杉並区長のお気に入りメディアだけでつくる「記者クラブ」

 公のために税金で仕事をしているはずの役所が、特定のメディア産業だけを特別扱いして情報を流し、持ちつ持たれつの関係を築く。これが日本特有の「記者クラブ」の本質である。杉並区の場合、商業メディアにとってはそれほどネタ元としての価値がないので記者クラブ的な仕組みもないのだろう。そう思っていたところ、じつは実質的に存在することがわかった。しかも、メディア側からの要請ということよりも、むしろ杉並区のほうから率先して作っているようなのだ。

 この杉並版記者クラブは、同区広報課いわく「記者懇談会」である。年に数回、区長が出席して報道記者らと「懇談」する企画らしい。

 「懇談」とはいうものの、記者の側は「区長の定例会見」と認識しているとみられる。じじつ、区長から区の政策について説明を行い、記者は質問できるらしいから、内容は記者会見というべきだろう。※

 きょう22日午後に「区長定例会見がある」との話を筆者は小耳にはさみ、出席できないか区広報課に電話でたずねた。だが、予想外にも筆者の出席は断られた。その際、広報課職員が口にしたのがこの「懇談会」という言葉だった。

 「懇談会であって記者会見ではない。クローズです。だから(三宅は)出席はできません」

 いったい、出席できるのは誰なのか。たしかめたところ、職員はこういった。

 「新聞やNHK、通信社など大手の報道機関です」

 これを聞いて筆者は、てっきり特定のメディア会社でつくる「記者クラブ」からのはたらきかけで「懇談会」がなされているのだろうと思った。だが引き続きたずねているうちに、そうではないことをしった。

 「杉並区担当記者さんのいる報道機関」を杉並区のほうで選んだというのである(社名をたずねたが即答せず、現在回答待ち)。

 さらに奇妙なことには、年に1〜数回おこなっている区長記者会見については、「懇談会」以外の報道機関や小規模メディアにも案内をしているというのだ(この社名も即答せず、回答待ち)。また、筆者のようなフリ―記者でも会見への参加は可能だと一応は答えた。

 もっとも、きょうの段階での広報課員の対応を見る限り、杉並区は筆者のことをはたして「報道記者」とみているのかどうか、あやしい印象を受けた。必要があれば、記者としての仕事をしているとの証明をしてもよいから、何が必要か教えてほしいむね伝えておいた。

 区長にとって「いい記事」を書いてくれそうなメディアを「懇談会メンバー」として優遇し、かたや批判的な記事を書きそうな者は排除する。田中区長は、テレビ局は男のやる仕事ではないなどと女性蔑視の発言をしたことがあるが、今回の件は、同氏の差別的な感覚をあらためて浮き彫りにしたともいえる。 
 

 ※記者と区長とのやりとりは「オフレコ」であるとの噂もある。現在確認中。

 
 

 

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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