白石建設青木部長スッテンコロリン事件で不起訴確定

 2017年2月3日朝、高円寺小中一貫校建設の事前作業をしようとする白石建設JV関係者に対して、「(施主の)杉並区と話し合いをしているところなので待ってほしい」などと住民が訴えていたところ、責任者の白石建設・青木部長が突然転倒し、住民のひとりから暴行を受けて手を負傷したなどとして杉並署に被害届を出すという珍妙な事件が起きていたことがわかった。

 被害届を出された当人はもちろん、周囲にいた住民多数も、「いっさい触れてはいないのに突然倒れた」と、転倒が自作自演の疑いが強いと証言。これに対して白石側は、この日朝から撮影していたビデオ映像を「証拠」に暴行を主張。

 検察庁でビデオを確認した人によれば、男性が青木部長を押したり接触した場面はもちろん、そうした状況をうかがわせる音声もいっさい記録されていなかった。暴行があったとされる場面はどういうわけかカメラのレンズが上空に向けられていたという。

 この青木部長スッテンコロリン事件は暴行容疑事件として東京地検に送検されて関係者の事情聴取がなされていたが、先日不起訴にする旨弁護士に連絡があった。不起訴理由は現在確認中。

 高円寺小中一貫校校舎建設は、計画自体に対する疑問をはじめ、ボーリング報告書の不備や設計の不安が指摘されるなかで、2016年12月に地元高円寺に本社をおく白石建設JVが限りなく100%に近い落札率で落札。以後1年間の流れをみると、工事の遅れの原因を住民になすりつけるための工作がなされたのではないかと疑わざるを得ない。

 当初の予定では1月に都の建築許可が出る予定だった。それをまって2月から本体工事に着手する予定だったが、認可が4月18日に延びた。基礎杭の発注時期が、当初は1月末に予定していたものが5月末に延期され(伊藤営繕課長によれば杭発注が遅れた原因も住民の妨害のせいだという)、本体工事は5月開始、基礎杭工事は7月開始と、工程全体が4ヶ月程度遅れた。

 スッテンコロリン事件がおきたのは許可前の2月3日。測量作業をやるなどといって学校に入ろうとする業者に対して、住民は「区と話しあっているところだ。まってほしい」と平和的に交渉していた。その最中に突然青木部長が転倒した。「接触はなかった」「転倒は唐突でおどろいた」と住民側の目撃者は一様に証言している。4日前の1月30日にも同様の話し合いが現場近くであった。このときは筆者も立ち会った。写真を取ろうすると青木部長は手をカメラをつかむという実力行使に出た。その後業者らは自ら引きあげた。区職員が現場に来るよう区に連絡をしたが、営繕課は「必要ない」として来なかった。

 そして、4月18日に建築許可がおり、直後の4月末に、白石側が住民数人に対して妨害禁止の仮処分を申請する。仮処分は、紙製のブラカードと肉声で抗議したことが妨害だなどという荒唐無稽な理屈だったが、一部を裁判所が認めた。白石の訴えのなかには、筆者が現場に立ち会った場面も含まれていた。穏やかに話し合いをして自ら引き挙げたにもかかわらず、「門にたちはだかって妨害した」と虚偽の事実を主張していた。

 この仮処分申請の証拠として白石が提出した住民の写真は、2016年に12月に区が主催して開いた住民説明会で業者が隠し撮りしたものだった。区は「知らなかった」としながらも、区と業者の共催なので問題はないとうそぶいた。写真にうつっている人物の氏名・住所の情報は区が提供した可能性が高い。

 仮処分申請の直前には、高円寺中学校(建設予定地)で説明会を開いた際、校門から路上にむけて白石が監視カメラを設置、条例違反を指摘されて撤去するという事件もあった。

 都の建築許可遅れにともなう工期圧縮はしていない、工程を見直した新工程表はないなどと営繕課は当初説明していたが、情報公開請求で確認したところ、虚偽の説明であることがわかった。都の許可が4月末におり、着工が4ヶ月遅れたことが確実となった後の5月、区は白石JV側に工期の見直しを指示。6月14日にJVが新工程表案を作成した。それによれば、本体工事は2019年3月までにできるとしながらも、外構工事が間に合わないという内容だった。これをさらに設計者である教育施設研究所が検討した結果、無理であることが判明。今年6月30日付で、完工時期を2019年5月にするという工程案につくり変えられた。つまり、2019年春の開校が困難であることを、遅くとも6月の時点で区も業者も知っていたわけだ。

 ところが区は、工事の遅れと開校への影響について議会や教育委員会に報告せず、今年11月になってようやく開校延期を発表、その原因は「住民の妨害のせいだ」と断定した。

 都の許可の遅れによって杭発注自体が4ヶ月も遅れて、これが遅れの主因ではないかと営繕課長をただしたが、伊藤課長は「住民の妨害によってプール解体工事が遅れた。解体できないと杭発注はできない」とあくまで住民のせいだと断定している。裁判所が認定した「妨害」は10日たらず。なぜ4ヶ月の遅れにつながるのかという疑問には、「段取りや下請けの手配がうまくいかないということがある」などと苦しい説明をしている。 

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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