「杉並区は自転車泥棒」裁判始まる/10月31日10時45分、東京地裁522号法定

 自転車放置禁止場所に自転車を「放置」したとして今年5月、杉並区は委託業者を通じて筆者の自転車を撤去した。そして、撤去手数料の納入通知書(請求書)の発行を拒みながら自転車の返還にも応じない。杉並区によるこの奇妙な行為の是非を問う裁判が、10月31日午前10時45分から東京地裁522号法廷ではじまる。

※平成30年(行ウ)第367号
 
 経緯をざっと説明したい。

 自転車を撤去したのは杉並区が委託する協和産業という民間企業。高円寺駅前においていた筆者の自転車を、数百メートル離れた集積所に移動させ、保管した。なお、同社経営者は田中良区長の政治団体が主催するゴルフコンペに参加しており、癒着関係がうかがわれる。

 筆者が集積所に趣いて自転車の引き取りを申し出ると、協和産業の職員は撤去手数料5000円を払えば返還に応じると説明した。これに対して筆者は、手数料は条例にもとづいて区が「利用者等」から徴収することができると規定しており、払うとしても業者ではなく区に払いたい、請求書にあたる納入通知書をだしてほしい、などと説明した。同社職員は、区と話をしてほしい、自転車は返還できない、と答えた。筆者は自転車を引き取ることができず、帰宅した。

 後日、杉並区の担当課職員に対して「撤去手数料を支払う必要があれば区に直接払いたい。納入通知書を発行してほしい」と伝えた。すると、意外にも職員はこれを拒否した。協和産業に現金で手数料を払わないと自転車を返すことはできないという。さらに、一定期間をすぎると自転車は処分するとも言い、早く払うよう促した。

 地方自治法や同法施行令を調べると、歳入(自治体が住民らからお金をとること)にあたっては、その金額や請求先、根拠などについて確定をする作業(調定)を行い、納入通知を、原則として書面でしなければならないとある。この規定に照らせば、杉並区は調定と納入通知をする義務があるのではないか。その後も繰り返し訴えたが、職員は、調定をしていないことを認めながらも、納入通知は業者が口頭で行ったなどとして納入通知書の発行をかたくなに拒んだ。そして自転車の返還にも応じなかった。あくまで現金と引き換えでなければ返さないというのだ。

 やむなく自転車の引き渡しを求める仮処分申立をした。すると、自転車の保管は行政の権力行使(行政処分)であり、民事保全法の規定で仮処分をすることができない-という理屈で却下となった。

 こうしておよそ半年がすぎた。自転車は筆者が再三申し入れをした結果、かろうじて処分を免れて保管が続いている。
 
 筆者の自転車は質草同然になってしまった。しかし、どうも納得できない。そして、区が納入通知をださず、自転車の返還にも応じないのは、手数料の徴収処分(行政処分)をしていないからではないか、つまり、手続き上債権がないから請求できないのではないか、と考えるにいたった。そして手数料債務不存在確認訴訟を起こした。冒頭で紹介した裁判のことである。

 ばかげた裁判をやるものだとあきれる向きがあるかもしれない。だが、筆者がこの手数料にこだわるのは、大きな問題が背景にあると考えたからである。

 ひとつには手数料の取り方のいびつさにある。自転車を引き取りにきた者からは5000円をとる一方で、引き取りにこなかった者にはいっさい請求をしていない。条例では、区長は「利用者等」から撤去の手数料を徴収できるとある。しかし徴収の努力をしていないのである。
 
 筆者の場合も、仮に「5000円払うよりは買ったほうがいい」などと考えて自転車の引き取りを断念していれば、杉並区はもはや手数料をとることはできなかっただろう。壊れた自転車を廃棄するよりも放置したほうが得だと考える人がいるにちがいない。いったいなんのための撤去手数料なのか、疑ってしまう。

 この矛盾についても訴状で述べたところ、答弁書で杉並区は、撤去と同時に手数料債務は発生するが、引き取りがなく処分した自転車は「利用者等」が不明なので債務を解除している、ただし筆者については債務を解除していない-ーなどと主張してきた。利用者等が不明だから債務を解除するとは奇妙である。たいていの場合、所有者は防犯登録などでわかっているはずだからだ。郵便で通知を行っている。面倒だから請求していないだけだろう。

 自転車撤去事業は年間1億6000万円の税金が投入されている。撤去台数は年々減っているのに事業費は増えている。そして、「手数料」をとる努力をしていない。友だちの業者に金を流すための「慈善事業」になっているおそれが高いのだ。

 でたらめな行政運営を法廷で暴いていきたい。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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