自転車撤去「手数料」をめぐる裁判の判決が意味するもの

 杉並区が条例に違反して路上に自転車を「放置」したとして撤去・保管し、その手数料債権(債務)5000円の有無をめぐり、筆者が原告となって争った行政訴訟の判決が13日、東京地裁であった。「杉並区が納入通知書の発行を拒否しているのは手数料徴収処分をしていないためである。すなわち債務は存在しない」という筆者の主張に対して、判決は「手数料は行政処分によって発生するものではない。撤去と同時に債務は発生している」として請求を退けた。

 結果は敗訴だが判決は興味深い。自転車撤去処分と同時にその利用者等に手数料5000円の債務が自動的に発生するのであって、納入通知の手続きをするかどうか、自転車を返すかどうかは手続に関することであり、債務の有無とは関係ない――と判決理由は述べている。

 なるほど、そうすると杉並区は債権を有しながら徴収する手続きを怠っているということか、と筆者は得心がいった。杉並区は債権を持っていながらちゃんとした徴収手続きをしない、それでいて自転車を返還しようとしない。払わないと自転車を処分するぞと暗に圧力をかける。

 納入通知による請求(徴収)が地方自治法で定められた大原則なのだから、この自転車占有行為には問題があるといわざるをえない。

 自転車撤去の手数料は「非強制公債権」と呼ばれる地方自治体の債権で、納入通知や督促、訴訟によって徴収する義務がある。時効は5年という規定もある。この債権を放棄する場合は、通知をしたり役所の掲示板に告示することも義務づけられている。債権の徴収にあたっては首長の裁量権はゼロ、すべての債権に対して徴収努力をしなければならないともある。

 杉並区は上のいずれの手続きもやっていない。

 5000円をもって集積所に取りに来た人にだけ自転車を返し、引き取りにこなかった人の自転車は30日で売却・廃棄処分にしている。そして、処分自転車の利用者等に対する手数料債権は「解除」している。

 訴訟では「利用者等が不明」なものについて手数料債権を解除すると説明しているが、信じがたい。防犯登録情報からハガキで所有者に連絡しているのだから、利用者等がわかっていながら解除している例が相当あるのはまちがいない。解除するにあたって法定の通知や告示をした形跡もない。

 杉並区の自転車撤去のやりかたに問題があることは確かだ。もうしばらく研究を続けたい。

  

 
 

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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