区営施設「あんさんぶる荻窪」譲渡めぐる重大疑問


 2004年に落成したばかりの区営複合施設「あんさんぶる荻窪」(杉並区荻窪、荻窪駅南側隣接、6階延べ床面積約6900平方メートル)の敷地・建物を財務省に譲り、対価として荻窪税務署(杉並区荻窪)の敷地をもらってそこに新築するという案が進んでいるが、各方面から「新しい施設を壊したうえに、多額の費用をかけて新築するのはおかしい」などと疑問と批判の声があがっている。

 この問題をめぐって重大な事実が発覚した。田中良区長が区長選で初当選したのは2010年7月だが、その5ヶ月後の同年12月3日付で、財務省にあてて「荻窪税務署の建替工事について(要望)」と題する区長名の要望書を出している。その中で、当時財務省が計画していた荻窪税務署の建替工事について、荻窪駅前周辺整備を行い「国税・都税・区税の行政機能の集約化」を図る予定があるとして、建替工事を「当分の間一時休止し」てほしい旨申し入れていたのだ。

201012杉並区長発文書 001

 この「要望」も「集約化」計画も、議会には説明されていなかった。区企画課に確認したところ、要望の文書はすでに廃棄して存在しないと回答した。また、要望の内容を確かめたところ「わからない」と答えた。区が財務省に申し入れた「要望」の内容がわからないというのだ。

 税務署建替えをめぐる財務省と杉並区の協議はまだつづいている。にもかかわらず、協議のきっかけである区側からの申し入れ内容がわからないというのはにわかに信じがたい。

 識者はこうみる。

 ――もともと駅前に官庁ビルを建てて、荻窪税務署に入居してもらう計画を区長周辺で練り、財務省側に打診した。しかし計画がうまくいかなかった。やむを得ず、まだ築10年しかたっていない「あんさんぶる荻窪」を財務省に提供するという強引な案を思いつき、強行しようとしているのではないか。

 あんさんぶる荻窪の建設費は約28億円。これを荻窪税務署の土地と交換することにより、区側があらたに負担する費用は、「あんさんぶる荻窪」の再建費用約30億円以上といわわれる。また「あんさんぶる」内の学童保育施設を桃井第2小学校に移設することに伴う同校校舎の建替え費用30億円の、すくなくとも60億円にのぼるとみられる。

 本日(20日)付で、要望書ならびにその内容がわかるもの、決済した職員がわかるもの、要望をうけた財務省との交渉内容がわかるもの、廃棄したとすれば、廃棄の時期がわかるもの――などを区に対して情報公開請求した。

投稿者: miyakatu

ジャーナリスト

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