杉並第一小学校の耐震性に問題なし 「解体―複合ビル化」の理由に疑問

 杉並第一小学校(東京都杉並区阿佐ヶ谷北)を取り壊し、地域区民センターなど他施設との複合施設としてビル化する計画をめぐり、区が計画の理由として説明している「老朽化」に疑問があることがわかった。

 筆者の取材に対し、区が1月8日で回答してきた内容によれば、現在の杉一小学校施設は、2010、11年度の2年間をかけて耐震補強工事を実施しており、その結果、耐震性には問題がないとの診断がなされている。

 工事は9660万円をかけて実施、耐震ブレース設置、柱補強、鉄筋コンクリート耐力壁設置、既存鉄筋コンクリート耐力壁増し打ち、といった措置を行い、耐震性能を確保(IS値=0・7)したという。

 耐震上問題がなく、約1億円もかけて補修したばかりの施設をなぜ取り壊し、建設期間が3年という長い時間をかけて、ビル型の複合施設にしなければならないのか。区は、杉一小学校が昭和30-40年代につくられ、50年をすぎていることから、コンクリートの耐用年数を考えて築65年までに建て替えるべきだと判断したという。

 しかしそうだとしてもなお疑問は残る。単に建て替えるだけなら工費も安く、工期も短くてすむだろうが、区の計画する複合施設とは、①地上4階で運動場を屋上に設置、②地上7階で運動場を地面に確保――といういずれの案にしても大きな建物である。教育環境が大きく変わるうえ、工期が3年もかかる。

 なぜ複合なのかという質問については、学校整備課は「コストが安くなる」などと口頭で回答した。では、いったい複合施設の建設費をどのくらいとみているのかと尋ねたところ、「設計してみないとわからない」というのだ。

 基本のアイデアがわからないのに設計を発注できるはずがない。建設コストなど最初から考慮しておらず、ただ大きなハコモノをつくることを当初から考え、拙速に計画がつくられた可能性は否定できない。

 あるいは、地域区民センターの敷地(東京電力から月額512万円で借用)や産業商工会館(耐震性に問題があり、取り壊す予定)の区有地をつかって、なんらかの”ビジネス”をたくらんでいることも考えられる。

 いずれにしても、田中良区長による区民おきざりの強引な区政運営は、とても「5つ星の役所」の名にふさわしいとは思えない。区議会も体制翼賛的になっており、首長の独走に対して十分な監視機能を果たしていないようだ。

 なお、杉一小「複合施設」問題をめぐっては、以下の日程で区による説明会が予定されている。

 1/23(土)15時30分~ 杉一小保護者説明会 杉一小体育館
 1/27(水)19時00分~ 杉一小改築・複合化説明会(主に地域住民、施設利用者対象) 杉一小体育館