「世界戦争ははじまっているーー沈黙を破れ」1

 カウンターパンチに掲載された「世界戦争ははじまっている」(ジョン=ピラー氏)という記事を紹介する。つたない翻訳であるがご了承いただきたい。誤り等ご指摘いただければ幸いである。

 ===

http://www.counterpunch.org/2016/03/23/a-world-war-has-begun-break-the-silence/
March 23, 2016
A World War has Begun: Break the Silence

by John Pilger

世界戦争ははじまっているーー沈黙を破れ(1)

ジョン=ピラー(オーストラリア人ジャーナリスト)www.johnpilger.com

 わたしはかつてオーストラリア北部、太平洋のまんなかにあるマーシャル諸島で撮影を行った。わたしが赴いたこの場所のことを話すたびに、「どこにあるの」と尋ねられる。「ビキニ」というヒントを出すと「水着のことか」と言われる。

 水着のビキニが、ビキニ諸島を破壊した核爆発を祝ってつけられた名前であることを知る人はわずかである。1946年から58年にかけて、アメリカは66発の核爆弾をマーシャル諸島で爆発させた。その破壊力は、広島に落とされた核爆弾の1・6倍の威力のものを毎日12年間爆発させたのと同等である。

 ビキニはいま静かである。破壊され、汚染されたまま。椰子の木は異常な生育をし、何も動くものはない。鳥もいない。古い墓の頭石は放射線を帯びて生きている。わたしの靴はガイガーカウンターにより「安全ではない」と判定された。 

 浜に立ち、わたしはエメラルドグリーン色をした太平洋の陥没が黒く落ち込んでいるのをみる。「ブラボー」と呼ばれた水素爆弾がつくったクレーターである。爆発は、人々と環境を、おそらくは永遠にわたって汚染した。

 諸島からの帰途、わたしはホノルル空港に立ち寄り、「女性の健康」と題するアメリカの雑誌に目をとめた。表紙にはビキニ水着を着た笑顔の女性が写っていて、こう見出しがついていた。

「あなたもビキニ体型になれる」

 この数日前、マーシャル諸島でわたしはまったく異なった「ビキニ体型」の女性たちのインタビューを行った。みな甲状腺ガンや致命的なガンを患っていた。

 雑誌にあった笑顔の女性とはちがい、彼女らはみな貧しかった。こんにちもっとも危険で貪欲な超大国がモルモットにした犠牲者たちだった。

 この経験をわたしが語るのは、ごまかされている状況から目をさませと警告するためである。現代のブロパガンダの発見者であるエドワード=バーネイ氏は、民主主義社会におけるこの現象を、「習慣と意見を、相手にそれと知られずに知的にコントロールすること」であり、「見えない統治機構」だと述べている(『プロパガンダ』)

 すでに世界戦争がはじまっているとどれだけの人が気がついているだろう? いまはウソとごまかしのプロパガンダの戦争である。これはただちに、最初の誤った命令、最初のミサイルに変わりえる。

 2009年。オバマ大統領は、欧州の心臓であるプラハ市内で群衆を前に立った。そして「世界から核兵器をなくす」と自分に誓った。人々はよろこび叫んだ。賞賛がメディアにあふれた。つづいてオバマはノーベル平和賞を受賞した。

 これはすべてまやかしだった。彼はウソをついている。

 オバマ政権はよりおおくの核兵器をつくり、核弾頭をつくり、核輸送機構と核施設をつくった。どのアメリカ大統領よりも核弾頭にカネをつかった。アメリカが核につかったカネは30余年で1兆ドルを超す。

 小型核爆弾も計画されている。B61ー12である。このようなものはかつてなかった。統合参謀本部副議長のジェームス=カートライト将軍は「(核兵器が)小さくなれば、より使用が可能になる」と言った。

 第二次世界大戦以降つくりあげられたアメリカ主導の巨大な軍事力は、過去18ヶ月間にわたってロシア西部の辺境沿いに展開している。ヒトラーのソ連侵略以来、ロシアに対して外国軍がこれほどのあからさまな脅威をみせたことはない。

 ウクライナーー一時はソ連邦だったーーはCIAのテーマパークと化した。キエフのクーデタと協調し、ワシントンは効果的に、ロシアに敵対的な傀儡政権を支配した。文学的にいえば「ナチスの腐敗政権」である。ウクライナ議会の乱暴な姿はOUN(ウクライナ民族主義者組織)やUPA(ウクライナ蜂起軍)の悪党ファシストの流れにある。ヒトラーを公然と賞賛し、ロシア語を話す少数者の迫害と追放を叫んでいる。

 こうした出来事は西側ではほとんどニュースになっていない。あるいは真相が隠されている。

 ラトビア、リトアニア、エストニア。ロシアの隣にある国だが、そこに米軍が戦車や銃火器とともに戦闘部隊を展開している。この世界2位の核保有国で起きた大事件が西側では沈黙なのだ。

核戦争が起きる危険をより現実的にしているのは中国に対する宣伝である。 

 中国の「脅威」が高まっているという話が出ない日はない。米太平洋軍司令官のハリス大将によれば、中国は「南シナ海に万里の長城を作っている」という。 

 彼が言いたいのは、中国が南沙諸島につくっている滑走路のことである。南沙諸島はフィリピンとの紛争地である。ワシントンがマニラ政府に圧力と賄賂工作をするまでは優先順位の低かった地域であるが、ペンタゴンは「航行の自由」という宣伝を開始した。

 これがじつは何を意味するのか。要するに中国沿岸海域を米軍艦船が自由にパトロールし、支配するという意味である。想像してみてほしい。もし中国戦艦がカリフォルニアの沿岸でおなじことをすればアメリカはどう反応するだろうか。

 わたしは「見えない戦争」(The War You Don’t See)https://www.youtube.com/watch?v=ykEHuUTYqsoいう映像作品をつくった。そのなかでアメリカとイギリスの卓越したジャーナリストにインタビューした。CBSのダン=ラサー、BBCのラゲー=オマール、オブザーバーのデビッド=ローズ。

 彼らはみなこういった。もし自分たちがジャーナリストとしての仕事を行っていれば、サダムフセインが大量破壊兵器を持っているという宣伝に疑問をもち、ブッシュやブレアのウソがジャーナリストによって拡声・拡散されていなければ、2003年のイラク侵略はなく、何十万人もの男女や子どもたちはいまも生きているだろうと。

ロシアや中国に対する戦争プロパガンダも原理は同じだ。わたしが知るかぎり、西側の「主流」メディアのジャーナリストは誰ひとりとして「なぜ中国が南シナ海に飛行場をつくるのかを問おうとしない。

 答えは明らかだ。アメリカは中国を、軍事基地の網や大陸弾道ミサイル、戦闘部隊、核武装した爆撃機で取り囲もうとしている。

 この殺人的な弧は、オーストラリアから太平洋諸島、マリアナ、マーシャル、グアム、フィリピン、タイ、沖縄、韓国、ユーラシア、アフガニスタン、インドにいたって広がっている。これはニュースではない。メディアは沈黙している。メディアの戦争だ。

 2015年、高い秘密のなかで、合州国とオーストラリアが近年にないおおきな規模で空と海の軍事演習「タリスマンの矛」を行った。これはマラッカ海峡、ロンボク海峡などの海路を封鎖し、中国が中東・アフリカから石油やガス、その他天然資源を調達できないようにすることを狙った、空と海の戦闘訓練である。

 つづく

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください