「都政務活動費収支報告書非開示は違法」と提訴

 豪雨被害に遭われたみなさま、関係者のみなさまに心よりお見舞い申し上げます。
 悪政を許したツケというのは災害時に如実に現れるものだと常づね思っていましたが、まさに今回は、防災よりも私利私欲と保身を優先した安倍政権がもたらした人災の疑いが濃厚だと感じています。
 また自衛隊の活躍が期待されていますが、インターネットや新聞報道でその様子をみる限り、災害派遣という観点では装備も貧弱で、訓練もなされていない印象を禁じえません。今後検証が必要です。
 
 さて、東京都(議会議長)が、2017年度政務活動費の収支報告書を今年7月になっても公表せず(条例上の提出期限は4月30日)、情報公開請求をすると「議長の調査前に公表すると制度をそこなうおそれがある」などとして非開示処分をしてきました。この非開示処分は違法だとして処分取り消しを求める行政訴訟を、9日、東京地裁に起こしました。訴状を紹介します。

 訴   状 
2018年7月9日  

 東京地方裁判所民事部 御中

        原  告  三宅勝久    
        
        被  告   東京都 代表者知事 小池百合子
        上記処分行政庁 東京都議会議長 尾崎大介       

請求の趣旨

1 被告は、2018年6月14日付で行った公文書非開示決定処分(30議経第345号)のうち「平成29年度政務活動費収支報告書及び会計帳簿」にかかる処分を取り消せ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

 との判決を求める。

請求の理由
第1 事実経過

1 原告は2018年5月30日、処分行政庁に対して「2017年度政務活動費収支報告書及び会計帳簿(ただし請求日現在のもの)」(以下「本件収支報告書及び会計帳簿」という)の開示を求める情報公開請求を行った。(甲1の2頁)

2 これに対して処分行政庁は2018年6月14日、本件収支報告書及び会計帳簿のすべてを非開示とする処分を行い、郵便で原告に通知した。(甲1の1頁)

3 処分通知書に記載された非開示理由は次のとおりであった。
 
 東京都議会情報公開条例第7条第5号に該当
 (1)政務活動費制度上の公表前に対象公文書を公開することは、政務活動費に係る事業及びその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。
 (2)議長による調査等を経たものではない対象文書を公開することは、政務活動費に係る事業及びその適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。
(甲1の1頁)

  なお、都議会情報公開条例第7条第5号は、非開示にできる場合として次のとおり規定している。

 【東京都議会情報公開条例第7条5号】
  都議会の事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの。
 イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、都及び都が設立した地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ。
 ロ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ。
(甲2)

第2 本件非開示処分は違法である
 1 地方自治法は、政務活動費の使途の透明性をはかる旨議長に義務づけている。

【地方自治法10条第15項】
前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。議長は、第14項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。

2 政務活動費の使途の透明性確保について、東京都は次のとおり定めている。
(1)政務活動費の交付を受けた会派代表者は、当該年度終了の日から起算して30日以内に議長に収支報告書を提出しなければならない(東京都政務活動費の交付に関する条例第10条第1項)
(2)収支報告書を提出する際、領収書等の写しなど支出の事実を称する書類と活動費の収入及び支出の出納を記載した会計帳簿の写しを併せて提出しなければならない(東京都政務活動費の交付に関する条例第10条第2項)。
 (3)議長は、提出された収支報告書及び会計帳簿、領収書等を、都議会情報公開条例第4条の規定に基づき公表しなければならない(都政務活動費条例第16条第2項)。

  本件収支報告書及び会計帳簿は2017年度のものであるから、それらの提出期限は2018年4月30日であった。
 (甲3)

  なお都議会情報公開条例第4条第1項は次のとおり規定している。

【東京都議会情報公開条例第4条】
 都議会は、会議録、委員会速記録、都議会の調査活動に係る報告書等について公表に努めるものとする。
(甲2)

 2 以上の各規定をふまえれば、期限内に提出された本件収支報告書及び会計帳簿を、都議会情報公開条例第7条第5号の規定を理由にして非開示にしてよいとする根拠はいっさい見あたらない。本件収支報告書及び会計帳簿は、使途の透明性確保のため、公開されることを前提として会派代表者が作成し、期限内に提出したものである。よって、仮に提出された後に議長の調査が行われ、訂正・是正がなされる可能性があったとしても、調査以前に公開することによって政務活動制度の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない。むしろ、各会派から提出された収支報告書等をただちに公開しないことにより、政務活動費制度透明性を損なう結果をもたらしている。

3 また、住民監査請求は支出負担行為から原則1年以内と定めてられているが、政務活動費の支出時期は一般的に収支報告書の提出期限と解されている。そうすると本件非開示処分は、東京都住民の政務活動費に関する住民監査請求権を侵害しているともいえる。
 
4 さらに、都政務活動費条例第16条は、議長に提出された収支報告書及び会計帳簿は「提出すべき期限の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない」と規定している。保管期限算定の起算点は、公表時期ではなく提出期限なのである。この事実からも「議長の調査」を経た後にしか開示しないという被告の解釈が誤りであり、都民の知る権利を著しく侵害している。

第3 結語
  以上のとおり本件非開示処分が違法であることは明白であるから、請求の趣旨のとおりの判決を求める。

証拠方法

甲1 公文書非開示決定通知
甲2 東京都議会情報公開条例
甲3 東京都政務活動費の交付に関する条例

 

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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