「地球で」

「地球で」

この惑星の一つにすぎない地球で
そのほんのひとすみのことを知っているだけでも
生きているだけならことかかないのだ
書物からの知識やテレビやラジオの伝えるものを加えても
世界中の人がかなでる出来事にくらべたら
ほんのわずか
私は冬の日
カーテンをしめストーブをたき
冬場のへびのようにじいっとうずくまって
他人の視野の外側にいる
そんな自分を思うとき
人の知ることそれは
一本の樹が芽生えて古木になるまでに
知った世界にさえ
くらぶべくもないほど小さい

『記憶の川で』(塔和子、編集工房ノア)より