「甘利辞任の後任大臣候補に石原伸晃氏」で思い出した自民党杉並区議の「税金でパーティ券」


 収賄の疑いが濃厚にただよう甘利明経済再生担当大臣が大臣の職を辞めることを発表した。大臣の地位にいながら「説明」するだけではすまないほど事態が深刻であることを物語っている。かりに刑事責任を問われるような話であれば議員辞職は当然だろう。

 報道によれば、甘利氏の経済再生担当大臣辞任にともなう後任大臣候補には、東京8区の石原伸晃自民党衆議院議員の名があがっているという。
 
 石原氏の名をみて、2009年夏以来、杉並区議会議長から答えをもらっていない問題があることを思い出した。当時、区議の政務調査費(現政務活動費)について調査していた本誌記者は、自民党議員が大量の政治資金パーティ券を政調費から支出していることを発見した。その多くは、石原伸晃氏の資金管理団体「石原伸晃の会」や石原氏が代表をする政党支部「自民党東京支部連合会」が主催する政治資金パーティや催しのものだった。

 杉並区の税金から払われた石原氏のパーティ券は、2003年から2006年にかけて延べ24件、計34万4000円にのぼる。

 これを問題にしたのは2009年夏。おりしも衆議院選挙の直前だった。『週刊金曜日』や『フライデー』『マイニュースジャパン』で報じた。記者はまた、これらのパーティ券代は違法な支出だとして返還を求める住民監査請求も申し立てた。

 投票まで数日にせまったある日、記者は区議会議長の富本卓氏を同氏の事務所前で取材した。政務調査費に関する調査権限を託されているという責任ある立場にあったからだ。富本氏は石原伸晃氏の公設秘書を務めた経験がある。

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 – 政務調査費でパーティ券を購入することには問題ないという認識ですか。

 記者の質問に富本氏は次のように答えた。

「なかなか政務調査費は難しい問題がある。いろいろ監査の結果をみながら、皆様のご指摘も参考にしながらね、議会としても考えていきたい。結果をみないとわれわれも判断できない。これから選挙が落ち着いたら回答します」

 結局、監査結果がでるまでもなく富本氏ら自民党の議員は、問題が指摘されていた支出をすべて取り消した。選挙は石原氏が僅差で対抗馬の保坂展人候補をやぶって当選した。そしてそれきり、富本氏から「政務調査費でパー券」について説明がなされることはなかった。

 なお、公明党の3議員だけは、山田宏区長(当時)のパーティ券を政務調査費で支出しながら、住民監査請求中も返還しなかった。おどろいたことに監査はこの支出を妥当と判断。さらには東京地裁での住民訴訟でも「問題なし」との判決がでた。これは監査も判決もまちがっているというほかない。

 さすがに区議会もパーティ券の支出はまずいと判断したのか。使途基準で明確に禁止を明文化した。

 ともあれ、議員が政務調査費(活動費)で政治資金パーティ券を購入していたことについてどう考えるのか。当時の富本議長からの説明はいまだないので、この機会にあらためて求めることにしたい。
   
 もっとも、石原氏はTPPに反対の意見をもっていたと聞く。安倍首相の意向に反してTPPを白紙に戻す覚悟があるのかどうか、しばらく観察したい。

「区政報告」に按分は不要ーー「政務活動費で自民党の宣伝ビラ」に対して自民党8議員から回答届く


 

 さる1月8日の本誌記事〈自民党杉並区議会議員が政務活動費で”宣伝ビラ”大量印刷/「杉並区議会自由民主党 私たちは杉並区の専門家です」〉に対してさる19日、自民党杉並区議団のうち関係のある8人から回答があった。

 議員が制作・配布するビラには政務活動費では使えない政治・選挙・政党活動の部分が必ず含まれる。だから按分すべきであり、今回のビラを個別にみたところせいぜい政務活動費は4分の1程度だろうーーという趣旨のことを記事では指摘した。これに対して、自民党区議8人は、「全員が日々誇りを持って活動をしています。あくまで紙面ではその『報告』をさせて頂いているに過ぎない」などとして「按分の必要はないと考えるものです」と回答した。

 政治・選挙・政党活動と政務活動を混同すべきではないという指摘をしたつもりだが、以下の回答をみるかぎりそういう認識はなさそうだ。

 追って質問をあらためておこない、見解をただしたい。

 【自民党杉並区議団のうち8名からの回答】
 

 三宅勝久様に対する回答
 この度、ご指摘を頂いた「2014年度政務活動費」に関する件についてお答え致します。

 平成27年1月に発行致しました会派報告につきましては、内容は全て政務活動に関する記事であり、私どもとしては按分の必要はないと考えるものです。

 貴殿のブログ(杉並ジャーナル)では

1、 面積の約半分が議員らの写真や名前、「自由民主党」の大文字で占められている。名前や写真を広く区民に知らせることが「政務活動」というのは苦しい。

2、自民党議員の実績を自画自賛する内容ばかりで、宣伝色が強い。

と主に2点の指摘をされています。

1について

 表面の「杉並区議会自由民主党」は紙面の構成上、特筆して誇張していると捉えるには至らないと考えます。かつ、貴殿は「自民党の宣伝」と指摘されていますが、これは政党名ではなく会派名です。
 また、裏面において「区政へのご意見・ご要望をお聞かせください」と明記しているからこそ、
その担い手となる私たち会派所属議員の顔写真、連絡先等を分かりやすく掲載することは、より丁寧に区民の皆さんに寄り添っているものであり、指摘のような不自然には決してあたらないものと理解しています。
 更に、平成25年及び同26年の監査結果の中で「区政報告にどのような内容を記載するかは、会派・議員の自律性に委ねられるものであり、写真や区議会報告が中心であっても区政に
関する調査研究との関係が推認できれば、作成枚数、単価等まで明示されていなくても、使途基準細目等に則して処理されていれば妥当なものと判断する」とあります。
 以上の理由から、貴殿の指摘はあたらないものと認識する次第です。

2について

 自画自賛かどうかは、読み手の感性によるものであると考えます。敢えて言うのであれば、
私どもは決して自画自賛をしているわけではなく、地元に密着した区議会議員として、所属会派
全員が日々誇りを持って活動をしています。あくまで紙面ではその「報告」をさせて頂いているに
過ぎないものであります。

 以上、回答させて頂きます。

 平成28年1月19日
小泉、富本、葉梨、大熊、吉田、脇坂、今井、大和田

「桃2小早期建て替え」やらせ要望書に元国会議員関与か


 築わずか10年の杉並区営あんさんぶる荻窪を財務省に譲渡し、それにともなって学童用の施設が不足するという理由で桃井第2小学校まで建て替えるという意味不明の事業をめぐり、地元町内会長7人の連名(のちに2人は取り下げ)による「早期建替え」を求める要望書が区に提出されているが、この要望書の文案を受取人の区自身がつくっていたことが判明、「やらせ」の疑いが濃厚となっている。

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「桃2小学校を建て替えてほしい」――地元町内会の「要望書」は杉並区の“やらせ”だった?

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 このやらせ要望書問題の経緯について区企画課に取材したところ、さらなる疑問が浮上した。「要望書の案は区が作成した」と認めたうえで、そのきっかけについて「荻窪地区町会連合会会長から要望があり、文案をつくった」ことを明らかにした。企画課によれば、本文部分だけでなく、7町内会長の氏名・肩書部分も区が作成したという。

 杉並区に「要望書案」の作成を要請した連合会長は、元民社党衆議院議員の藤原哲太郎氏であることも企画課は明らかにした。藤原氏から区に対して、いつ、どういう内容の「要請」がなされたのか、企画課にただしたが即答できなかった。後日回答するという。

 ともあれ、連合会長ひとりの要請に対して、杉並区は、ほかの町内会長らには無断で7人連名の要望書案をつくった可能性がたかい。区に提出する要望書を区がつくること自体「やらせ」だが、要望する意思が不明確な町内会長の肩書・名前まで、本人や各町会に無断で「要望書案」のなかに杉並区は書きこんでいたのだ。住民の人格や町会の自治を愚弄した行為だというほかない。

 要望書に捺印した7町内会長のう2人は、後にそれぞれの町会にはかって取り下げた。そのひとりは、回覧板のように要望書がまわってきたので軽くかんがえて捺印してしまったと本誌記者に証言した。要望についてまったく知らされていなかった事実を雄弁にものがたる。

 

「阿佐ヶ谷地域区民センター」を杉並区が東電に無償で明け渡す不可解


 杉並第1小学校(阿佐ヶ谷北)を複合施設(地上4階+屋上運動場案と地上8階+地上運動場案)に建て替える計画は、保護者の間からも疑問が噴出している。23日に同校で開催された保護者対象の説明会では、「耐震工事をしたばかりなのになぜ建て替える必要があるのか」「なぜ複合施設なのか」といった疑問が次々にだされた。区側は「老朽化」「補修に費用がかかる。コスト面から判断した」などと説明した。しかし、ぬぐいがたい疑問は残る。

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 老朽化は事実としても、耐震性に問題がないことはすでに明らかになっている。また、コストについては、閉会後、本誌記者が学校整備担当部長をただしたところ、具体的なコスト計算を行っていないと答えた。説明会では、区営阿佐ヶ谷地域区民センター(阿佐ヶ谷南)を現在地(阿佐ヶ谷南)から杉一の複合施設に引っ越しする理由として、東京電力から借りている現在の同地域区民センターを退去する必要がある旨地域課長が説明した。

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 しかし、これも閉会後同課長に質問したところ、同地域区民センターの貸し主である東京電力から退去の要求がだされた事実はないむね明言した。

 地域課長の説明によれば、現在の阿佐ヶ谷地域区民センターは、土地が民間の所有で、建物は東京電力の所有となっている。そして杉並区は東京電力から「建物賃貸借契約」によって建物を賃借しているという関係にある。情報公開請求で確認したところでは、賃料は月額539万9800円。借りている物件をなぜ出て行かねばならないのか。地域課長によれば、「老朽化が進んでいるため東京電力にたいして建て替えてほしいと要望したが断られた。そう聞いている」というのが退去の理由だという。

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 ところが、これが事実とすれば奇妙というほかない。借主である杉並区が大家にあたる東京電力に「建物が古いから新築してくれ」などということ自体、常識ではありえない話だ。耐震に問題があったり不具合があれば東京電力に補修義務がある。もし、東京電力が「建物を明け渡してほしい」といってくれば、当然借主の権利として退去費用を要求できる。そもそも東京電力の土地ではなく、東電も地主から借りているのだから、東電から杉並区に対して出て行ってくれということは、地主が再開発したいなどといった事情がないかぎりあり得ない。

 もっとも月額500万円の賃料がもったいないという判断もありえる。しかし、複合施設にいくらかかるかもわからないといっている。コスト計算も前述したとおりしていない。

 杉並区は大家の東電から「出て行ってほしい」といわれるまで現在の阿佐ヶ谷地域区民センターを使うことができる。わざわざ出ていかねばならない理由はないし、自ら出ていく利点はなにもない。

「老朽化」を口実に退去費用ゼロで賃借物件を出ていき、「あたらしい場所が必要だ」といって何十億円かかるかわからない建物を狭い小学校のなかに建てようとする。不可解というほかない。

 読者からの情報提供をお待ちする。

 

 

「桃2小学校を建て替えてほしい」――地元町内会の「要望書」は杉並区の“やらせ”だった?


 2004年に約30億円をかけて建設したばかりの杉並区営施設「あんさんぶる荻窪」(杉並区荻窪)を財務省に税務署用として譲渡、対価として現在の荻窪税務署の用地を受け取ったうえで、あらたに30億円をかけて複合施設を建設。同時に「あんさんぶる」内にある児童館が使えなくなることの取り繕いとして、区立桃2小学校の校舎を30億円をかけて建て替えて「学童クラブ」をつくる。--いきあたりばったりの税金垂れ流し計画というほかない「財産交換問題」をめぐって周辺住民からは強い反対の声があがっている。23日に開かれた住民集会には100人以上(注・訂正しました)がつめかけ、計画撤回を求める意見があいついだ。

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 「あんさんぶる荻窪」は子どもの教育環境を向上させようという意見を中心に、住民らが長年の議論を経て練り上げた思い入れのある建物だ。それを築10年ほどで税務署に明け渡すことに、子育て中の親をはじめとする周辺住民は強い違和感を感じている。

 なぜ「あんさんぶる」を手放さねばならないのか。杉並区の説明は「特養施設を緊急につくる必要がある」である。しかし、この説明は説得力を失いつつある。「財産交換」計画が公表される3年前の2010年に、じつは財務省にあてて田中区長が「税務署の建て替えを待ってほしい旨要望していた事実が発覚したのだ。

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 この要望文書について本誌記者が区企画課に問い合わせたところ、おどろいたことに「廃棄した」と説明した。さらには「どんな要望だったか内容もわからない」とも説明をした。奇妙というほかない反応で、じつは「特養」は口実にすぎず、都合の悪いことを隠しているのではないかと疑わざるを得なくなった。

 荻窪駅北側に複合ビルを建てて税務署に入居してもらう腹づもりで財務省に対して税務署建替えに待ったをかけたものの、じっさいにやろうとするととん挫した。ひっこみがつかなくなってあんさんぶる荻窪を財務省に提供し、現在の税務署の場所にあんさんぶるを引っ越しさせ、ついでに残りの土地に「特養」を民間でつくらせるという強引な案をひねり出したのではないか。――というのが事情通のもっぱらの見かただ。

 さて、日ましにうさんくささが増す「あんさんぶる」問題だが、あらたに重大な疑問がでてきた。〈桃井第2小学校の早期改築」に関する要望書〉という文書が、荻窪駅周辺7町内会会長の連名によって2014年7月26日付で杉並区に提出されているのだが(のちに一部取り下げ)、町内会関係者によればこの要望書は杉並区が作成し、町内会長を回覧して会長のハンコを集めた代物だったというのだ。
 
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 当時町内会長だった男性は、「文書が回覧されてきたので、校舎があたらしくなるならいいだろうとハンコをついた。区が作った文書だった。よく読むとあんさんぶる荻窪の財産交換(財務省への譲渡)に伴う話だったので、これはいけないと町内会にはかり、要望を撤回した」と話した。

 桃2小学校を建て替えてほしいと地元の要望があるかのように工作をしたとすれば、文字どおり「やらせ」である。「5つ星の区役所」どころではない。うそつきの区役所である。

 追って杉並区の見解を取材し、報告したい。

 不動産業者との「癒着」に関する質問の対応を役所におしつける田中良杉並区長の無責任


 取材として田中良杉並区長に出した質問状が本人の手にわたったかを確認するのに10日もかかった。しかも回答のメドは「わからない」。そんな奇妙な現象がおきている。区民に対する説明責任を果たそうという意識が日々薄くなっていることを象徴する出来事だ。

 さる13日、本誌記者は田中良氏にあてて、不動産会社武蔵商事社長で報酬審議会会長の宇田川紀通氏との「癒着疑惑」について質問状を出した。

「宇田川報酬審会長の不動産会社に杉並区の税金から年間2800万円が支払われていた」

「杉並区長の政治的支援者が7年にわたって報酬審会長に居続ける異常」
 質問の提出先は総務課(都筑公嗣課長)。受け取ったS課員は「区長は忙しいのでわたせるかどうかわからない」などと答えた。「区長にわたったら連絡してほしい」と筆者はS課員に伝え、S課員は了承した。

 ところが総務課から連絡はなかった。やむなく質問から10日がたった22日朝、 記者は総務課に電話をかけ、事情をただした。対応したS課員は「秘書課にわたした」と答えた。「いつ秘書課にわたしたのか」とただすと「それも含めて(質問への答えを)文書で回答する」などと言った。その回答も、いつのことになるのかはわからないという。

 あまりにも対応がふざけていないか、いつ秘書課にわたしたのかくらい答えられるだろう。そう批判したところ、S課員はようやく「14日に秘書課にわたした」と答えた。

 秘書課まで質問状がいったことは確認できた。しかし、さらにそこから先、区長自身の手に届いたかどうかはなおも不明だ。そこで確認するため、杉並区役所の代表電話を通じて秘書課に電話をかけた。交換手はしばらく保留にしたのちにこういった。

「秘書課はおつなぎできません。区政相談課におつなぎします」

 着信拒否である。相談課の職員に対して記者は、秘書課(林田信人課長)に聞こうとした内容をつたえ、あわせて「着信拒否の理由を秘書課に聞いてほしい」と「相談」した。ついでに、田中区長は説明責任を果たすべきではないか、と意見し、電話を切った。

 区政相談課の職員から折りかえし電話があったのは上のやりとりから数分後であった。「秘書課で対応するので電話を転送します」とのことであった。転送された電話に最初にでた秘書課の課員は、この通話が秘書課のほうから求めたものだったとの認識がなかったようで、「いま担当者が電話中なので折りかえしかけてもいいですか」と変な言い方をした。

 まもなく電話口に出た秘書課の男性O課員はこう説明した。

 「質問状は総務課から秘書課に、14日の夕方に伝わった。区長にも内容は伝えた」

 記者はたずねた。

 「それで、回答はいつもらえるのでしょうか」

 O秘書課員は答える。

 「わかりません」

 「わからないとは」

 「総務課で回答案をつくるので秘書課ではわかりません」

 奇妙な話ではないかと記者はおどろいた。質問は総務課だけで答えられる内容ではない。田中良氏個人の問題が含まれている。つまり――田中氏の政治資金パーティの発起人になっている宇田川紀通・武蔵商事社長という政治的支援者を、田中氏自身の権限をつかって報酬審議会委員に委嘱。さらに武蔵商事と区との間に不動産の賃借契約をむすび、年間2800万円を支払っている。報酬審は昨年11月、区長ら特別職の報酬・期末手当を引き上げるべきだという答申をだし、それをうけて引き上げの条例改正がなされた。――癒着・腐敗、そういうほか表現のしようがない問題である。

 区政の問題であることは当然だが、それだけではない。区とは関係がない田中氏個人、あるいは政治家田中良としての立場がからんでいる。公私をごちゃまぜにしているからこそ問題なのだ。

 それを総務課だけで答えるという。政治家田中氏にかかわるところも、総務課が税金をつかってかわりに答えてやるということらしい。その回答行為自体がけじめなき公私混同の発想ではないだろうか。

 「総務課で答えるというのは田中区長の指示ですか」
 
 O課員に記者はたずねた。

 「いえ・・」

 O秘書課員は口をにごした。

 「総務課で答えるということで田中区長は了承しているんですね」
 
 「はい」

 「区長の指示ということではないですか」

 「・・・」

 ともあれ、ここにきてようやく田中区長に質問が届いている事実を確認することができた。10日を要した。「区長は取材の質問もわたせないほど忙しいんですか」と記者はきいた。

 「出ていることが多いので、とくに1月は、新年会とか…」

 「しかし、質問をわたせないほどじゃないでしょう」

 「ええ、まあ…」

 ともあれ回答だ。うやむやにされてはたまらない。ふたたび総務課に電話をかける。”会議”で課長もほかの職員もいない。「1時くらいにかけてもらえますか」と対応した職員は言った。正午まで10分ほどあった。昼めし抜きで会議とはよほど忙しいらしい。もっとも総務課の答えは予想がつく。回答がいつできるか「わからない」だろう。

 かくして、区長と地元有力業者の癒着という区民にとって重大な関心事にかんして、区長の説明を現在もなおあてもなく待ちつづけることを余儀なくされている。

 ほんらいなら議会が追及すべき場面である。しかし、山田宏区政時代は野党の立場にあり、厳しい批判をしばしば展開していた非自公議員らは、民主党出身の田中区政(2期目は自民の支持を得た)になったとたん、まるで牙をぬかれたかのようにおとなしくなってしまった。自公や自公補完勢力の議員らも厳しい目でチェックするでもなく田中区長の言いなりになっている。あるいは区長のほうが自公の言いなりになっているのかもしれない。

 かくして大政翼賛状態のなか、田中区政の独裁化、密室化、無責任化が進んでいる。

追記(22日13時半)

 総務課にあらためて確認したところ対応したS課員は「現在調整しながら回答をつくっている。はっきりとはわからないが1-2週間はかかるだろう」と答えた。

 

===

問題の質問状
 
ご質問

田中良杉並区長さま

前略 以下、取材として質問いたします。

① 武蔵商事株式会社、または同社代表取締役・宇多田川紀通氏、またはその親族に、田中区長を政治的に支援することを目的とした政治団体が主催する政治資金パーティのパーティ券を購入してもらったことはありますか。

② 武蔵商事株式会社社長・宇田川氏は、田中区長を政治的に支援することを目的とした政治団体が主催する政治資金パーティの発起人になったことがあります。また、武蔵商事と杉並区の間には、保育室用の不動産物件や駐輪場の賃貸借契約が交わされており、年間約2800万円の支払いがされている事実が確認されています。
 
 こういう区と利害関係をもち、かつ政治的に区長と密接な関係のある企業経営者が、区報酬等審議会の会長になり、昨年11月に、特別職職員や議員の報酬・給料・期末手当の引き上げを答申したことについて、宇田川氏を報酬審の委員に任命することは区政と一部業者との癒着であり、不適切ではないかとの批判が多数の区民によってなされています。

 つきましては、宇田川氏を報酬審委員に任命し、会長となった経緯、およびこの人選を不適切だとの批判にたいしてどうお考えになるのか、ご意見を聞かせてください。

以上

2016年1月13日
三宅勝久 ジャーナリスト

区営施設「あんさんぶる荻窪」譲渡めぐる重大疑問


 2004年に落成したばかりの区営複合施設「あんさんぶる荻窪」(杉並区荻窪、荻窪駅南側隣接、6階延べ床面積約6900平方メートル)の敷地・建物を財務省に譲り、対価として荻窪税務署(杉並区荻窪)の敷地をもらってそこに新築するという案が進んでいるが、各方面から「新しい施設を壊したうえに、多額の費用をかけて新築するのはおかしい」などと疑問と批判の声があがっている。

 この問題をめぐって重大な事実が発覚した。田中良区長が区長選で初当選したのは2010年7月だが、その5ヶ月後の同年12月3日付で、財務省にあてて「荻窪税務署の建替工事について(要望)」と題する区長名の要望書を出している。その中で、当時財務省が計画していた荻窪税務署の建替工事について、荻窪駅前周辺整備を行い「国税・都税・区税の行政機能の集約化」を図る予定があるとして、建替工事を「当分の間一時休止し」てほしい旨申し入れていたのだ。

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 この「要望」も「集約化」計画も、議会には説明されていなかった。区企画課に確認したところ、要望の文書はすでに廃棄して存在しないと回答した。また、要望の内容を確かめたところ「わからない」と答えた。区が財務省に申し入れた「要望」の内容がわからないというのだ。

 税務署建替えをめぐる財務省と杉並区の協議はまだつづいている。にもかかわらず、協議のきっかけである区側からの申し入れ内容がわからないというのはにわかに信じがたい。

 識者はこうみる。

 ――もともと駅前に官庁ビルを建てて、荻窪税務署に入居してもらう計画を区長周辺で練り、財務省側に打診した。しかし計画がうまくいかなかった。やむを得ず、まだ築10年しかたっていない「あんさんぶる荻窪」を財務省に提供するという強引な案を思いつき、強行しようとしているのではないか。

 あんさんぶる荻窪の建設費は約28億円。これを荻窪税務署の土地と交換することにより、区側があらたに負担する費用は、「あんさんぶる荻窪」の再建費用約30億円以上といわわれる。また「あんさんぶる」内の学童保育施設を桃井第2小学校に移設することに伴う同校校舎の建替え費用30億円の、すくなくとも60億円にのぼるとみられる。

 本日(20日)付で、要望書ならびにその内容がわかるもの、決済した職員がわかるもの、要望をうけた財務省との交渉内容がわかるもの、廃棄したとすれば、廃棄の時期がわかるもの――などを区に対して情報公開請求した。