大阪府警警察官「土人」発言とTPP

 伝えられるところでは、安倍自公政権が明日にでも衆議院でTPP関連法案を強行採決することを考えているという。このニュースを見て思ったのが、先日沖縄・高江の米軍基地増設に反対する市民に対して大阪府警機動隊所属の警察官が「土人」という暴言を放った一件である。

 日本における「土人」という言葉には、侵略・略奪という意味が染み付いている。アイヌや琉球はまさに松前藩や薩摩藩、明治政府によって侵略され、収奪されてきた。その際、侵略する側がさげすみの意を込めて使ったの「土人」だった。台湾や中国大陸、朝鮮半島、東南アジアの侵略先でも同じ表現が使われた。

 こういう恥ずかしく忌まわしい歴史を持つ言葉が、いかに興奮して冷静さを失ったとはいえ公務中の警察官の口から出てくるということは、そういう意識が心理のなかに存在することを意味する。つまりそのような教育が警察官の日常でなされている可能性が高い。機動隊員は寮生活をしている隊員が多く、その生活がモノの考えかたに与える影響は大きい。

 日本の警察制度は明治につくられた。そして国内外で侵略や弾圧の先頭に立ってきた。戦後は、日本国憲法を順守して法の下の平等をうたった民主主義社会を守るという仕事を負ってきたーーとされる。しかし「土人」発言をみれば、実態はちがうようだ、140年前の横暴な弾圧装置としての性格がいまも続いている。

 さて、なぜTPPにこの件を思ったのか。明治維新のきっかけはペリー総督の来航とそれにつづく日米修好通商条約締結であった。不平等条約とのそしりを受け、戊辰戦争が勃発し、江戸幕府が崩壊していくことになる。TPPはいわばこの不平等条約をさらに発展させて、日本を米国企業や大資本の准植民地へと「進化」させるものだといえる。

 そこにすけて見えるのは「宗主国」米国の日本を見下した態度、まさに「土人」扱いではないだろうか。

 米軍基地に出て行ってほしい、あらたな米軍基地を受け入れることなどできないという沖縄の意思の表示と抵抗は、土人扱いを拒否し、対等な人間として接せよという尊厳と勇気に満ちた尊敬に値する行動である。こうした人たちを「土人」呼ばわりする警察官は、自分自身が「土人」あるいは「奴隷」扱いされていることに気づかないまま、われこそが立派な「人間」なのだと、「土人」であることを拒否した人たちに向かって「誇らしく」公言していることになる。滑稽であり、かつ悲しい光景といえる。

 やはり日本はいまだ明治時代の延長にあるのだとあらためて思う。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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