阿佐ヶ谷第一小学校地上げ計画の公聴会で特定意見を不当排除の疑い

 杉並区阿佐ヶ谷にある杉並第一小学校を現河北病院のある場所(地権者A氏が代表する会社からの借地)へ移転させ、それぞれの土地を交換するなどの内容からなる「区画整理事業」に強い批判が集まっているが、区はすでに認可申請を(区自身に対して)出しており、民意軽視で強行する姿勢だ。

 田中良区長は地権者A氏と河北病院の理事長から政治献金を受け取っている。腐敗行政のきわみというほかないが、7月17日に開催された公聴会のありかたについて疑問が生じた。

 公述人は10人以内、公聴会は原則1回--という公聴会の開催のありかたに疑問がある--という意見を述べるべく、筆者は7月10日、公述の申し込み手続きを行った。同日が締め切りであった。ところが、選考にあたって、この意見は対象からはずされていたことがわかった。
 
 市民有志が情報公開請求を行い、判明した。

 〈「阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業」土地利用構想に係る公聴会公述申出書の選定について〉

 と題する文書である。それによれば、28件の公述申し出があり、要綱が規定する手順にそって10人の選定作業を区職員らで行った。その際、「No25」「No27」は「土地利用構想に記載された内容の範囲を超える趣旨である」として選考から除外した。そして残りの26件を、計画に「概ね賛成」「概ね反対」「どちらでもない」と分類し、それぞれの分類のなかでくじびきをしたとのことである。

 筆者の公述申し込みはNo27で、次の内容であった。

 〈公聴会の開催要領に疑問があります。意見陳述人は10人以内、開催回数は原則1回である旨区は広報している。しかし、その根拠は「要綱」である。要綱とは行政機関の内部規律や事務遂行のための必要事項を定めたものにすぎず、国民(住民)の権利・義務に関する定めとしての性格を有していないというのが定着した解釈である。よって「10人以内」「1回」という開催のあり方は違法である。この点について見解をただす。〉

 重大な影響のある計画なので、公述人や公聴会の数や限定することなく住民らが十分に納得するまで行うべきであるという趣旨の述べんとして記載した。

 これを選考からはじいた根拠は「杉並区土地利用構想に関する公聴会運営要綱」7条だと思われる。

〈要綱7条〉
 10人以上の申し出があったばあいは、次のとおり公述人を選定することができる
1 土地利用構想に記載された内容の範囲を超えないよう考慮する
2 意見の趣旨が多岐にわたるよう配慮する
3 1および2により選定し難い場合は、くじにより選定する

 なお、要綱とは、公述申し込み書に記載した筆者の意見のなかで触れているとおり、職員が事務遂行をするための規範であって、国民・住民の権利を拘束するものではない。権利を拘束するのは法令である。

 公述可能な意見を限定するとすれば、その根拠は法律、条令、規則である。そこで、都市計画に関する公聴会で発言可能な意見とはなにかを確認するために、関連法令をみてみよう。

 まず、都市計画法である。

〈都市計画法〉
第16条 都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

2 都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする。

3 市町村は、前項の条例において、住民又は利害関係人から地区計画等に関する都市計画の決定若しくは変更又は地区計画等の案の内容となるべき事項を申し出る方法を定めることができる。

 これを受けて、杉並区では「まちづくり条例」のなかで公聴会について定めている。
 
〈まちづくり条例〉
28条
…必要があると認めるときは、公聴会を開催することができる
3 公聴会の開催に関し必要な事項は、規則で定める

さらに同条例施行規則でこう定めている。

〈まちづくり条例施行規則〉
29条の7 意見を述べようとする区民・・は前条第2号の期間内に、公聴会公述申出書により、区長に申し出なければならない
29条の8 
 …申し出た者のうちから、公聴会において意見を述べることのできる者(公述人)を選定するのものとする
2 ・・公述人を選定し、または公述時間を定めるにあたっては、公平かつ適正に行わなければならない
4 区長は、必要があると認められるときは、参考人の出席を求めて意見もしくは説明を聴き、または必要な資料の提出を求めることができる。
29条の9
 ・・・土地利用構想に記載された内容の範囲を超えて陳述してはならない。

 「公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」という法の規定を受けてつくられた杉並区の条例がまちづくり条例・規則であり、それを実行するための内規が「要綱」ということになる。
そして、これらの法令のうち、公述人の意見内容を制約している可能性があるのは、施行規則29条の9である。 

 したがって、筆者の公述申し込みを選考から排除した問題の是非とは、施行規則にうたう「(公述意見は)土地利用構想に記載された内容の範囲を超えない」という部分の解釈ということになる。

 一連の法令のながれをみれば、「土地利用構想に記載された内容の範囲を超えない」の趣旨が、計画の内容だけでなく、計画の進め方や手続きのありかたをも含む--と解釈するのが自然ではないだろうかと筆者は考えている。

 区は「意見」の内容を「賛成」「反対」と、ことさらに狭く恣意的に解釈し、それらに入らない「公正手続きを求める意見」を排除した。不当というほかない。

 なお、区は今回の公述申し込み開始の前日要綱を変更するという不自然な行動をとっている。従来は、くじびき方式で希望すれば立ち会うことを認めていた。それを、意見の種類に分類し、同種意見が複数ある場合は抽選をするというやり方に変えた。しかも抽選については申込者の立会いをなくし、公正さを減退させた。選定にあたっては「意見の趣旨が多岐にわたるよう配慮する」という条項が追加されたが、じっさいの運用は「賛成」「反対」「どちらでもない」という分類に入りきらない意見を排除し、「多岐」とは逆の結果をもたらしている。

以外要綱についた公正さが後退している。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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