「水」

「水」

鹿のように歩くこの柔軟な体
桃のようにまろやかな頬
いちごのようにぬれた唇
うるしのように澄んだ瞳を
保たせている水々しいいのち
水のない世界で人は住むことが出来ない
水は
あなたを思うこころでもあり
一椀の飯をたいた水であり
一皿のおかずを作った野菜であり
野菜と米を作った地の水であり
人は
水が涸れると花のようにしぼむ
けれども
水はあまりにも当然のように私に与え
私は知らぬうちに
それを受け取っているから
使いながらも
こうも水の存在を忘れている

『記憶の川で』(塔和子、編集工房ノア)より

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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