議場でのヘイトスピーチに手をこまねく杉並区議ら

 9月12日の杉並区議会本会議で、佐々木千夏議員が特定の民族を激しく侮辱する内容の不規則発言を行った。議員の品位保持を義務づけた地方自治法132条違反はもちろん、ヘイトスピーチ解消法に抵触する恐れもある内容だ。

 しかし、懲罰動議は出されておらず、発言取り消し命令がだされるかどうかも現在のところ不明だ。議会として毅然とした対応ができるのか、注目される。

 この日、佐々木議員は、
 
 朝鮮通信使が日本各地で歓迎を受けたという教科書の記述について、

「これはまったくの嘘です。じつは・・・いやほんとなんです。全国でじっさい女性に対する暴行ですとか殺人も、いまでいう関東連合のようなやくざのような、いやこれほんとうなんです。各地でそうした問題を起こしております。これはじっさいいろいろな武田恒泰先生とか有識者の方が動画などで、これはまったく嘘だ、各地で暴行殺人、強盗を繰り返していた凶悪犯罪者集団であったと教えられています。・・・え根拠ってほんとです。記録が残っているんです・・・そして・・いえ、恥ではない、ほんとのこと申し上げているんです。いえ、根拠って本当のことですから・・本当です」

 などと、新説をとうとうと語った。

 大日本帝国が朝鮮半島を植民地化していた時代に、朝鮮民族に対して日本名を強制した「創氏改名」についても、

「じっさい朝鮮人のほうから、海外で仕事をする際に朝鮮人だと差別されるので日本式に変えてほしいという要望があって、日本政府も仕方なく許可したという事実があります」

 と、独自の見解を披露した。

 さらに大日本帝国が韓国を植民地にしていた事実をも否定し、「韓国が助けを求めてきたんです。救済を求めてきたので仕方なく併合したというのが歴史的事実です」と述べた。

 議場が騒然とするなかで、佐々木議員は「ハッキリ言って帰化人や朝鮮人が中にいるからこうした教科書が罷り通っているんです。それによって日本人がどれだけ損害を受けているか!」と語気をあらげて露骨な差別的発言を行った。

 これら一連の発言に対して、井口かづ子議長は13日の本会議で、自治法129条1項にもとづいて発言の留保を宣告、内容を精査した上で必要があれば取り消しを命じるという対応をとった。

 懲罰動議の提出(6人以上の議員によって可能=地方自治法134・135条。事案の発生から3日以内と会議規則で規定)も検討された模様だが、実現していない。佐々木議員の差別的言動は、区議会で行う内容としては常軌を逸しているというほかない。懲罰動議をださなかった事実は、杉並区議会議員の感性の鈍さの裏返しといえる。

 筆者は18日、議長が発言取り消し命令を出すよう求めた陳情を提出した。

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杉並区議会議長あて

「佐々木千夏議員の不規則発言に対して、地方自治法129条1項に基づく取り消し命令を出すよう求めることに関する陳情」
 
(主旨)
2019年9月12日の本会議一般質問において、佐々木千夏議員が通告内容を大きくはずれて、特定の民族、国籍の住民を不当に攻撃する発言を行ったので、議長権限においてこれを取り消す命令を出すよう求める。

(理由)
 地方自治法132条は、地方議会の議員に対して、議会や委員会で「無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない」旨定めている。また、いわゆるヘイトスピーチに対する法規制もなされているところである。佐々木議員の当該不規則発言は、特定の民族、国籍保有者を不当に差別し、攻撃する内容であり、区議会議員が議場で行うべきものではない。地方自治法129条第1項は、自治法に違反した議員に対して、その発言を取り消す命令を出す権限を議長に与えている。同条同項に基づき議長は取り消し命令を出すべきである。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

「議場でのヘイトスピーチに手をこまねく杉並区議ら」への4件のフィードバック

  1. よくぞ書いてくださいました。発言注意、懲罰動議、どれも出さない区議会議員たちの鈍さも指摘されているのもいいです。また、区長も何か発言すべきだ。杉並区議会の品位の低さ、これら議員を選んでいる区民のレベルも問われそう。とにかく何も言わずに放置、見過ごすことは、この種の議員、人々をいよいよ増長させてしまうので、三宅様の素早い発信が、さらなる議員たち、そして区民の抗議活動を触発することを願います。

    1. 投稿ありがとうございます。多くの議員はわが身かわいさで見過ごしているか、中途半端な批判をするにとどまっている(ポーズだけ)ように見えます。ことの重大さに気づいていないのかもしれません。

  2. 佐々木発言を各新聞社に送り全国版で報道するようにして欲しい。それには沢山の投稿がいいのでしょうか。

    1. 投稿ありがとうございます。私は、議会が毅然として対応することが全国に問題意識を広げるためにも何より重要だと思っています。ですので、議員に「ぼーっと見過ごしているんじゃない」と働きかけることが効果的です。もちろん新聞社への投稿も意味があります。

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