戦争ははじまった

 29日、採決手続きすらあやしい戦争法が「施行」された。アメリカはシリア空爆をつづけている。アフガニスタンでも軍事行動をつづけている。国連決議もなしに他国に軍隊を送り込み、殺戮を繰り返している。圧倒的に民間人である。そのアメリカの戦争に日本の自衛隊も参加する道を開いた。日本にとって戦争はすでにはじまっている。

「戦争反対」では生易しい。「戦争をやめろ」と叫ばねばならない。

 ちゃくちゃくと憲法破壊行為が進んでいる。日本社会の根本秩序をひっくり返すに等しい。クーデタ(Coup d’état=フランス語。直訳すれば「体制に対する一撃」)といってよいだろう。

 建国以来、暴力的な侵略と帝国主義を世界中で繰り返してきたアメリカ合州国政府は、「民主主義」を標榜しながら、じつは、配下においた他国が、真の独立なり民主化をめざしたとたんに、それをつぶすのを習い症としてきた。ハイチ、グアテマラ、チリ、ホンジュラス、パナマ、インドネシア、イラン、イラク、シリア・・・枚挙にいとまがない。暴力を使うこともあれば、巧妙な形で気にいらない政権をつぶすこともある。

 日本においてもこれと同質のことが起きているように筆者は思う。
“戦争ははじまった” の続きを読む

安倍首相のウソを見抜け

 NHKと商業主流大メディアを総動員した安倍首相の政権維持の詐術がバレつつある。

 3月16日の政府会合でスティグリッツ・コロンビア大教授が「TPPは悪い貿易協定である」「米国議会では批准されないであろう」と重大な発言をしたにもかかわらず、大手新聞は完全にこれを無視し、逆にスティグリッツ教授の発言要旨をまとめた資料のどこにも書かれていない「消費税増税は延期すべき」という言葉を軒並み報じた。朝日は会合そのものを報じていない。
http://miyakekatuhisa.sakura.ne.jp/wp2/archives/611

そして、産経新聞をはじめ、増税延期をきめたという観測記事が垂れ流された。

 本当にスティグリッツ教授が「消費税増税延期」するよう発言したのかどうか、どういう文脈、あるいは表現でそれを述べたのか、現在のところ確認することはできない。安倍政権が選挙を有利にすすめるための打ち上げ花火として「増税延期」を意図的に演出した疑いは限りなく高いと筆者はみている。

 しかし、このお得意の詐術もさすがに通用しなくなってきているのではないだろうか。安倍氏自身が前回の衆院解散で放った言葉と「増税延期」が、重大な矛盾をはらんでいることに国民は気付き始めている。植草一秀氏のメルマガから引用したい。

 なお、筆者は大新聞を定期購読せず、NHKもテレビ受像機そのものがないために契約していない。その分、単行本やメルマガの購読料にカネをつかっている。貴重な情報を得ているひとつが植草氏のメルマガである。読者のみなさまにぜひおすすめしたい。

 植草氏のメルマガより
 

…2009年12月の選挙で民主党が歴史的大敗を喫したのも、野田佳彦氏が「言葉」をおろそかにしたことが主因だった。

「野田佳彦のシロアリ演説」
http://www.youtube.com/watch?v=y-oG4PEPeGo

これが野田民主党大敗の決定打になった。

これと匹敵するのが、安倍首相の消費税増税断行演説である。

「平成26年11月18日安倍内閣総理大臣記者会見」

http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/1118kaiken.html
安倍晋三氏はどう発言したか。

この発言動画の

7分48秒から8分33秒の部分

9分49秒から10分30秒の部分

をじっくりとご覧いただきたい。

「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。」

「消費税の引き上げを18カ月延期すべきであるということ、そして平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います。」

 安倍首相は「再び延期することはない」「確実に実施します」と繰り返し断言している。増税再延期方針が本当であれば、過去の発言との整合性がなくなってしまう。ウソをついたことになる。

 この矛盾がインターネット上で広がりだすと、こんどは、参院予算委員会で「増税延期報道」を否定する答弁を行っている。

 国民をケムにまく舌先工作がまさにいま目の前で展開されている。だまされるか、だまされないか、国民の知性と理性がためされている。

衆議院北海道5区補選/自民和田氏の出身企業三菱商事の自民献金額は計14億円超

 4月12日告示、24日投開票の衆議員北海道5区補欠選挙は、自民・新党大地推薦の新人・和田義明氏を、民主、維新、共産、社民の野党連合が支援する新人・池田真紀氏が猛追していると報じられている。日本の未来を考えて、筆者は池田氏を全面的に応援する。

 投票する権利がないのが残念であるが、ささやかながら、投票するうえで参考にしてほしい情報を提供したい。自民・和田氏の出身企業である三菱商事が、自民党に過去どのくらいの政治献金をしたのか、官報の記録をたどって集計してみた。

 結果は以下のとおりである。

三菱商事(株) ¥58,700,000 1977
三菱商事(株) ¥57,250,000 1978
三菱商事(株) ¥61,900,000 1979
三菱商事(株) ¥62‚185‚000 1980
三菱商事(株) ¥66,930,000 1981
三菱商事(株) ¥64,250,000 1982
三菱商事(株) ¥69,800,000 1983
三菱商事(株) ¥70,020,000 1984
三菱商事(株) ¥67,640,000 1985
三菱商事(株) ¥68,300,000 1986
三菱商事(株) ¥72,700,000 1987
三菱商事(株)   ¥66,800,000  1988
三菱商事(株) ¥69,100,000 1989
三菱商事(株) ¥68,370,000 1990
三菱商事(株) ¥62,400,000 1991
三菱商事(株) ¥63,850,000 1992
三菱商事(株) ¥52,000,000 1993
三菱商事(株) ¥15,000,000 1994
三菱商事(株) ¥10,000,000 1995
三菱商事(株) ¥34,800,000 1996
三菱商事(株) ¥22,400,000 1997
三菱商事(株) ¥22,400,000 1998
三菱商事(株) ¥22,400,000 1999
三菱商事(株) ¥18,700,000 2000
三菱商事(株) ¥15,000,000 2001
三菱商事(株) ¥12,000,000 2002
三菱商事(株) ¥17,000,000 2003
三菱商事(株) ¥20,000,000 2004
三菱商事(株) ¥23,000,000 2005
三菱商事(株) ¥23,000,000 2006
三菱商事(株) ¥33,000,000 2007
三菱商事(株) ¥33,000,000 2008
三菱商事(株) ¥12,000,000 2009
三菱商事(株) ¥6,000,000 2010
三菱商事(株) ¥6,000,000 2011
三菱商事(株) ¥6,000,000 2012
三菱商事(株) ¥23,000,000 2013
三菱商事(株) ¥26,000,000 2014

合計 ¥1,440,710,000

 14億4071万円にのぼる。合法的な賄賂といってよい。

 三菱商事とすれば和田氏を当選させて、会社の利益につながる政策を求めたいところだろう。原発輸出に武器輸出。法人税減税と労働者切り捨て促進法制。これはすなわち、圧倒的多数の国民の不幸を意味する。それがなお、三菱商事には安倍晋三首相の兄である寛信氏がいる。
 

独立と民主政治の破壊たくらむ「名ばかり総理大臣」を追放せよ

「消費税増税延期」のキャンペーンがなされたことなどから、安倍政権が衆参同日選挙を行う可能性が高いと小沢一郎・生活の党共同代表は述べた。振り返れば、2007年当時の防衛庁から防衛省への格上げ、1等陸佐の佐藤正久氏が自衛隊と偕行社など旧軍組織と連携した違法性のきわめて濃厚な官製選挙で自民党参議院議員になったころから、意図的な憲法破壊――クーデタと言ってもよい工作がなされてきたように思う。

(注)拙著『自衛隊という密室』(高文研)参照

 きたる国政選挙で自公政権が多数議席を維持すれば、それはすなわち憲法破壊クーデタ工作が一歩完成に近づいたことを意味するのだろう。

 民主主義破壊工作の背景には、本当の意味での日本の民主化、独立をのぞまない米国政府や多国籍企業・資本の意図があるのではないか。アメリカが過去に行ってきた数々の蛮行をみたとき、筆者はそう思う。

 大資本の利益のため日本の富をとことん吸い上げ、北朝鮮そして中国も商売のネタにすべく体制転覆を狙って軍事的な圧力をかける。戦争に発展することも想定している。日本の自衛隊はこのアメリカの侵略戦争のための鉄砲玉にされようとしている。ヘイトスピーチや尖閣問題を契機とする対中国感情の悪化は、アメリカがもくろむ日本の対中国、対朝鮮半島の戦争を実行するために、あえて作り出されたのだと筆者は考えている。

 逆にみれば、安倍政権に対する批判の声の高まりは、この国で真の独立運動、民主化運動がはじまったということなのかもしれない。安倍政権が米国の傀儡政権であることは日に日に明白になってきた。宗主国の操り人形でしかない「名ばかり総理大臣」がいくら愛国を説いたところでむなしいばかりだ。

 主権者として、独立国としての真の誇りは、日本と日本人を売ることにしか関心のない安倍政権を否定し、権力の座から追い払う作業を通じてこそ手に入るのだと思う。 

 追記:自民党本部の政治資金に疑問があるとのうわさを耳にした。追って分析したい。

■自民党本部2012年分政治資金収支報告書
https://www.dropbox.com/s/5cuqkgsbkodcqvy/jiminhonbu%202014%20seijisikin.pdf?dl=0 (38メガバイト)

 

「世界戦争ははじまっているーー沈黙を破れ」2

 カウンターパンチに掲載された「世界戦争ははじまっている」(ジョン=ピラー氏)という記事のつづきを紹介する。つたない翻訳であるがご了承いただきたい。誤り等ご指摘いただければ幸いである。

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http://www.counterpunch.org/2016/03/23/a-world-war-has-begun-break-the-silence/
March 23, 2016
A World War has Begun: Break the Silence

by John Pilger

世界戦争ははじまっているーー沈黙を破れ(2)

ジョン=ピラー(オーストラリア人ジャーナリスト)www.johnpilger.com

(1)につづく

 アメリカ大統領選挙というサーカスのなかで、ドナルド=トランプは狂ったファシストとして登場した。彼は本当に忌まわしい。しかし彼もまたメディアの悪者なのだ。移民に関するトランプの考えはグロテスクだ。しかしキャメロン英首相の考えほどではない。アメリカで移民の大追放を行ったのはノーベル平和賞受賞者のオバマ大統領であってトランプではない。

 ある著名なリベラル評論家によれば、トランプはアメリカの「暗い暴力性を解き放った」という。暴力性を解き放った?

 アメリカというのは、幼児が母親を撃ち、警察が黒人に対して殺人戦争をしかける国である。また50以上の政府を攻撃し、転覆させた。このうちの多くは民主的な国だった。そしてアジアや中東を爆撃し、何百万人もの死者と財産を失わせた国だ。

 これほどの暴力を行った国はほかにない。アメリカがやったほとんどの戦争(大半は抵抗する力がなかった)は、共和党ではなく、民主党の大統領ーートルーマン、ケネディ、ジョンソン、カーター、クリントン、オバマーーのもとでなされた。

 1947年、アメリカ国家安全保障会議は、アメリカ外交の崇高な目的について「世界を実質的にアメリカのイメージにする」と述べた。メシア的なアメリカのイデオロギーだ。われわれは皆アメリカ人かそれ以外である。異端は改宗され、迫害され、手なづけられ、傷つけられ、つぶされる。

 ドナルド=トランプはこの兆候だが、彼もまた一匹狼だ。彼はイラク侵略は犯罪だといい、ロシアや中国との戦争はやりたくないと言っている。わたしたちにとって危険なのはトランプではなくヒラリー=クリントンのほうだ。彼女は一匹狼ではない。彼女は暴力のシステムに支えられている。彼女が「例外主義」を誇張するのは、リベラルの顔をした全体主義者ゆえだ。

 大統領選が近くなり、クリントンは、そのウソと犯罪にかかわらず最初の女性大統領として歓迎されるだろう。ちょうどバラク=オバマが最初の黒人大統領として賞賛され、リベラルたちが彼の「望み」の矛盾を飲み込んだように。芝居は続く。

ガーデアンのコラムニスト・オーウェン=ジョーンズが「滑稽で、魅力的で、ほかの大統領になかった冷徹さを備えた」と書いたように、オバマはある日、ソマリアに無人機を送り、150人を殺害した。ニューヨークタイムスによれば、火曜になるとたいてい、無人機による殺害候補をわたされ、殺しを行っているという。とても冷酷だ。

2008年の大統領選で、ヒラリー=クリントンはイランに対し、核兵器で「完全に消滅させる」と脅した。オバマ政権の国務長官のときは、ホンジュラスの民主的な政権を転覆させる工作にかかわった。2011年のリビア破壊に貢献したときはほとんどおお喜びだった。リビアの指導者ガダフィ大佐が大衆によって殺害ーーアメリカの計画と準備によって可能だった殺人だがーーされたとき、クリントンは「われわれはきた、われわれは見た、彼は死んだ」と述べ、満悦だった。

 クリントンの仲間の一人にマデレーン=オルブライト元国務長官がいる。ヒラリーを応援しなかったことで若い女性を攻撃した人物である。また、イラクの子どもが50万人死ぬとしても「それだけの代償を払う価値がある」とテレビで語った人物である。

 クリントンの最大の支援組織は、中東の暴力に燃料を注入しているイスラエルロビーと武器産業である。彼女と彼女の夫はウォールストリートから富を得ている。しかし、それでも彼女は、公的な悪たる邪悪なトランプを追い払うという既定路線にのった女性候補なのだ。彼女の支援者には有名なフェミニストがついている。アメリカのグロリア=ステイネム、オーストラリアのアン=サマー。

 一世代前、「アイデンティティ政治」として現在知られる後近代のカルトにより、多くの知的でリベラルな思想を持つ人たちは、自分が支持してきたできごとや人たちを検証するのををやめた。オバマやクリントンの欺瞞しかり、ギリシャのシリザによるニセものの急進運動しかり。かれらは人々を裏切り、彼らの敵とむすんだ。
 
「自分主義」の類にみられる自己陶酔が特権的な西側社会のあらたな時代精神となり、集団による大規模な戦争衝動や、社会の不正義、不平等、人種偏見、性差別をやめる合図を送った。

こんにち、長い眠りは終わったようだ。わかものは再びさわぎだした。ゆっくりと。覚醒の一現象として。イギリスでは何千人もが労働党党首にジェレミー=コービンを押した。バーニー=サンダース上院議員の選挙選もそうである。

イギリスでは先週、コービンの側近で影の財務大臣・ジョン=マクドネルが、海賊のような銀行の債務を帳消しにするよう労働党政府に働きけかけた。要するに緊縮財政を続けるためである。

アメリカのバーニー=サンダースは、もしクリントンが指名されれば彼女を支持すると約束した。彼もまた、「正しい」と考えれば他国に対して暴力を使うことに賛成してきたのだ。オバマ大統領について、「大変よい仕事をした」と述べている。

オーストラリアでは、ある意味死の政治が行われている。難民や先住民たちが訴追され、不平等が拡大するなか、退屈な議会のゲームがメディアを通じてなされ、戦争の危険が迫っている。マルコム=ターンブル政府は、戦争遂行のために1950億ドルの「防衛」予算を宣言した。議論はない。沈黙だ。

政党の縛りから解放された民衆の直接行動という偉大な伝統はどうなったのか。公正で平和な世界をめざす長い旅の末に得た勇気や想像力、行動はいったいどこにいったのか。芸術や映画、劇場、文学による異議申し立てはどこなのか。

沈黙をやぶる人たちはどこにいるのか。あるいは最初の核ミサイルが発射されるまで待てとでもいうのだろうか。

(おわり)

「世界戦争ははじまっているーー沈黙を破れ」1

 カウンターパンチに掲載された「世界戦争ははじまっている」(ジョン=ピラー氏)という記事を紹介する。つたない翻訳であるがご了承いただきたい。誤り等ご指摘いただければ幸いである。

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http://www.counterpunch.org/2016/03/23/a-world-war-has-begun-break-the-silence/
March 23, 2016
A World War has Begun: Break the Silence

by John Pilger

世界戦争ははじまっているーー沈黙を破れ(1)

ジョン=ピラー(オーストラリア人ジャーナリスト)www.johnpilger.com

 わたしはかつてオーストラリア北部、太平洋のまんなかにあるマーシャル諸島で撮影を行った。わたしが赴いたこの場所のことを話すたびに、「どこにあるの」と尋ねられる。「ビキニ」というヒントを出すと「水着のことか」と言われる。

 水着のビキニが、ビキニ諸島を破壊した核爆発を祝ってつけられた名前であることを知る人はわずかである。1946年から58年にかけて、アメリカは66発の核爆弾をマーシャル諸島で爆発させた。その破壊力は、広島に落とされた核爆弾の1・6倍の威力のものを毎日12年間爆発させたのと同等である。

 ビキニはいま静かである。破壊され、汚染されたまま。椰子の木は異常な生育をし、何も動くものはない。鳥もいない。古い墓の頭石は放射線を帯びて生きている。わたしの靴はガイガーカウンターにより「安全ではない」と判定された。 

 浜に立ち、わたしはエメラルドグリーン色をした太平洋の陥没が黒く落ち込んでいるのをみる。「ブラボー」と呼ばれた水素爆弾がつくったクレーターである。爆発は、人々と環境を、おそらくは永遠にわたって汚染した。

 諸島からの帰途、わたしはホノルル空港に立ち寄り、「女性の健康」と題するアメリカの雑誌に目をとめた。表紙にはビキニ水着を着た笑顔の女性が写っていて、こう見出しがついていた。

「あなたもビキニ体型になれる」

 この数日前、マーシャル諸島でわたしはまったく異なった「ビキニ体型」の女性たちのインタビューを行った。みな甲状腺ガンや致命的なガンを患っていた。

 雑誌にあった笑顔の女性とはちがい、彼女らはみな貧しかった。こんにちもっとも危険で貪欲な超大国がモルモットにした犠牲者たちだった。

 この経験をわたしが語るのは、ごまかされている状況から目をさませと警告するためである。現代のブロパガンダの発見者であるエドワード=バーネイ氏は、民主主義社会におけるこの現象を、「習慣と意見を、相手にそれと知られずに知的にコントロールすること」であり、「見えない統治機構」だと述べている(『プロパガンダ』)

 すでに世界戦争がはじまっているとどれだけの人が気がついているだろう? いまはウソとごまかしのプロパガンダの戦争である。これはただちに、最初の誤った命令、最初のミサイルに変わりえる。

 2009年。オバマ大統領は、欧州の心臓であるプラハ市内で群衆を前に立った。そして「世界から核兵器をなくす」と自分に誓った。人々はよろこび叫んだ。賞賛がメディアにあふれた。つづいてオバマはノーベル平和賞を受賞した。

 これはすべてまやかしだった。彼はウソをついている。

 オバマ政権はよりおおくの核兵器をつくり、核弾頭をつくり、核輸送機構と核施設をつくった。どのアメリカ大統領よりも核弾頭にカネをつかった。アメリカが核につかったカネは30余年で1兆ドルを超す。

 小型核爆弾も計画されている。B61ー12である。このようなものはかつてなかった。統合参謀本部副議長のジェームス=カートライト将軍は「(核兵器が)小さくなれば、より使用が可能になる」と言った。

 第二次世界大戦以降つくりあげられたアメリカ主導の巨大な軍事力は、過去18ヶ月間にわたってロシア西部の辺境沿いに展開している。ヒトラーのソ連侵略以来、ロシアに対して外国軍がこれほどのあからさまな脅威をみせたことはない。

 ウクライナーー一時はソ連邦だったーーはCIAのテーマパークと化した。キエフのクーデタと協調し、ワシントンは効果的に、ロシアに敵対的な傀儡政権を支配した。文学的にいえば「ナチスの腐敗政権」である。ウクライナ議会の乱暴な姿はOUN(ウクライナ民族主義者組織)やUPA(ウクライナ蜂起軍)の悪党ファシストの流れにある。ヒトラーを公然と賞賛し、ロシア語を話す少数者の迫害と追放を叫んでいる。

 こうした出来事は西側ではほとんどニュースになっていない。あるいは真相が隠されている。

 ラトビア、リトアニア、エストニア。ロシアの隣にある国だが、そこに米軍が戦車や銃火器とともに戦闘部隊を展開している。この世界2位の核保有国で起きた大事件が西側では沈黙なのだ。

核戦争が起きる危険をより現実的にしているのは中国に対する宣伝である。 

 中国の「脅威」が高まっているという話が出ない日はない。米太平洋軍司令官のハリス大将によれば、中国は「南シナ海に万里の長城を作っている」という。 

 彼が言いたいのは、中国が南沙諸島につくっている滑走路のことである。南沙諸島はフィリピンとの紛争地である。ワシントンがマニラ政府に圧力と賄賂工作をするまでは優先順位の低かった地域であるが、ペンタゴンは「航行の自由」という宣伝を開始した。

 これがじつは何を意味するのか。要するに中国沿岸海域を米軍艦船が自由にパトロールし、支配するという意味である。想像してみてほしい。もし中国戦艦がカリフォルニアの沿岸でおなじことをすればアメリカはどう反応するだろうか。

 わたしは「見えない戦争」(The War You Don’t See)https://www.youtube.com/watch?v=ykEHuUTYqsoいう映像作品をつくった。そのなかでアメリカとイギリスの卓越したジャーナリストにインタビューした。CBSのダン=ラサー、BBCのラゲー=オマール、オブザーバーのデビッド=ローズ。

 彼らはみなこういった。もし自分たちがジャーナリストとしての仕事を行っていれば、サダムフセインが大量破壊兵器を持っているという宣伝に疑問をもち、ブッシュやブレアのウソがジャーナリストによって拡声・拡散されていなければ、2003年のイラク侵略はなく、何十万人もの男女や子どもたちはいまも生きているだろうと。

ロシアや中国に対する戦争プロパガンダも原理は同じだ。わたしが知るかぎり、西側の「主流」メディアのジャーナリストは誰ひとりとして「なぜ中国が南シナ海に飛行場をつくるのかを問おうとしない。

 答えは明らかだ。アメリカは中国を、軍事基地の網や大陸弾道ミサイル、戦闘部隊、核武装した爆撃機で取り囲もうとしている。

 この殺人的な弧は、オーストラリアから太平洋諸島、マリアナ、マーシャル、グアム、フィリピン、タイ、沖縄、韓国、ユーラシア、アフガニスタン、インドにいたって広がっている。これはニュースではない。メディアは沈黙している。メディアの戦争だ。

 2015年、高い秘密のなかで、合州国とオーストラリアが近年にないおおきな規模で空と海の軍事演習「タリスマンの矛」を行った。これはマラッカ海峡、ロンボク海峡などの海路を封鎖し、中国が中東・アフリカから石油やガス、その他天然資源を調達できないようにすることを狙った、空と海の戦闘訓練である。

 つづく

西側諸国の侵略と蛮行がもたらしたブリュッセルのテロ

 ベルギー・ブリュッセルの爆弾テロに関連して、カウンターパンチに興味ぶかい記事が掲載されている。抄訳を紹介したい。

===

ブリュッセルの「ゼロサム」/テロに苦しむ世界を操る野蛮な思考

March 22, 2016
Zero-Sum in Brussels: the Savage Vision Driving a Terror-Ridden World

by Chris Floyd
http://www.counterpunch.org/2016/03/22/zero-sum-in-brussels-the-savage-vision-driving-a-terror-ridden-world/
 ベルギー・ブリュッセルの虐殺事件ーー恐ろしく犯罪的な虐殺は真空のなかで起きたのではない。理解不能・動機不明の悪意から生まれたわけではない。西側諸国が世界の多くの国で日常的に行っている残虐な暴力への反応としてこの事件は起きたのである。地球上でもっとも力があり繁栄した国々によるはるかに大規模で殺戮的な残虐行為が毎日のようになされている。この現実が正当化されてはならない。

 少数ムスリムによる暴力が「過激化」する主たる原因が自分たちの介入にある。このことを西側諸国は知っている。介入の目的は、豊かなエネルギー資源を経済的、政治的に支配し、また戦略的な拠点を得るためである。その国の人たちを宗教的迫害から「解放」するとか、世界を「より安全」にするとかいったこととは関係ない。支配、ただそれだけだ。

 何十年にもわたり、アメリカの例外主義者による「われわれが世界を軍事的・経済的に支配しなければ、だれかほかの者がやる」という議論がなされてきた。「ほかの者」とは、良心をもち神に祝福された自分たちよりもはるかに悪者という意味である。
 
 猛烈に原始的な世界観だが、アメリカ全土や同国の属国に一般的な政治風土である。人間社会に暴力的な支配は欠かせないという考え。支配するか、支配されるか。食べるか食べられるか。殺すか殺されるか。もし「我々」があらゆる手をつかって支配しなかったらほかのものが支配する。問題は誰が支配権をにぎるか。支配権を手にす入れ、維持するためならどんなに高くついてもかまわない。

 この考えが西側諸国の内政にどんな影響を与えているか。民主主義政治のなかで、自らの支配が脅かされていると感じている者があらわれ、ナショナリズムの広がりをもたらしている。アメリカでは、自分たちの「自然な」支配が失われたと感じて困惑する白人(特に男性)が増えている。かれらは自分たちの国を取り返したいと考えている。そうしないと、アフリカ系、メキシコ系、ムスリム、同性愛者、女性など「支配されてきた」「無価値な」他人の大量流入によって打ちのめされてしまうのである。この「自己憐憫」の恐怖が右傾化をはびこらせ、いまドナルト=トランプの大統領指名候補という形で表舞台に現れた。

 ある集団は別の集団を支配しなければならない。市民が対等に働き、暮らし、互いにわかち合うという考えは、この世界観の前には幻想だ。黒人や移民、女性、ゲイが国家のなかで小さな分け前を得ようとすれば、それらの分け前は支配している集団から「取る」しかない。

 この考えに立てば、支配はあらゆる集団にとっての最終目標となる。集団の目標は、寛容な社会での正当な分配や自由や機会均等をめざすのではない。もっとも支配的な集団を征服することが目標となる。人間生活は常にゼロサムゲーム(たすとゼロになる)となる。だれかにより多くの機会を与えれば別の者の機会は減る。誰かがより自由になれば、別のものがり不自由になる。あなたは教育を受けてより洗練され感動的な生き方ができるかもしれないが、一方で無為にすごす者達の群れにいるかもしれない。

 西側諸国の外交は、例外なく、自身の権力構造にとって利益をもたらすよう経済的戦略的な資源の支配を目標にしている。世界をよくしようとか、市民が平和に暮らすために国を安全にしようとかといった話は論外だ。市民の安全は西側諸国の外交政策のテーマではない。
 
 このような外交政策の結果、世界が不安定になり、過激な行動を産み、それに傷つく人が発生し、国が危険になり、公共財産が流出し、腐ったインフラと債務の山、チャンスのない、殺伐とした壊れたコミュティーのなかで、市民が絶望に沈んでいくのだが、そのことを彼らは知っている。

 知っていながら支配の代償として受け入れているのである。イラクに対する米・英の経済制裁に際して「すくなくとも50万人の子どもが死亡する」という指摘にたいし、オルブライト国務長官は「それだけの代償を払う価値がある」と述べた。

 彼らはいう。これは自分たちの良い「特別な」国による支配なのだと。あるいは「西洋文明」の豊かな価値を守るためなのだと。しかし実際は、利益を得ているのは国家体制の一部、支配階級のみである。この傾向は近年より顕著だ。中流階級の悪化は明らかである。軍事力を持った高度資本主義という大波を前にして、救命ボートがすべて引き上げられ、かつて利益に預かった者までもが溺れていくようなものである。貧困者は見えてさえいない。

 ブリュッセルの被害者は、パリやイラク、シリア、イエメン、スーダン、ソマリア・・などはるかに大規模な被害者と同様に、西側諸国の外交政策によってもたらされた。罪のない人を殺すことは目的遂行のために必要なコストなのだと日々世界に教えこんでいる西側外交の思考を、今回の攻撃を行った犯人はとりいれたのである。50万人の子どもが死のうとも、100万人の罪なき人が死ぬ侵略戦争であろうと、結婚式を無人機で爆撃しようとも、病院にミサイルを撃ちこもうとも、ノーベル賞の記念品が光る大統領執務室で毎週の「殺人リスト」の名前を口述していようとも、手段を選ばずやらねばならないという考えである。

 このテロリストたちがどうやってかくも残酷な虐殺行為をブリュッセルでやったか。わたしたちはとまどっている。しかし一方で、わたしたちの大半は、楽しそうに、ときに祝いながら、さらに広範囲で連続的な虐殺が、われわれの指導者によって、支配を実行する目的でなされているのをながめている。前者と後者は関係ないのだと思いたがっている。

 しかし、この外交政策の目標、つまり支配は、100のブリュッセル攻撃をうけてもつづくだろう。毎年12件の911がおきてもつづくだろう。
 
 われわれは世界に暴力を教えた。野蛮な形で個人の命や社会、共同体、国を破壊することを教えた。それに対して世界が反応したことにショックを受けている。

 ブリュッセルで今日見ている罪なき人の殺戮が正当化されることは絶対にない。しかし同じおぞましい犯罪、罪なき人を殺し、何百万人という人の暮らしを破壊し、恐怖で満たす行為が、わたしたち西側諸国や同盟国のリーダーたちによって日常的かつさらにおおきな規模でなされている。これもまた不正義であり、ブリュッセルの事件と同じように否定と抗議がなされて当然ではないか。