時給8万円の増田顧問超高額報酬を「社会通念上著しく高額ではない」と容認した東京地裁の非常識判決

 月2日、4時間の「簡単なお仕事」で月額35万円の杉並区非常勤顧問報酬を、田中良区長のお友達である増田寛也氏払ったのは違法だとして、2016年9月分35万円の返還を求めた住民訴訟の判決が13日、東京地裁であり、林俊之裁判長は住民側敗訴を言い渡した。

 とても、まじめに検討した結果とは思えない手抜き判決、あるいは欠陥判決ではないかと筆者はあきれている。勤務態様は「週3日程度」、月額報酬を35万円とした算出根拠として、12日×3万円=36万円、と明記した公文書がありながら、この文書が作成された意図や35万円の根拠をいっさい検討せず、また勤務日数や仕事の具体的な内容も検討することなく「社会通念上著しく高額とはいえない」というあいまいな理由で原告の訴えを棄却した。杉並区民をとことん見下した傲慢な考えがありありとにじむ判決である。

 増田1審判決

 むろん原告として筆者はなっとくがいかない。控訴すべくもっか弁護士と相談しているところである。ひきつづきご支援をたまわりたい。

 以下、事件の概要と判決の問題点を列記しておく。

●事実経過
2016・7 都知事選に増田寛也氏が立候補(自公推薦)し、田中区長が応援するも落選。
2016.8 田中区長が増田氏に杉並区非常勤顧問就任を打診、承諾を得る。勤務態様、報酬など条件についてどのような合意があったのかは不明。
2016・8下旬 非常勤職員報酬条例の規則改定案(顧問職新設)作成。「勤務態様は週3日程度、報酬は月額制。額は35万円。月額35万円の算定根拠は、月12日、3万円×12=36万円。条例の月額上限は35万円」と記された文書とともに区長が決済する。規則改定にあたって区議会には報告も事前の相談もなし。
2016・9 増田氏勤務開始。9月は出勤2日、拘束時間計4時間あまり。職員が作成した会議の記録はごく簡単な箇条書きのメモだけ。

● 法理
自治法203条の2第2項本文および但し書きによれば、非常勤職員の報酬は原則日額(生活給の趣旨なし。純粋な勤務に対する反対給付)。条例で特別の定めをした場合は日額以外の支給方法も可能(議会に一定の裁量権付与。ただし乱用・逸脱の場合は違法・無効)

・判例:大津地裁判決(最高裁判例)・杉並区監査委員報酬返還訴訟(東京地裁)・杉並区選挙管理委員報酬返還訴訟(東京地裁・高裁)

● 争点
・非常勤職員報酬条例は、報酬額の決定を区長(規則)に白紙委任しており違法・無効である。
・ 条例の委任範囲を超えた違法・無効な規則である(自治法203条の2第2項ただしがきで定めた「条例で特別の定め」がなされていない)。
・ 勤務実態が乏しいのに35万円支給を可能とした条例は、自治法203条の2第2項ただしがきで議会に付与した裁量権を逸脱しており違法・無効である。
・ 規則・条例が違法・無効でなくても、不支給規定をつかわなったのは裁量権の乱用であり、支給は違法・無効である。

 被告杉並区長は否認。

●原告の主張
 ――週3日程度の出勤を前提にして月額35万円を算出している。月2日しか出勤しておらず、あきらかに過大な支給である。顧問職新設は、非常勤報酬条例の改正ではなく規則で行った。増田氏の経歴等を考慮しても日額相当3万円以上を支給できる理由はない。月額35万円は時給換算すると7-8万円になる。非常勤報酬条例はそれほどの高額な時給を認めていない。
 増田氏のじっさいの勤務態様も特段重責とはいえない(非常勤選管委員・同監査委員らと比較すると明らかに責任の度合いは軽い)。出勤日以外に仕事をした形跡もない。
 社会通念に照らしてもいちじるしく高額。都非常勤顧問は時給、増田氏が就いている北海道非常勤顧問は日当。

●被告反論(概要)
 -―増田は立派な経歴があり、区政に貢献するので月35万円はたかくない。仕事の実績は日数ではかれるものではない。「週3日程度」と記した文書があるが、正式決定ではない。便宜上記載しただけである。

● 判決の問題
・ 非常勤職員報酬条例の報酬額(上限日額3万円、月額35万円)の趣旨にかんする検討をいっさいしていない。
・ 「週3日程度の勤務」を前提に月額35万円を算出したと明記された公文書について、いっさい検討・考慮していない。
・ 報酬支給を妥当とする根拠としている「社会通念」の意味が不明。

    

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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