田中良杉並区長の政治資金に関する質問に杉並区総務課長が代弁する公私混同ぶり


 杉並区長田中良氏の資金管理団体が主催する政治資金パーティの発起人を特別職報酬審議会の委員に任命し、さらにこの人物が経営する会社に対して区から年間2800万円の不動産賃料が払われている問題で、さる1月13日付で田中区長にあてて出していた質問状の回答が2月12日付でようやく郵便にて届いた。質問から回答までじつに1ヶ月を要した。

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 その内容だが、まず奇妙なのは、回答者が「杉並区長田中良」ではなく「総務課長都筑公嗣」となっている点だ。政治資金パーティや政治的支援者とのかかわりを尋ねているのだから杉並区の部下が答えるというのはどうみてもおかしい。そしてつづく回答をみると、ほとんど質問とかみあっていない。

 質問①の「武蔵商事株式会社、または同社代表取締役・宇多田川紀通氏、またはその親族に、田中区長を政治的に支援することを目的とした政治団体が主催する政治資金パーティのパーティ券を購入してもらったことはありますか」に対してはこう回答している。

「政治資金パーティーにつきましては、政治資金規正法に基づき適切に開催し、東京都選挙管理委員会へ収支報告書を提出しており、東京都選挙管理委員会のホームページでも公表されておりますので、個別ケースについてのご質問には回答致しかねます」

 報酬審会長あるいは彼が経営する会社からパーティ券を買ってもらったかどうかについて、要は回答できないと言っている。

 ②の質問はこうだ。

「武蔵商事株式会社社長・宇田川氏は、田中区長を政治的に支援することを目的とした政治団体が主催する政治資金パーティの発起人になったことがあります。また、武蔵商事と杉並区の間には、保育室用の不動産物件や駐輪場の賃貸借契約が交わされており、年間約2800万円の支払いがされている事実が確認されています。
 こういう区と利害関係をもち、かつ政治的に区長と密接な関係のある企業経営者が、区報酬等審議会の会長になり、昨年11月に、特別職職員や議員の報酬・給料・期末手当の引き上げを答申したことについて、宇田川氏を報酬審の委員に任命することは区政と一部業者との癒着であり、不適切ではないかとの批判が多数の区民によってなされています。
 つきましては、宇田川氏を報酬審委員に任命し、会長となった経緯、およびこの人選を不適切だとの批判にたいしてどうお考えになるのか、ご意見を聞かせてください」

 これに対してはつぎのように「答え」ている。

「杉並区報酬審議会は、区議会議員の報酬及び政務活動費の額並びに区長・副区長の給料の額を変更の(ママ)条例を提出するときに区長の諮問に応じ審議するため設置された附属機で、杉並区特別職報酬等審議会条例により区の区域内の公共的団体等の代表者、その他区民のうちから区長が委嘱する10人以内をもって組織するとしております。…」

 報酬審の役割や委員の委嘱の仕組みをだらだらと説明している。そんなことはいわれなくてもわかっていることだ。自分を政治的に応援している人物を区長が委嘱=任命していることをどう考えるのかというのが質問の趣旨なのだが、どこまで読んでも答えらしい部分はみつからない。

「…宇田川氏につきましては、一私企業の代表としてではなく、区内の産業団体である東京商工会議所杉並支部から推薦をいただき、委員を委嘱しております。宇田川氏は、会長として常に公平公正な議事運営に努められており、人選につきましては何ら問題ないものと考えております」

 一私企業の代表で区や区長と金銭を通して密接な関係があったとしても、あくまで「一私企業の代表として」委嘱したのだから問題ないということらしい。そして、その一私企業の代表であって田中氏の政治資金パーティの発起人をしながらもあくまで「一私企業の代表としてではなく」報酬審の委員になった人物=宇田川紀通氏が会長をする報酬審で、区長の報酬を引き上げるべきだとの答申が出され、おそらくは田中氏を喜ばせたことについてすら、これは「公平公正な議事運営」のあらわれだといいたいのだろう。

 言っていることに論理的な整合性がなく、「癒着ではないのか。どう思うのか」という質問に対する答えにもなっていない。単に字数を埋めただけである。

 政治家は自分の言動について説明できなければ信用を失う。自治体の首長も、質問に対して説明するのが仕事のようなものだ。区民がおとなしいのをいいことに適当にごまかしていればいいと考えたのかもしれない。

 アメリカの大統領選挙であれば、田中氏のような稚拙な説明しかできない候補者はまちがいなく相手候補に論破されて聴衆に見放されるだろう。

 回答の方法も内容も、どちらも公私の区別がついていない田中区長の対応は、首長として、あるいは政治家としての「品性と知性の劣化」を強く感じさせる。