疑問だらけのまま「あんさんぶる荻窪⇔スギナミ税務署」交換議案が委員会通過/自公民熱烈応援のなか

 築わずか10年あまりの区営施設「あんさんぶる荻窪」(建築費約30億円)と、老朽化に伴う現地建替えを予定していた財務省所有の杉並税務署および隣接する官舎用地を「財産交換」する議案が、24日、総務財政委員会で審議され、住民や議員らの強い反対を押し切る形で採決され、自民・公明・未来・平和の賛成、共産の反対により可決した。自無、美杉は退席。午後8時すぎまで長引いた審議では数々の矛盾が露呈した。こんごも紛糾と混乱がつづくことは必至だ。

 審議で焦点となった問題のひとつは、2010年に田中区長名で財務省理財局長宛にだした要望書問題だ。財務省が概算要求にあげていた荻窪税務署の建替え工事に対し、同年12月3日付で田中区長から財務省理財局長にあてて工事を待ってほしいと要望した文書である。荻窪駅周辺の再開発を考えており、区税・都税・国税の行政施設をつくって「賃料負担の発生しない方法」で入居できるようにしたいので建替えを待ってほしいーーという内容がかかれていた。

 財産交換の端緒になる重要文書だが、区はすでに廃棄し、その存在についてもだんまりをつづけてきた。

 2014年2月に奥山妙子議員(現在は前議員)が、「財産交換」に関する文書を明らかにせよといった趣旨で情報公開請求したところ、不存在と回答。同年3月7日の予算委員会でも財務省との交渉経過がわかるものがないのはおかしいではないかと奥山議員がただしたのに対して、文書は存在しないと答弁。「要望書」の存在についてはいっさい触れなかった。

 こうした経緯をみれば、失政を隠すために要望書も隠蔽したのではないかとの見方は当然だろう。荻窪駅前開発を前提にして税務署の建替え中止を要求したものの、結局再開発に失敗した。その取り繕いとしてあんさんぶる荻窪を差し出すという話をつくった。表向きは「特養」なので、要望書は都合が悪いので隠したという見方だ。

 この点について、24日の委員会では厳しい追及がなされた。隠蔽したのではないかという質問に対し、企画課長は「隠蔽ではない。(荻窪税務署周辺の土地を入手するという)当初の目的を達したので廃棄した」などとあくまで「隠蔽」を否定した。

 その一方で数十億円の財産の交換に関連する重要文書であるにもかかわらず、3年という短い保管期限しか設定せず、しかも奥山議員の質問時には存在にきづいていながら開示せず、その後廃棄するという、常識ではあり得ない取り扱いについては、文書管理のあり方に問題があった、見直すべきだという答弁がなされた。しかし、それに関して「では責任をどう取るのか」と追及がなされると、宇賀神副区長は「責任はない。当時は当時の規定でやっていた」と企画課長や同課職員を擁護した。

 要望書廃棄を副区長も知っていたのではないか、と疑いたくなる。

 なお、この日の区の説明によって、

①要望書は区長決済でつくったもので会議などで決定したわけではない。
②再開発計画は実態がなかった
③区が整備した施設に賃料ゼロで荻窪税務署に入ってもらうという要望内容についても具体的な根拠はなかった。

ーーといったことがあきらかにされた。

 一方、堀部やすし議員が委員外委員として質問をし、財産価格評価をめぐる疑問を指摘した。あんさんぶる荻窪と荻窪税務署周辺跡地の評価を、杉並区は過去2度にわたって発注している。問題は、2度目となる財産評価で、57%、80%といった係数の算出根拠や算出式が鑑定書にかかれていない不自然さをつき、「仕様書どおりになっていないではないか」と厳しくただした。経理課長からは、鑑定書のかきかたはいろいろある、口頭で説明を受けたなどと答弁があったが、57%、80%が、具体的にどう計算した結果なのかについては、合理的な説明はなかった。
 
 なお、田中良区長は一度も答弁にたつことはなく、自席でときおり委員に向かって「何がいいたいんだ」などと不規則発言を行うなど、安倍首相に似た独裁者然とした風格をただよわせていた。

 総務財政委員会の議事内容については、追って詳しく分析、報告したい。