杉並区の自転車違法占有に異議あり/「自転車を返せ」と仮処分命令申し立て

 自転車撤去・保管にかかる手数料について、納入通知書(請求書)の発行をかたくなに拒否し、あくまで手数料と引き換えでなければ自転車を返さないという奇妙な態度を杉並区がとっている問題で、筆者はきょう6月20日、自転車の引き渡しを求める仮処分命令申し立てを東京地裁民事9部に行った。25日に裁判官面接がおこなわれる。

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動産引渡ならびに処分禁止の仮処分命令の申立

2018年6月20日

東京地方裁判所民事9部御中

               債権者 三宅勝久
       杉並区阿佐ヶ谷南

               債務者 杉並区
             
 
仮処分により保全すべき権利:所有権に基づく物権的返還請求権

申し立ての趣旨
1 債務者は、債権者に対し、債権者所有の自転車1台(防犯登録荻窪●●)を仮に引き渡せ。
2 債務者は、債権者所有の自転車1台について、廃棄、売却、譲渡等いっさいの処分してはならない。
 との裁判を求める。

申し立ての理由
第1 被保全権利

1 当事者
 債権者は本件自転車の所有者であり利用者である。

2 概要
 債務者は2018年5月2日午後、杉並区高円寺の高円寺駅付近のスーパー敷地付近に駐輪中の本件自転車を撤去し、高円寺自転車集積所(杉並区高円寺)にて保管した(甲1~2)。撤去・保管作業を行ったのは、債務者から撤去・保管・手数料徴収業務の委託を受けた協和産業の作業員である。以来現在に至るまで、債権者の度重なる返還要請にもかかわらず、債務者は、手数料を委託業者に支払うのが返還の条件だとして、自転車の返還に応じず、違法な占有を続けている。(甲3~8)
 なお、債権者が本件自転車を撤去・保管した行為自体の適法性についても債権者は異議がある。

3 手数料の調定はなされておらず債権者に支払い義務はない 
 杉並区自転車の放置防止及び駐車場整備に関する条例第15条には、区長は利用者等に撤去・保管等に要した費用として5000円を徴収できると定めている(甲9)。債務者は債権者に対し、会計規則の原則にのっとった納入通知書などの正式な書面による手数料の納入通知を行っていない。債権者は5月2日、協和産業の職員から口頭で「5000円を協和産業の職員に支払えば自転車を返還する。一定期間をすぎれば処分する」と告げられたのみである。
 債権者は債務者・杉並区職員に対して、「手数料納入義務がある場合は直接杉並区に納付したい。よって、債権者を支払い義務者とした納入通知書または納付書を発行してほしい」旨、口頭ならびに書面にて、再三にわたって求めた。しかしながら債務者は、納付書などの発行はできないとして拒否した。
 債権者は「書面による納入通知がなされていない以上、支払義務はない」として委託業者に手数料を支払うことを拒否、現在にいたっている。

 地方自治法施行令第154条は、地方公共団体が歳入手続きをするにあたっては、調定を行った上で書面による納入通知を行うのを原則とするよう定めている。

【地方自治法施行令第154条】
 地方自治法第二百三十一条の規定による歳入の調定は、当該歳入について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤つていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査してこれをしなければならない。
2 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、地方交付税、地方譲与税、補助金、地方債、滞納処分費その他その性質上納入の通知を必要としない歳入を除き、納入の通知をしなければならない。
3 前項の規定による納入の通知は、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所及び納入の請求の事由を記載した納入通知書でこれをしなければならない。ただし、その性質上納入通知書によりがたい歳入については、口頭、掲示その他の方法によつてこれをすることができる。

 5月2日から現在に至るまで、債権者は債務者から、口頭・書面にかかわらず、地方自治法154条規定の納入通知を受けていない。現段階で債権者に手数料の納付義務がないことは明白である。この事実は、仮に債権者が本件自転車の所有権を放棄してしまうと、債務者はもはや手数料を徴収する手段を失ってしまうことからも明らかである。
 また債務者は通常業務として、所有権を放棄した自転車の利用者等からは、可能であったとしても手数料を徴収していない。つまり、債務者はすべての利用者等から手数料を徴収しているわけではないのである。

4 債務者による本件自転車の占有は違法である
 杉並区自転車の放置防止及び駐車場整備に関する条例第14条第1項は、「利用者等が確認できた自転車については、その利用者等に対し、速やかに引き取るよう通知するものとする」と債務者に義務づけており、本件自転車が速やかに引き渡さなければならないのは明らかである(甲9)。しかし、債務者はこの条例の趣旨を逸脱し、本件自転車の占有を続けている。
 手数料を委託業者に払うことと引き換えに自転車を返還するという債務者の態度は、本件自転車をあたかも質草のように考えている証拠であるが、これが誤った理解であることは明白である。本件自転車の占有に手数料の担保としての意味は微塵もない。仮に自転車の処分によってなんらかの収入が得られたとしても、歳入処理されていない事実からも明らかである。

5 本件自転車が違法に処分されるおそれがある
 債務者は債権者に対し、近い将来、本件自転車を廃棄・売却などの方法で処分する可能性がある旨伝えている(甲3)。杉並区自転車の放置防止及び駐車場整備に関する条例第14条第2項は、「引き取りのない自転車」「利用者等が明らかでない自転車」「明らかに自転車としての機能を喪失していると認められる自転車」のみ処分を認めている。債権者が引き取りの意思を示している本件自転車を処分することは条例上できない。
 つまり本件自転車が違法に処分される恐れは高いというべきである。
 
6 結語
 以上のとおりであるから、債務者は債権者に対し、すみやかに本件自転車を引き渡す義務がある。

第2 保全の必要性
 後日本案訴訟で勝訴判決を得ても、債務者の現在の状態からすれば、本件自転車が廃棄・売却処分されたり、屋根のない保管場所で長期にわたって保管することにより、錆などによる破損を被るおそれが高い。債務者は債権者に対し、保管期限は6月1日までである旨伝えており、いつ処分が実行されるかわからない(甲3)。また本件自転車は債権者が日常生活や仕事に使用しているものであり、債務者による不法占有により債権者の生活等に多大な支障を及ぼすおそれがある。

疎明方法
甲1号証 預り証
甲2号証 自転車の写真
甲3号証 債務者回答1(2018年5月25日付)
甲4号証 申し入れ1(2018年5月27日付)
甲5号証 申し入れ2(2018年6月3日付)
甲6号証 債務者回答2(2018年6月4日付)
甲7号証 申し入れ3(2018年6月8日付)
甲8号証 債務者回答3(2018年6月13日付)
甲9号証 杉並区自転車の放置防止及び駐車場整備に関する条例

添付資料
甲号証各1通

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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