人)の無意味な殺戮について、大統領は謝罪しないとみられる。また、長年にわたって続く戦争にまつわる政策の影響ーー米軍の沖縄占領に対して不満が非常に高まっている問題についても、触れない見通しだ。

 山積する問題をまえに。オバマ大統領な実質的な問題にはなにも触れないらしい。

 最大の問題として、70年にわたってアメリカが日本に軍事基地をおき続けているという問題がある。日本人の大半が非難している。とくに沖縄市民は、米軍占領に対して常に抗議をしてきた。

 オバマと日本の安倍晋三首相は、両国の友好と協力関係について話すようだ。しかし実際は、主従関係をこんごも維持するというにすぎない。おぞましい戦争犯罪の罪についてアメリカは認めるつもりはなく、日本の側もまた、中国、朝鮮やアジア太平洋諸国で行った容赦無い侵略の罪を認めようとしない。

 これまでどおりの話である。

 興味ぶかいことには、核兵器の問題についてもまた、実質的には何も解決がめざされない。一般的なテーマでは議論があるにしても、オバマの論法にはなかみがない。

 勇敢な記者に質問のチャンスがあれば、大統領にこう聞くだろう。

「核廃絶にむけた絶大な努力の結果、ノーベル平和賞を受けた大統領が、なぜ1兆ドルもかけて核兵器の更新や、性能向上をはかり、アメリカの核兵器庫の拡大をめざすのですか」

 おそらく、より具合の悪い質問は、こうだろう。

「オバマ大統領はコロンビア大学生のときに、核軍縮の研究をしていました。それにもかかわらず、核武装したイスラエルに数百億ドルという歴史的にみて巨額の援助をしたのか」

 オバマ大統領は2014年、イギリスとの間で、核兵器に関するあらたな協定を結んだ。大統領自身が言っている。

「信頼できる抑止力を維持するために、現実性のある核兵器を維持するつもりだ。(そのためにアメリカはイギリスを支援する必要がある)」

 オバマ大統領が、話のすり替えがうまいスポークスマンとともに反核伝説をつくりあげ、核兵器をもっていないイランと核をめぐる協議を行うにいたっては、この皮肉ぶりはもはや看過できない。オバマ大統領は核を拡散させるためにあらゆることをやっている。東ヨーロッパに狂気のさたとしか思えない新しいアメリカのミサイル防衛システムをつくったのもそのひとつだ。ロシア軍は対抗措置として核兵器(現在も世界でもっとも巨大である)を含む武器庫を更新し、拡大した。

 さらに、「福島」の問題がある。福島で実際になにが起きているのかは、現在も隠されつづけている。この収束しない環境の大惨事をまえに、だれも息をのんではならないし、ささやいてもいけない。この惨事を記憶の穴に捨て去るために日本政府はあらゆることをやってきた。

 アメリカ政府が行った巨大犯罪に対してオバマ大統領は日本の人々に公式謝罪しない。それどころか、大統領は自分の姿勢を、「後ろを振り返らず、前を見る」という空虚な決まり文句で表現する。拷問を含むブッシュ政権時代の犯罪について、調査も訴追しないと決めたときと同じだ。

 心のこもった謝罪をすることなく、オバマは、TPPを求め、中国との緊張がエスカレートすることを求めた。ノーベル平和賞受賞者に求められるような平和への努力をすることなく、アジアの枢軸でありつづけようとする。結果、平和の推進には役にたたず、米軍の存在を大きくしている。

 オバマ大統領の日本訪問は、イランやキューバでの「大成功」と同じように、それによってなにも変わることはない。いくつかしゃべって日本を去るだけだ。かれはまもなく執務室をさるが、かれが来たときよりも世界ははるかに危険になった。核が増え、戦争が増え、破壊が増えた。これがわたしたちのノーベル平和賞を受賞した大統領なのだ。