「米国の北朝鮮攻撃を韓国は防ぐことができるのか」

 共謀罪が参院本会議で「強行可決」されました。民主主義、立憲主義、法治主義という国民の合意をもってながらく運営してきたこの社会の体制を、文字どおり転覆させる行為で、クーデターだといってよいでしょう。法案そのものの違憲性はもとより、手続きも違法性がきわめて高いと思います。あきらめて現状を受け入れることは、クーデタ政権を社会が認めたことになりますので、いかに絶望的であれ、あきらめず筋を通して、どこまでも、違法なことがなされたのだ、民意を反映していない暴挙であると、声を途絶えさせずに言い続けることが重要です。

 民進党執行部が本気で阻止しようとしなかったこともあらためて可視化されました。民進党という巣のなかをよくみて、自公の補完勢力か否か、議員ひとりひとりをしっかりと観察し、再分類する作業が急務の課題だと思っています。

 安倍首相は、米国の忠実な僕として米国に日本の富と命をとことんささげ、戦争をあおってその戦争ビジネスに全面協力することで、ワシントン政府にほめてほしい。そんな程度のことを考えているのではないでしょうか。

 そして、もっとも現実的な「戦争」は朝鮮半島ではないでしょうか。その朝鮮半島情勢について興味深い記事を見つけたので、翻訳して紹介します。

https://www.counterpunch.org/2017/06/09/can-south-korea-prevent-a-us-attack-on-north-korea/

 ところで、共謀罪によって日本は「北朝鮮」のような暗黒社会になる-との声をときおり聞きますが、これには少し違和感があります。たしかに個人の自由とか体制批判の自由がない点、恐怖政治である点などは、そうした問題を日本が抱えることになるかもしれません。しかし、これらの内政問題とは別に、国の存在としてみれば、北朝鮮と日本はまったく質が異なるものをもっています。北朝鮮は完全な独立国であり、その主権を脅かされることに抵抗しているのに対し、日本はかつての侵略国であり、いまも米国の属国として米国の侵略戦争に協力しているという立場です。

 北朝鮮は、帝国主義日本の軍事・経済侵略を受け、朝鮮戦争では米軍によってすさまじい絨毯爆撃を受け、今もなお軍事的侵略を受ける危険にさらされています。それを防ぐという考えから独裁政治が生まれたのに対し、日本は軍事侵略をやるために独裁政治を生み出そうとしているのです。この点を混同したり、ましては「北朝鮮のような国になってしまう」などと見下すような評価は、決定的な判断の誤りを招く危険があるのではないでしょうか。

 北朝鮮は経済的に豊かになり、侵略を受ける危険がなくなれば、大量破壊兵器の開発をやめるという意思を昔から明らかにしています。一方の日本は、戦争によって金を稼ごう、権力を手中にしようという連中によって、その野望を実現するために独裁政治がもたらされようとしているのです。

 米軍や韓国軍、あるいは米軍の下請けとしての自衛隊が北朝鮮を攻撃すれば、間違いなく日本は軍事的に報復されます。国際法上の正当性があります。共謀罪はこうした地獄絵図にむかってこの国の国民が行進をはじめたことを意味します。

 日本の利益だけを利己的に考えたとしても、朝鮮半島が平和裏に戦争終結(朝鮮戦争の和平合意)すること以上によいことはありません。逆に戦争になってしまえば、日本はとてつもなく大きなものを失うことになり、かつ国際世論はけっして日本に同情的にはならないと思います。 

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米国の北朝鮮攻撃を韓国は防ぐことができるのか

ジョン=フェッファ

 2隻の航空母艦が、いま、北朝鮮攻撃の射程内にいる。米韓軍事演習の一環であり、高性能爆撃機による攻撃演習も行われている。最近、米国防総省はミサイル防衛の実験に成功した。専門家によれば、これはピョンヤンに向けたメッセージだと解釈される。著名な地政学研究者のジョージ=フリードマンは、グアムにおいて米国代表が現地の官僚や民間人に向けた説明を行っているのは、当地が北朝鮮の報復攻撃の射程内にあり、攻撃がさしせまっていることの兆候だと分析している。

 ドナルド=トランプ大統領は衝動的な指導者だ。彼は米国内の改革が遅々としてすすんでいないことに不満をもっている。また、NATOやG7の会合で欧州の指導者らから批判されたことに不満をもっている。さらに、北朝鮮に対してさらなる圧力をかけることに中国が慎重であることにも不満をもっている。もし北朝鮮先制攻撃が大統領としての大きな成功につながると彼が決断すれば、引き金を引くだろう。

 しかし、私はいまのところ米国が実際に攻撃するとは思っていない。過去何十年にもわたって、軍事攻撃も含めて米国はあらゆる手段をとりえるのだと強調してきた。そして北朝鮮攻撃の計画を立案してきた。もっとも最新の計画はOPLAN515とよばれるものだが、先制攻撃がはじめて計画に入れられた。

 くわえてトランプ大統領は、朝鮮半島で戦争が起きた場合には、韓国と日本において市民や米軍人に大量の死者が出るなどおぞましい結果がもたらされるという点についても説明を受けている。トランプ政権は2ヶ月にわたって北朝鮮政策を検討し、「最大の圧力と交渉」という方針を打ち出した。

 米国の匿名の官僚が次のように述べた。
 
 「北朝鮮の核実験やミサイル攻撃に対する反応として米国が軍事行動を起こすことは考えていない。北朝鮮が韓国や日本、米国領土内を攻撃した場合には、この考えは変わり得る。しかしそのような自殺的な行動をとることをピョンヤン政府は望んでいない」

 だが、計算違いや誤解、単純なミスによって朝鮮半島で紛争が勃発する危険性は常にある。

 そこに登場したのがムン=ジェイン(文在寅)韓国大統領である。もっかのところ、周知のとおり、トランプ米大統領は北朝鮮に対して「最大の圧力」しか使っていない。「交渉」は使っていない。ムン韓国大統領は、北朝鮮のキム=ジョンウン総書記と会談する可能性があると述べている。しかし北朝鮮が2017年に入って9発のミサイルを発射したので、ワシントンは、譲歩したと思われたくないとしてオリーブの枝を差し出す(平和的な提案をする)のを躊躇している。

 韓国の新指導者であるムン大統領は重要な位置にある。選挙戦で彼は、北朝鮮に対して対話路線をとることを表明してきた。就任演説では「朝鮮半島の平和のために必要であればどこへでも行く。ワシントン、東京、北京、そして状況が整えばピョンヤンに行く」と述べた。

 朝鮮半島で南北会談を開催するには下準備に時間がかかるだろう。まずムン政権は、2016年2月に開城(ケソン)工業団地の閉鎖にともなってとだえたピョンヤンとの通信線を復活させることを望んでいる。同時に市民団体の交流や人道的支援の拡張も考えている。南北朝鮮の管理職や労働者で運営していたケソン工業団地の再開だけでなく、それを拡大させることもムン大統領は考えている。

 現段階でムン大統領は2つのミサイルにはさまれた格好だ。ひとつは北からのミサイル。もうひとつは米国が韓国に配備したTHAAD(高高度迎撃ミサイル)である。韓国が受動的な立場にあったために、ながらく思うようにならなかったが、現在は韓国がより主体的な役割を果たせる立場になった。
 
 こうした仕事をやり遂げるために、ムン大統領はすでに特使を送り出した。ソウル特別市長のパク=ウォンスン(朴元淳)氏は、北朝鮮に対する新外交実現に向けた東南アジア諸国の支持を得るためにASEANの指導者らと会談した。リー=ヘイチャン氏の北京訪問によって、冷え込んでいた韓国―中国関係を改善する作業がはじまった。中国人団体観光客の韓国訪問も再開する準備がととのった。韓国の北朝鮮に対するあらたな政策は、中国の協力が不可欠だ。

 最大の課題をつきつけられているのは米国である。トランプ大統領は、安倍晋三首相のような右翼で軍事主義者に対して、彼らをより好むとのメッセージをすでに送っている。6月下旬の韓国大統領訪米で、革新的なムン大統領はいったい何をもちだしてくるのだろうか。

 ムン大統領は彼の財布を開けるだろう。

 米国人のための仕事をつくるのだと公言したトランプ米大統領が求めているのは外国資本の投資である。米大統領就任の直後、サムソン、LG、ヒュンダイが、米国に新工場をつくりたい意向を明らかにした。ムン大統領はこの考えを実現させるべく、数十億ドル規模の投資を提案するだろう。

 また、ケソン工業団地の価値や、こうした南北朝鮮事業が拡大していけば、北朝鮮が軍事力よりも経済面で注目される国になり得ることを説明するだろう。

 そしてムン大統領は、北朝鮮を軍事攻撃した際の経済的ダメージについて、北東アジアの経済は壊滅的な打撃を受けて米国にもその悪影響が及ぶといった内容の資料を携えてやってくるだろう。

 金の話であればトランプ大統領は聞く。ムン大統領は、韓国の経済力をつかって北朝鮮核問題に関する発言力を得るだろう。これまで受動的だったソウルの役割が積極的なものに変わり、朝鮮半島で戦争が起きる危険を減らすことができる。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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