「北朝鮮問題」はアメリカの問題である

「北朝鮮の問題」はアメリカの問題である、との論評がカウンターパンチに掲載されています。抄訳してご紹介します。

 仮に日本政府に日本の安全を最優先する気が本当にあるのなら、北朝鮮政府と米国政府が朝鮮戦争の和平のテーブルにつけるよう、双方に、特に米国政府に働きかけるしかありません。しかし現実は逆です。米国が北朝鮮を侵略するおろかな行為をあおりたてることで日本を危機にさらしています。

 おろかな植民地精神だと思います。 

https://www.counterpunch.org/2017/04/17/the-problem-is-washington-not-north-korea

「問題は北朝鮮ではなくワシントンのほうにある」
マイク=ホイットニー

 ワシントン政府は北朝鮮に対するあなどりを一度たりとも隠そうとしたことはない。 戦争が終わってから64年間、米国はこの共産主義国家に対して、罰をあたえ、はずかしめ、痛みを加えるために、力の限りあらゆることをやってきた。

 ワシントン政府は、北朝鮮政府が外国資本や市場に接することを邪魔し、経済制裁で経済を窒息させ、破壊的なミサイルシステムと軍事基地を戸口においた。北朝鮮が飢餓に陥ることを狙った。

 交渉は不可能だった。ワシントンは北朝鮮を見下しており、それゆえ交渉の席につこうともしなかった。そのかわりに、北朝鮮と外交関係をもつ中国に圧力をかけ、ワシントンの最後通牒を最大限恐ろしい形で相手に伝えるためのメッセンジャーとして利用した。

 ワシントンの望みは、いうまでもなく、ピョンヤンがアンクルサム(米国の白人支配層)のいじめに屈服して彼らの言いなりなることである。

 しかし米国の脅しに対して北は一度も屈していない。その気配もない。それどころか、自衛のために小規模な核兵器を開発した。北朝鮮を支配しようと米国が再び戦争をしかけてきたときのための備えである。

 世界のなかで北朝鮮ほど核兵器を必要としている国はない。FOXテレビやCNNニュースで洗脳されているアメリカ人は、これに異を唱えるかもしれない。だが、たとえばカリフォルニア沖に敵国が攻撃部隊を配備し、メキシコ国境で大規模な戦争ゲーム(人々を脅かしながら)をやったとすればどうか。ものごとは違ってみえることだろう。敵国が本当におろかなことをやらかすのを避けるために2、3の核兵器を持つことに意義を見出すだろう。

 キムジョンウンがサダムやガダフィと同じ運命になっていないのは、1つに北朝鮮が海洋油田を持っていないこと、2つには、北朝鮮がソウルや沖縄、東京を廃墟にする能力を持っているからである。もしキムジョンウンが大量破壊兵器を持っていなければ、ピョンヤンはとっくに先制攻撃を受けて、ガダフィと同じ運命をたどっているだろう。米国の冒険主義に対する唯一の解毒剤が核兵器なのだ。

 911より前にさかのぼって歴史を捉えることのできないアメリカ人は、自分の国がかつて北朝鮮で恐ろしい大虐殺と破壊を行ったという事実をまったく知らない。停戦合意から60年もたつのに北朝鮮がなぜアメリカを警戒するのか。

 つぎの短い回想をみれば理由がよくわかる。


 1950年代前半、朝鮮戦争の間に米国が北朝鮮に投下した爆弾は第二次世界大戦で投下した量よりも多かった。このじゅうたん爆撃には、3万2000トンのナパーム弾も含まれていた。軍事目標だけでなく市民が意図的に標的にされた。戦争の目的を超えて全土が破壊された。すべての都市は破壊され、おびただしい数の罪のない市民が殺害され、家を失い、飢えにさらされた。

 米国人ジャーナリストのブレイン=ハーデンが書いている。

「3年あまりでわれわれが殺したのは、そう、人口の20%だった」
 朝鮮戦争当時の戦略空軍司令官だったカーチス=ルメイ将軍は、1984年、空軍歴史事務所で語った。
 朝鮮戦争を主導し、後に国務長官になったディーン=ラスクは、「動くものはなんでも爆撃した。レンガ造りの家という家を次々と爆撃した」と述べている。戦争の後半になり、都市の目標を攻撃してしまった米軍の爆撃機は、発電用ダムや水利ダムを破壊した。農地は洪水で流され、作物は台無しになった。

 1月3日午前10時半、82機の空の要塞(B29型爆撃機)がピョンヤンに向かって死の積荷を放った。何百トンの爆弾や火炎物が都市全域にわたって一気に投下された。時間差で爆発する高性能爆弾が一日中炸裂しつづけ、人々は外にでることができなかた。都市は2日間にわたって燃え続けた。7812の民家が焼け落ちた。ピョンヤンに軍事目標がひとつも残っていないことをアメリカ人は知っていた。

 多くのピョンヤン住民が爆弾の直撃や、生きたまま焼かれたり、煙にまかれて死んだ。その数は数え切れない。およそ5万人の住民が都市には残っていた。戦争の前の人口は50万人だった。

(「アメリカ人は自分たちが北朝鮮でやったことを忘れてしまった」)より
(“Americans have forgotten what we did to North Korea“, Vox World)

 この国でアメリカは2百万人以上の人を殺害した。アメリカの安全にはなんの脅威もなかった。ベトナムと同じで、朝鮮戦争はアメリカにとって柔軟体操のひとつにすぎなかった。これまでもときおりやってきたように、退屈しのぎに、あるいは新しい武器をどこか遠くで試してみたかっただけなのだ。朝鮮半島を侵略してもアメリカが得るものは何もない。これまでも繰り返されてきた帝国主義の領土拡大欲と純粋な悪行のなせるわざなのだ。
 
 アジアパシフィックジャーナルは次のように書いている。

 1952年秋までに、米軍機が目標とすべきものは何もなくなった。北朝鮮のすべての主要な都市、町、産業地帯は、すでに爆撃されていた。1953年春、空軍はヤル川の水利ダムを標的にした。北朝鮮の水田を破壊して、中国がより多くの食料援助をしなければならないようにするためだった。5つの貯水池が破壊され、何千エーカーの畑地が洪水で流され、町中に水があふれた。何百万人の北朝鮮人たちの食糧がだいなしになった。飢餓が広がるのを防いだのは、中国、ソ連、その他の社会主義国からの緊急援助だけだった。
(“The Destruction and Reconstruction of North Korea, 1950 – 1960”, The Asia-Pacific Journal, Japan Focus)

 繰り返そう。

◇ 
 「貯水池、水利ダム、水田、人口密集地」のすべてをナパームで焼き、じゅうたん爆撃した。すべて破壊され、地面に叩き落された。なんの容赦もなかった。動くものは撃たれた。動かなければ爆撃された。米国は勝つことができなかった。それゆえ、彼らはこの国を人間が住めない廃墟にすることにしたのだ。「やつらを飢えさせろ、凍えさせろ、生きるために雑草や草の根やねずみを食べさせろ。溝のなかで寝させろ、瓦礫のなかで寝どこをみつけさせろ。俺たちが何をする必要があるのか。われわれは地球でもっとも偉大な国なのだ。アメリカ万歳。

 これがワシントンの仕事の仕方である。そしてこれは、100年前、ウンデットニーで第7騎兵隊が150人の男女子どもを虐殺した時代からなにも変わっていない。パインリッジのスー族が受けたのと同じ仕打ちが、北朝鮮人やベトナム人、ニカラグア人、イラク人、そのほかの人たちに対して行われた。

 北朝鮮に対して米国が行った残虐行為は人々の心理に消しがたい傷を残した。いかなるコストを払おうとも、将来同じ状況が繰り返されることを北朝鮮は認めることができない。いかなるコストを払おうとも、彼らは自分たちを守らねばならない。これが「核」の意味である。そしてそうなっている。自衛こそがもっとも優先されるのである。

 ピョンヤンとワシントンの、このかみあわない立場を解決して、壁をとりはらい、信頼を築く道はあるのか。

 もちろんある。米国が敬意をはらって北朝鮮に接し、約束を履行すればよい。約束とはなにか。

 電気と熱を供給するため北朝鮮に2つの軽水炉をつくり、そのかわりに核兵器開発を中止するという約束である。この話を読者は、メディアでみることはないだろう。メディアはペンタゴンの宣伝を流しているだけだ。平和的な解決など彼らに関心はない。彼らの商売道具は戦争なのだ。戦争、戦争。もっと戦争を。

 北朝鮮は米国に対して、1994年の大枠合意の事項を誠実に履行してほしいと望んでいる。それだけだ。ジミー=カーターはワシントンポストの記事で書いている(2010年11月24日)。


 2005年9月に…94年の大枠合意を再確認した。これは朝鮮半島を非核化し米国は侵略しないと誓約する、そして1953年7月の停戦合意を恒久的な和平合意に置き換えるという合意である。不幸なことに2005年から実質的に進展していない。

 昨年7月、私はピョンヤンに招かれた。米国人アイハロン=ゴメスを解放するのが目的だった。北朝鮮高官とゆっくり話をした。彼らは北朝鮮半島の非核化と朝鮮半島の恒久停戦に意欲があることを示した。 

 米国との直接交渉の間、ピョンヤンは常に、94年合意を履行し、53年の一時停戦を和平協定に置き換えることができるならば、核開発を終えてIAEAの査察を受け入れる用意があるとの考えを一貫して示していた。われわれはこの提案にこたえることを考えなければならない。
 
 不幸な代替策とは、北朝鮮がもっとも恐れているもの-米国が軍事攻撃によって体制転換を図ること――に対して、なりふり構わぬ自衛手段をとることである。
「北朝鮮はアメリカに対して常にメッセージを出している」ジミーカーター(ワシントンポスト)一部省略=訳者
(“North Korea’s consistent message to the U.S.”, President Jimmy Carter, Washington Post)

 ほとんとの人は北朝鮮に問題があると考えている。しかしそれはちがう。問題はアメリカのほうにあるのだ。朝鮮戦争を終結させて基本的な安全を保障するための交渉を、アメリカが拒否しているためである。

 アメリカは交渉の席につくことすら頑強に拒んでいる。アメリカの都市を攻撃できる長距離弾道ミサイルを開発しているというのに。

 なんとおろかなことだろうか。

 トランプ政権は63年前に失敗した政策を振り回している。それによって米国の安全保障は確実に損なわれる。アメリカ市民が直接危険にさらされる。いったい何のために?

 「タフガイ」のイメージを維持するためなのだろうか。アメリカは弱い国とは絶対に交渉などしないのだと人々に信じさせるためなのか?

 核兵器による大惨事の危機よりも「イメージ」のほうが大事だというのか。

 北朝鮮との関係正常化は実現可能である。経済関係を強化することも、信頼関係を再構築することも可能だ。そして核の脅威を取り除くことも可能である。北朝鮮をめぐる情勢は危機的であってはならない。安定的にすることは可能だ。政策変更を行い、わずかなギブアンドテイクをやり、真摯な気持ちで戦争よりも平和を望む指導者がいれば可能なのだ。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

「「北朝鮮問題」はアメリカの問題である」への5件のフィードバック

  1. 私たちは朝鮮戦争につい
    て、朝鮮特需で日本はもうかったことしか知りませんでした。72年前の敗戦の記憶よりもっと新しい戦禍の記憶が朝鮮人全体にあることが、だから、日本人と同じく絶対に戦争は
    嫌だということがあるはずだということを忘れているのではなく想像したこともないのです。私はついこの頃そういうことに
    気付き唖然としました。

  2.  この文章ですが、筆者の思い込みにより論点が完全にずれており、的外れな論評になっています。
     米国による民間人の殺害を非難していますが、そもそも朝鮮戦争は北朝鮮の侵攻によって始まった戦争なので、北朝鮮にも責任があるのは明らかです。戦争を始めれば民間人が死ぬことがわかっていながら、それを始めた北朝鮮の指導者の責任は無視でしょうか?
     また最後に示されている解決案も非現実的で、不可能に近い提案です。今までどれだけ対話による外交努力が無駄に終わったのかを筆者は知らないのではないでしょうか?

  3. 全く指摘のとうりです。なぜ根っこを見ようとしないのか?
    日本は「今度は戦争に巻き込まれることはないとでも思ってるのか」な。
    また此処までして日本の得るものは何なのか?
    戦争なのかナ。真摯に国民の平和を考えるべき時期に来ているのが理解できないのかな。
    日本の脅威脅威と騒ぐおろそかさを悟る時期に来ている。
    アメリカの国際社会を欺いてる姿を知らせるべきである。

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