大日本帝国の戦争犯罪とアメリカの戦争犯罪

 「オバマよ、原爆投下は戦争犯罪だ!」ーーそう題した、日下公人氏(評論家)と高山正之氏(ジャーナリスト、産経新聞記者)の対談が雑誌『WILL』6月号に載っている。副題にこうある。

 ーーオバマの広島訪問に大喜びだが、米国の掌の上で踊るのはどうなの?ーー

 題だけをみれば、まったくそのとおりである。興味をもって読んでいくと、ロッキード事件をはじめ、戦後いかに日本の政治がアメリカによって振り回されてきたか、といったことがいくぶん格調を欠いた口調でなされている。

 しかし、途中から違和感を覚えた。日本政府の批判がいつまでたってもでてこない。オバマは謝れというタイトルだから、当然、アメリカに謝らせることのできない日本政府のふがいなさについて指摘があるだろう。そう思っていた私はがっかりした。

 かわりに批判の矛先となっているのは朝日新聞や日教組だ。

 詳細ははぶくが、終盤で高山氏はこう述べている。

〈ようするに、朝日(新聞)が懐かしみ、日教組がすがる「戦後民主主義教育」なんてものは、戦後に始まったわけでもなんでもなく。戦後20年も経ってから捏造されたものに過ぎません。これも米国の掌の上で踊る日本人の典型ですね。

 米国に抗しているつもりで、その実、米国の高度なパペット(操り人形)として国益を損ねて回る〉
 
 たしかに、戦後の「民主的な」教育は、じつのところ米国に都合のいい偽モノの「民主主義」だったのではないか、そんな疑問を私ももっている。朝日新聞や日教組がアメリカの影響を受けているとしても不思議ではない。

 だが、それがオバマ大統領が原爆や都市大空襲といった戦争犯罪を謝らないといった主題につながるのか、いまひとつよくわからない。

 仮に「米国の高度なパペット」という言葉がもっともふさわしく、もっとも日本社会に悪影響を与えている人物がいるとすれば、安倍晋三首相その人ではないか。

「オバマよ、原爆投下は戦争犯罪だ!」

 安倍首相はオバマ大統領にそう言うことができなかった。言うつもりもなかったにちがいない。恥ずかしげもない傀儡政権ぶりの発揮である。その態度をいっさい批判しないということは、結局、対談した両者もまた傀儡政権の取り巻きにすぎないと私は判断した

 アメリカの言いなりになる政治からぬけだすために絶対必要な作業はなにか。なにより、大日本帝国政府や旧日本軍によるアジア侵略に対する真摯な反省だと私は思う。

 アメリカは、日本がアジアで行った戦争犯罪を免責した。戦争犯罪人は戦後、アメリカの子分になることで生きながらえた。日本はアメリカの「戦利品」となり、米兵が好き放題に歩き回れる場所となりはてた。

 過去を否定し続ける限り、日本は米国の属国から抜け出すことはできない。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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