「荻窪税務署建て替え凍結」要望書の存在隠蔽か/2014年3月7日予算委で企画課長が不可解答弁


 30億円をかけた築わずか10年の区営複合施設「あんさんぶる荻窪」と荻窪税務署の土地を交換するという不可解な計画をめぐり、「特養施設をつくるため」という区の説明に重大な疑問がでていることは本誌でもすでに伝えているとおりである。疑問を生じさせている最大の証拠は、2010年12月に田中良区長名で財務省理財局宛にだされた荻窪税務署建て替え凍結を求める要望書だ。荻窪駅前を再開発するので、当時財務省が検討中だった荻窪税務署の現地建替え計画を凍結してほしい――といった内容の文書を杉並区から財務省側に出していたことが、住民の財務省に対する情報公開請求によって発覚した。

 その問題の「要望書」を杉並区に対して情報公開したところ、すでに3年の保存年限をすぎているので廃棄したとして「不存在」なのだと、にわかに信じがたい回答が返ってきた。担当の企画課職員にその内容を聞いても「わからない」とうそぶく始末である。

区営施設「あんさんぶる荻窪」譲渡めぐる重大疑問
田中区長→財務省の「荻窪税務署建て替え凍結要望書」は「廃棄ずみ」と正式回答

 こうした不自然な反応をみると「財産交換」も「特養」も、ひそかに考えていた駅前再開発が失敗し、その後始末で考えついた体裁づくりで思いついたずさんな案ではないかと疑わざるを得ない。

 そして、今回、あらたにその疑惑をさらに深める事実が発覚した。

 本誌記者の情報公開請求に対して区が開示した文書管理リストによれば、問題の文書「22杉並第47820号 荻窪税務署の建て替え工事について」は、2010年12月3日に起案・決済され、保存年限が3年と記載されている。これを理由に、すでに廃棄されているから存在しない、企画課は説明してきたのだが、じつは、この「保存期間」中にあたる2014年3月7日、白垣学・企画課長が予算委員会で答弁に立ち、財務省とのやりとりを示す文書は「存在しない」と説明していたのだ。

 松尾ゆり議員の指摘を受け、本誌記者が取材で確かめた。

 3年の保存期限であれば2014年の3月7日時点で要望書は保管されていた。要望書の存在を区として意図的に隠した可能性がある。

 会議録から引用する。

【2014年3月7日予算特別委員会】

◆奥山たえこ委員  次です。あんさんぶる荻窪のほうに行きます。いただいた資料を見ると、全然やりとりがわからない。例えば、区長が この前、いや、最近じゃないんだ、随分前からそのやりとりについてやっていたんだけどとおっしゃるんだけれども、私がいただいた資料からいうと、一番スタートが平成25年の9月30日ですよ。その前にはこのことをやりとりしてなかったんですか。

◎白垣学企画課長 やりとり自体はありました。9月30日に公文書で提案をする前段のやりとりはございましたけれども、公開する資料が不存在ということでございます。

◆奥山委員  何でないんですか。電話やメールも含むというふうに私は請求しているし、それも含めて公文書でしょう。なぜ存在しないんですか。

◎白垣企画課長 確かに電話やメールのやりとりはございましたけれども、その辺は事務的な連絡で、必要が済んで、時間もたってございますので削除しているということで、現時点では不存在ということでございます。

◆奥山委員  電子メールやそういったメモの文書保存年限は。

◎白垣企画課長 メモは、忘却防止のために、そこは覚えとして書いてございますけれども、きちんとした形での公文書というふうには捉えてございません。

◆奥山委員  電子メール。

◎白垣企画課長 電子メールについても同様でございます。

◆奥山委員  電子メールやメモは、さっさと自分たちの判断で廃棄して構わないということですよね。

◎白垣企画課長 内容に応じてそれは判断してございますので、それについては、もちろん公文書性の高い、組織で共有するようなものについては、きちんと打ち出しをして、しかるべき保存年限で保存をしてございます。

◆奥山委員  今回公表されたものからはさっぱりわからないんですよ。つまり、交換の条件をやっているはずですよ、幾らぐらいにしましょうかとか、 もう少し金つけましょうかとか。一番知りたい、そこが残ってないんですよ。そんな作為的なことを、恣意的なことをあなたたちに許されているはずがないんで す。どういうことですか、文書管理。

◎白垣企画課長 委員がおっしゃっているよう なことは、この後交渉していく話でございまして、最初から、お互いの財産幾らだとか、どういう条件だったらこれを受けるのか受けないのかということまで詰 めた上で提案をしているわけでもございませんし、国のほうも回答しているわけではございません。

◆奥山委員  とすると、あんさんぶる、いいところ、建物あるから、じゃ、これを交換しましょうと、それだけでとんとんここまで進んだということですか。あと、このデータは、後で私のブログにアップしておきますから。

◎白垣企画課長 それは当然、先方、国のほうも、区からの提案を受けて、現場を独自に見たり、図面を見たり、また評価を独自に試算してということはされていると 思いますけれども、具体的にそういうことのやりとりを直接やったということは存在しないということでございますので、ご理解いただきたいと思います。

 問題の要望書の存在はこのときはまだ公になっていない。委員会での質問に先立って奥山議員は情報公開請求をしているが、「要望書」の存在は明らかにならなかった。委員会でも上のとおり「要望書」のことはおくびにも出していない。

「(財務省との)やりとり自体はありました。(2014年)9月30日に公文書で提案をする前段のやりとりはございましたけれども、公開する資料が不存在ということでございます」

 資料はないとはっきり言っている。すべて廃棄したというわけだが、その後「要望書」が表ざたになると、区は「不存在」の理由をこう説明する。

 2014年3月31日が保存期限だからすでに廃棄した、だから存在しない――。

 この説明が事実なら、委員会が開かれた3月7日には存在していなければらない。また委員会に先立って奥山議員が情報公開請求をした当時も存在していたことになる。

 白垣企画課長は、公開すべき資料があるにもかかわらず「不存在ということでございます」とあえて虚偽の答弁をした可能性がある。

 条例によれば、保存期限がすぎた文書は別途保管し、廃棄する場合にはリストをつくることになっている。廃棄したことを示す文書についても記者は情報公開請求したが、明らかにされていない。本当に「保存期限3年」だったのか。本当に廃棄したのか。要望そのものをなかったことにするために、じつは存在しているのにウソをついているということはないか。

 そういう疑いを挟む余地がたぶんにある。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。