大内裕和・中京大”盗用”教授の見苦しい言い逃れ

  大内裕和・中京大教授の「奨学金本」盗作問題は、同氏著の『奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書。現在出庫停止)に加えて、『日本の奨学金はこれでいいのか!』(2013年、あけび書房)の1章大内氏執筆部分においても発覚した。朝日新書本は「あけび本」の2章三宅執筆部分から盗用し、あけび本の1章大内記事は雑誌『選択』2012年4月号の三宅執筆記事から盗用していた。

 この事実を踏まえて大内氏の代理人弁護士から14日付で届いた回答書(『朝日新書』の盗用について私が7月にしていた質問に対するもの)を見ると、その破廉恥ぶりに言葉を失いそうになる。 

〈表現(文章表現・構成が酷似している点)についても、貴殿の『日本の奨学金はこれでいいのか!』2章発表以前に、拙著『奨学金が日本を滅ぼす』のご指摘の箇所で使用している表現は、私が自分の講演や雑誌論文、雑誌インタビュー記事、著書などで発表しています。
 「2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に経常され、原資とは無関係のところに行く」(2013年10月14日、「反貧困世直し大集会2013」、主催:「反貧困世直し大集会2013」実行委員会、大内裕和の講演レジュメ)。
 「2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に経常され、原資とは無関係のところに行っています。」(大内裕和「教育における格差と貧困」『日本の奨学金はこれでいいのか!』第1章24頁17行〜25頁2行)〉


↑2020年9月14日付の大内氏回答書。「剽窃・盗用」ではないという。


 ↑「剽窃・盗用」ではないとする根拠に大内氏が掲げる『日本の奨学金はこれでいいのか!』(20
13年10月、あけび書房)1章(大内氏著)の記述。

 あきれたことに、「私が自分の講演や雑誌論文、雑誌インタビュー記事、著書などで発表しています」と豪語している文章は、私が『選択』2012年4月号で書いた無署名記事と瓜二つなのだ。

10年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。

(『選択』2012年4月号〈奨学金「取り立て」ビジネスの残酷〉より)


 ↑ 雑誌『選択』2012年4月号の三宅記事

 大内氏が私の著作を丸写しにしている、あるいは看過できない程度に模倣していることに疑いの余地はない。他人の著作を自分のもののように盗用しておきながら、それを難じられると、「すでに自著などで発表していたのだ」とばかりに、こんどは別の雑誌から盗用した文書を持ち出したのだ。おそらく『選択』の記事が私の筆によるものと知らなかったのだろう。ここまでくると、もはや人格を疑わざるを得ない。

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★【訂正】大内裕和中京大教授、雑誌『選択』の三宅記事からも盗用!

大内裕和中京大教授から回答届く 「盗用・剽窃ではない」

 7月下旬に大内裕和中京大学教授に送っていた盗用疑惑に関する質問に対して、大内氏の代理人弁護士を通じて9月14日付で回答が届いた。

 ★2020年9月14日付大内裕和氏回答書(PDFファイル約2・5Mバイト)

 あらかじめ大内氏には公開することを伝えてあるのでここに公表する。なお、偽造・改竄など万が一のトラブルを避けるため、データに一部加工をほどこした。

 すでにほかの文字媒体や講演で発表している内容・表現なので盗用・剽窃ではないといった主張のようだ。予想していたとおり、謝罪の意思はみじんも感じられない。やむを得ないが、私とすれば、大内氏が非を認め、真摯に謝罪し、彼の非行によって被った害についてしかるべき償いをするまで追及をつづけざるを得ない。おそらく研究者生命を賭して大内氏はこの回答を行ったのであろうが、こちらもジャーナリスト生命がかかっている。

 フリージャーナリストである私は、商品である原稿や発言の信用以外に身を守るものを持っていない。事実を誤ったり、誤記をするなどといった悪意のないミスは赤面するほどあるが、他者の著作物を破廉恥に写して自分の文章であるかのように発表するなどといった、文筆家の基本的なモラルに反する破廉恥な行為をしたことは誓ってない。もちろん、しようとも思わない。幸い売れっ子ではないので必要もない。読者を裏切ることはジャーナリストという自分の職業を自分で否定するようなものである。

 盗作問題への対応で本来の仕事に甚大な悪影響が出ている。それでも追及をやめないのは、これを放置することもまた、読者への裏切りにつながると思うからである。

【訂正】大内裕和中京大教授、雑誌『選択』の三宅記事からも盗用!

※記事内容に一部誤りがありました(★★★部分)。お詫びの上、訂正した上で再掲します。

 私(三宅)の著作物からの盗用が問題になり、『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書)の出庫停止に発展した大内裕和中京大教授について、あらたな盗作が発覚した。2013年10月に筆者三宅らとの共著で発刊した『日本の奨学金はこれでいいのか!』(あけび書房)の第1章、大内氏が記述した箇所の一部が、雑誌『選択』2012年4月号に三宅が無署名で寄稿した記事の一部ときわめて似ているのだ。

 
 問題が見つかったのは、あけび書房本の1章大内氏記述部分、24頁16行目から25頁6行目の記述だ。

◆『日本の奨学金はこれでいいのか!』1章 大内氏記述

 原資の確保を優先するのであれば、元本の回収がなにより重要なはずです。ところが日本学生支援機構は2004年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当する方針を続けています。2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達します。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ行っています。
 この金の行き先の一つが銀行で、もう一つが債権回収専門会社です。2010年度期末で民間銀行からの貸付残高はだいたい1兆円で、年間の利払いは23億円です。サービサーは同年度、約5万5000件を日立キャピタル債権回収など2社に委託し、16億7000万円を回収していて、そのうち1億400万円が手数料として払われています。

(24頁16行目〜25頁6行目)


↑『日本の奨学金はこれでいいのか!』(2013年10月刊行)1章大内氏の記述部分

 これが、『選択』2012年4月号の〈奨学金「取り立て」ビジネスの残酷〉と題する記事の一部と酷似している。記事は私三宅が書いた。著作権も私に所属する。

◆『選択』三宅記事

 原資の確保であれば元本の回収がなにより重要だ。ところが、日本育英会から独立行政法人に移行した〇四年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当するという方針を頑なに実行している。一〇年度の利息収入は二百三十二億円、延滞金収入は三十七億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。この金の行き先のひとつが銀行であり、債権管理回収業者(サービサー)だ。一〇年度期末で民間銀行からの貸付残高はざっと一兆円。年間の利払いは二十三億円。また、サービサーについては、同年度で約五万五千件を日立キャピタル債権回収など二社に委託し、十六億七千万円を回収、そのうち一億四百万円が手数料として払われている。

(101頁3段目13行目〜4段目4行目)


↑ 雑誌『選択』2012年4月号に三宅が寄稿した記事。インターネットで公開されている。
 https://www.sentaku.co.jp/articles/view/11610 

 いかがだろうか。ところどころ「てにおは」を変えたり改行しているくらいで、ほとんど同じ文章、構成だ。むろん、引用であることはまったく示されていない。
 
 ここで興味深いのは、日立キャピタル債権回収会社ら2社の2010年度の回収額と手数料額だ。どちらの記事も、回収額16億7000万円、手数料1億400万円と一致している。注意ぶかい方なら矛盾に気づくはずだ。

★★★
 大内氏が1章で上記データを記載した同じ本(『日本の奨学金はこれでいいのか』)の2章で、じつは私が別の数字を書いている。回収額が2社で約28億円、手数料収入は同2億4000万円だ。

 こうした食い違いが起きたのは、公表主体と公表時期によって数字が違ったからだ。「16億7000万円/1億400万円」は、2012年2月に文科省高等教育局学生・留学生課が私に回答した内容である。一方、2013年9月に日本学生支援機構が私に回答した内容は「回収額約28億円/手数料約2・4億円」だった。私は『選択』の記事(2012年4月)では前者の数字を紹介し、『日本の奨学金はこれでいいのか』(2013年10月)では後者の数字を記述した。
 
 文科省と支援機構で数字の差が生じた理由については、現在日本学生支援機構に問い合わせているところだ。

 おそらく、大内氏はこうした事情を知らずに、『選択』の記事からデータを流用したのだろう。そして、『日本の奨学金はこれでいいのか』が刊行された後は、私がそこに記述した日本学生支援機構の発表データを、『奨学金が日本を滅ぼす』という別の自著に流用したと思われる。
★★★
 大内氏のモラルのなさには愕然とするが、ことここに及んでも大内氏を共同代表者に掲げ続け、責任を問う気配のない奨学金問題対策全国会議という市民団体の自浄力のなさにもまた、失望を禁じ得ない。  

大内裕和中京大教授の「奨学金本」に出庫停止措置

 読者のみなさん、こんにちは。
 
 大内裕和中京大教授の著書に私の著作物からの「盗用」がなされている問題で、少し進展がありました。問題の著書『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書、2013年)の発行元である朝日新聞出版が、同書を出庫停止、電子書籍の販売中止措置をとった旨記載した「回答書」が届きました。同社に問題を通報してから回答まで1ヵ月と3週間がかかった計算ですが、この間、同社は大内氏や担当編集者から事情を聞き、検討をしていた模様です。出庫停止、電子書籍出版停止措置をとったということは、それなりに問題があるとの認識なのでしょう。私なりにそう理解しています。

 しかし、出荷ずみの紙本の販売はつづけるほか、同社自身の責任についてはまったく言及をしておらず、釈然としない部分もあります。引き続きこれらの点について質問をしたところです。

 一方、大内氏は代理人弁護士を通じて、当方の質問に回答してきました。結論からいえば、盗用剽窃にはあたらないとのことです。謝罪の意もいっさいありませんでした。表現・構成がきわめて酷似したのは偶然の産物ということなのでしょうか。
 
 引き続き、動きがあれば報告したいと思います。

大内裕和中京大教授の「奨学金本」にあらたな疑問点発覚 ーー回収手順の無理解か、それとも意図的なごまかしかーー

 中京大学教授・大内裕和氏の著作『奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書)に筆者三宅の著作(『日本の奨学金はこれでいいのか』第2章、あけび書房2013年)からの盗用・剽窃が濃厚に疑われ、現在、朝日新聞出版や中京大の調査が行われている問題で、大内本にあらたな疑問点があることが発覚した。

 問題の箇所は『奨学金が日本を滅ぼす』の80P、延滞債権の回収が強化されているという部分の次の一節だ。

 〈それでも滞納が続くと、9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます。〉

 「奨学金ローン」の返還を滞納して9ヵ月目に入ると支払い督促という法的手続き(一種の裁判)を起こされるとの記述だ。

 奨学金ローン回収や対応の実務に通じている者ならすぐに首を傾げることだろう。筆者も疑問を禁じ得なかった。どんなに回収を急いだところで、日本学生支援機構が公表している回収方法では、「9ヵ月目」の支払い督促申し立てはあり得ない。

 つまりこういう仕組みである。
 
 支払い督促の申し立てには、一括繰り上げ請求をしていることが大前提となる。

 奨学金ローンは、20年以内に年賦または月賦で返還するよう法令で決まっている。一般のローンとは仕組みが異なる。一般のローンは、分割払いは「期限の利益」の特約によってはじめて可能となる。延滞した場合はこの「期限の利益」を喪失して一括請求される旨、契約書に明記している。
 
 奨学金ローンには「期限の利益」の概念がないので、遅れたとしても、まだ返還期日がきていないものまで前倒しで請求することはできないーーはずである。ところがじっさいには返還期日未到来のものまで一括で繰り上げて請求する、いわば貸しはがしが頻繁に実行されている。その際、日本学生支援機構が使っている根拠が、日本学生支援機構法施行令5条5項(旧4項)だ。

 同項には「支払能力があるにもかかわらず」という前提条件が記載されているが、そんなことは完全に無視して、「延滞9ヵ月以上」で連絡や返還猶予の手続きをしない利用者に対して、乱発している。違法性がきわめて高い回収である。

 

 支払い督促申し立ては、この一括請求をした後でなければ手続きのしようがない。

 一括請求は日本学生支援機構から利用者に対する通知文で行われ、通常、支払い期限を約1ヶ月後に設定される。月々の1万5000円や2万円の返済が滞っている人に300万円とか400万円を1ヶ月後に耳をそろえて返せ、と迫る。それで払えなければ支払い督促を裁判所に申し立てるという流れである。

 つまり、どんなに早くやっても延滞10ヶ月以降の支払い督促申し立てなのだ。一括請求がなければ支払い督促はやりたくてもできない。

 〈それでも滞納が続くと、9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます。〉という大内氏の記述は、したがって明らかに誤りである。上に述べた一括請求という違法な取り立ての段階があることを理解していないか、そうでなければ意図的に無視しているとしか考えられない。

 奨学金問題対策全国会議という市民団体の代表でありながらこうした重要な部分に誤りのある著書を出すというのは、いったいどうしたことか。
 
 
 なお、9月8日付で、大内氏に以下の質問をメールで送った。

  同書80ページに「それでも滞納が続くと、9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます。」との記述があります。日本学生支援機構が私に回答した内容では、9ヵ月以上延滞した場合に一括繰り上げ請求を行うとのことです。支払い督促の手続きは一括繰り上げ請求(支払い期限は通常約1ヶ月)の後に支払いがないことを踏まえて行われるものですから、論理的には最短でも延滞から10ヵ月はかかる計算です。

 つきましては、「9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます」との記述は、どのような根拠によるものなのでしょうか。また、支払い督促の前に一括繰り上げ請求がなされていることを明記していないのはなぜですか、それぞれご説明願います。

以上

 

「若者のミカタ」で売り出し中、大内裕和中京大学教授の「奨学金本」は盗用だらけのトンデモ本だった!(5)

【「若者のミカタ」で売り出し中、大内裕和中京大学教授の「奨学金本」は盗用だらけのトンデモ本だった!(5)】
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◇「一括請求」に関する記述にも疑問
 一括繰り上げ請求に関する大内本の記述にも疑問がある。大内本(『奨学金が日本を滅ぼす』)81頁10~11行目だ。

【大内本(『総額金が日本を滅ぼす』)81頁】
 
 これについて日本学生支援機構は「連絡もなく、救済も求めない人は、返済能力があると認識せざるを得ない」と説明していますが、とても乱暴な論理と手法です。

 「一括繰り上げ請求」または「繰り上げ一括請求」は、日本学生支援機構最大の違法行為だと筆者が考え、是正させるべきであると、2013年にこの問題に気づいて以来、絶えず発言してきた問題だ。

 日本学生支援機構法施行令5条4項(現在5条5項)には「支払能力があるにもかかわらず著しく返還を怠った場合」に、支払い期限がまだきていないものも含めて一括請求できると規定している。何百万円を一どき払う資力がありながら払わないといった、ごくまれな例を想定した規定である。

 しかし、じっさいには、経済苦によって支払い困難になった若い利用者、返還開始からものの数年しか経っていない若者に対して、容赦なく一括請求をやっている。この実態を筆者は裁判記録の調査から突き止めた。2013年のことだ。関東一円で一括請求の取り立て裁判を随意契約で請け負っているのが、かつて武富士代理人を務めた熊谷信太郎弁護士だったことも判明した。

 支払能力がない人に5条4項を適用するのは違法ではないか、いったい支払能力を調べているのかと筆者は支援機構に質問をした。それに対して支援機構広報室は、2013年9月2日、次のとおり電子メールで回答した。

「(一括繰り上げ請求をする際、債務者の支払能力について)審査はしておりません」

「・・・こうした再三の督促・連絡を行っても返還や猶予の手続き等がない延滞9ヶ月以上の者に対して、繰り上げ一括請求を行っております。
 返還が困難な状況であれば、機構に返還期限猶予の申請等など連絡があると考えられ、連絡もなく延滞状態を継続しているものは、機構としては支払能力があるものと認識せざるを得ず、次の世代の奨学金の原資を確保する観点から、厳しい対応をせざるを得ません。」

(一部略)

 この回答を筆者は「日本の奨学金はこれでいいのか!』(三宅本)に収録した(100~101頁)。支援機構の正式な回答で、かつ出所を明らかにして発表されているものは、筆者はこのほかに見たことがない。

 そもそも、大内氏が代表をする奨学金問題対策全国会議は、一括請求の問題について一貫して消極的だった。筆者は2013年の設立時に乞われて入会した。以来、絶えず「一括請求は大問題であるから調査・是正に取り組むべきだ」と提言してきた。だが会の執行部はこれを徹底的に黙殺した。

 大内氏は同会代表として新聞やテレビでコメントする機会が多かったが、筆者の知る限り、一括繰り上げ請求という言葉を発したことは一度もない。この運動のありかた批判して、筆者は2015年に同会を退会した。

 その後昨年(2019年)になって、全国会議の活動報告に「一括請求問題」が項目として記載されていることを知り、「ようやく問題意識が出てきたのはいいことだ。ふたたび一緒に研究・告発をしていきたい」と再入会を申し出た。ところが、全国会議は筆者の再入会を拒否した。大内代表らの名で届いた回答書(2019年7月31日付)に記された理由はこうだ。

2019年7月31日

「再入会のお申し出に対するご回答」

奨学金問題対策全国会議
共同代表大内裕和
同伊東達也
事務局長岩重佳治

(前略) 三宅様は、当会議に在籍されているときから、日本学生支援機構のいわゆる「一括繰り上げ請求」を、当会議でも最優先の課題として中心的に取り組むべきであると主張され続け、それをしない当会議の姿勢は評価できないとして、当会議を退会されました。(中略)

 限られたマンパワーで、一括繰り上げ請求に最優先で取り組むべきとの議論に対応する余裕もないのが実情です。むしろ、この問題に集中すれば、当会議の運動に支障がでることは確実であるというのが、今回の検討に参加したメンバーの共通の認識です。(後略)

 筆者が一括請求問題に熱心であるため、入会すると他の活動に支障がでるというのだ。意味不明である。

 
 ともかく、不自然なほど一括繰り上げ請求に無関心に見えた全国会議やその代表者大内氏だったから、大内氏が自著でに一括請求に触れているのは意外だった。そして、そこに紹介さている日本学生支援機構の「説明」なるものが、いったいいつどうやって得たものなのか気になった。

 一括請求問題について全国会議や大内氏が支援機構に問い合わせたり、回答を得たという話は聞いたこともないし、見たこともなかったからだ。そんなことをするのであれば、一括請求問題の第一発見者である筆者を、一括請求問題に熱心なことを理由に排除する必要がない。

 大内本にある支援機構の回答のなかには「返済能力」という言葉が出てくる。これにもひっかかりを覚えた。支援機構が回答するとすれば「支払能力」であって「返済能力」ではないはずだ。

 「連絡もなく、救済も求めない人は、返済能力があると認識せざるを得ない」とされる支援機構の回答(説明)は、いつどの部署から得たものなのか。大内氏に説明を求めたが回答はない。支援機構が「返済能力」という表現を使うとは思えず、本当に記述のような説明をしたのか疑問を抱かざるを得ない。

◇大内氏への質問
 仮に、サラリーマンの新聞記者でこれほどの盗用が発すれば、免職になっても不思議ではない。筆者のようなフリージャーナリストであれば致命的な信用失墜となり、まともに原稿を取り上げてくれる出版社や雑誌、編集者はいなくなるだろう。

 大内氏も研究不正に問われる危険がある。もしや、何かのまちがいではないかと、筆者は大内氏に質問状を送って説明を求めた。だが回答らしい回答はない。

 筆者としては、やむを得ず問題本の版元である朝日新聞出版に盗用疑惑がある旨「通報」した。同社は、問題があるとの認識にたち、現在コンプライアンス担当役員を含めて調査に動きだした。並行して中京大学の研究倫理の窓口にも告発した。こちらも調査がはじまった。また、著作権侵害による損害賠償請求訴訟も視野に入れて弁護士に相談している。

 一方、大内氏は7月25日、奨学金問題対策全国会議という市民団体の代表に再任された模様だ。氏の「奨学金本」をめぐる盗用疑惑について、同会議の会員らは知らなかったか、知っていて見過ごしたかのどちらかだろう。

 昨今、学生のレポートや論文に盗用が多いと聞く。教育を説く大学教授もまた盗用に手を染め、まさかとは思うが、仮にそれが不問に付されるとすれば、日本の学問の行く末はきわめて暗いと言わざるを得ない。
(完)

「若者のミカタ」で売り出し中、大内裕和中京大学教授の「奨学金本」は盗用だらけのトンデモ本だった!(4)

【「若者のミカタ」で売り出し中、大内裕和中京大学教授の「奨学金本」は盗用だらけのトンデモ本だった!(4)】
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◇事例捏造疑惑
 気を取り直して大内本を再度点検してみた。文章の盗用の類とは違うものの、疑問のある箇所があらたにいくつか見つかった。74頁のコラム「事例5/延滞金が発生し、返しても返しても元金が減らない」もそのひとつだ。

 35歳の男性Eさんの体験だとして、以下のような話が記述されている。

 Eさんは「奨学金」を借りて大学を卒業し、会社に就職した。月々1万4000円を返済していたが3年目に会社が経営難に陥って失業、収入が途絶えた。返済困難となったため5年間の返還猶予を受けたが、猶予が開けても状況は改善せず、再び返済に窮した。やがて債権管理回収業者(サービサー)から督促を受けるようになる。「月々わずかでも払ってほしい」とサービサーに要求され、毎月1万円ずつ払うことにした。そうして1年がたち、債務の状況を確認したEさんは驚いた。「元金約200万円」が減っていなかったからだ。延滞金ばかりを払っていたのだ。このまま30年間、360万円を払ったとしても元金が減らない計算だ。Eさんは途方に暮れている。(趣旨)

 同様の話は筆者も取材して記事にしたことがある。大内氏も調査していたのだろうか。そう思って読み過ごしかけたが、つぎの一節が目に留まった。

【大内本(『奨学金が日本を滅ぼす』朝日新書。2017年)75頁】
 やがて日本学生支援機構の委託を受けた日立キャピタル債権回収株式会社から督促されるようになります。元金約200万円に利息と延滞金がついています。日立キャピタル債権回収株式会社から「月々わずかでも払ってくれませんか」と言われたEさんは、それから月に1万円ずつ支払いました。

 どこかで読んだ気がする。三宅本(『日本の奨学金はこれでいいのか』あけび書房、2013年)をめくってみると、案の定、よくに似た部分が見つかった。『日本の奨学金はこれでいいのか!』2章〈80歳まで払っても終わらない「返済計画」〉の次の部分だ(83〜84頁)。

 

【三宅本(『日本の奨学金はこれでいいのか』)83〜84頁】
 やがて、日本学生支援機構の委託を受けた日立キャピタル債権回収株式会社から督促されるようになります。元金85万円に利息・延滞金。Bさんは同社に事情を説明しました。

 「収入が少ないので相談に乗ってほしい」

 「月々わずかでも払ってもらえませんか」

 Bさんによれば、電話口の社員はそう言いました。

 「月々5000円くらいなら払えます」

 Bさんは答えました。

 「それで結構です」

 日立側も同意しました。(以下略)


 5年間の返還猶予が開けた後に日立キャピタル債権回収株式会社から督促され、「月々わずかでも払ってもらえませんか」と言われたという流れが同じである。

◇別の事例なのに同じコメント
 三宅本の例と大内本の「事例5」は別物だ。三宅本で紹介したのは次のような話だ。

 研究職志望の若者Bさんは1種奨学金(無利子)を借りて大学を卒業、年賦19万円で返還していた。だが思うように就職できず、返還に行き詰まり、5年の返還猶予を受けた。猶予が開けた後も返済は困難で、延滞状態になる。やがて債権管理回収業者(サービサー)から督促を受けるようになる。「月々わずかでも払ってほしい」と要求され、毎月5000円ずつ払うことにした。当時の未払元金は85万円。そうして7ヶ月がたち、債務の状況を確認したBさんは驚いた。元金85万円が減っていなかったからだ。延滞金(当時1種は5%)ばかりを払っていたのだ。このまま80歳まで払ったとしても元金が減らない計算だ。Bさんは途方に暮れている。(趣旨)

 
 三宅本のBさんは研究職志望、大内本のEさんは失業した会社員。別の話だが、どちらも日立キャピタル債権回収株式会社から督促され、「月々わずかでも払ってもらえませんか」と言われたという。偶然にしてはできすぎのように思えた。

 大内本の「事例5」を何度も読み返した。ふと矛盾に気づいた。「元金」の額がおかしい。

 大内本によれば、Eさんは35歳。4年制大学を卒業して13年ほどだろう。月々1万4000円を3年返し、5年間の返還猶予を受けたとある。すると、ここまでで8年が経っている。仮に残り5年間をすべて延滞したとしても、未払元本額は、1万4000円×12ヶ月×5ヶ年=84万円だ。大内本にある「約200万円」にはどうやってもならない。

 大内本の記述は、支払い期日が来た「期日到来元金」と、支払い期日がまだ来ていない「期日未到来元金」の区別がついていないようにもみえる。もしかしたら、「事例5」は、筆者の原稿を参考に、でっち上げた話ではないか。そう疑われても仕方がないのではなかろうか。

 なお、大内本の次の記述にいたっては完全な誤りである。

【大内本(『奨学金が日本を滅ぼす』)75頁】
 延滞金は年率10%(2014年4月以降は年率5%)ですから、たとえば200万円だと年間で20万円上乗せされます。次の年は220万円の10%ですから22万円上乗せされます。

 延滞金はあくまで未払いの元本に対して課せられる。元本であっても、支払い期日がまだきていない元本に課すことはできない。ましてや、二重に延滞金を課すなどあり得ない。大内氏は「奨学金」における延滞金の仕組みを誤解しているのだろうか。

(つづく)